都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2008年 私が聴いたコンサート ベスト5
年の瀬の恒例企画をはじめます。まずは音楽編から、独断と偏見によるコンサートのベスト5を挙げてみました。
「2008年 私が聴いたコンサート ベスト5」
1 コンポージアム2008 スティーヴ・ライヒの音楽 5/21
ライヒ「18人の音楽家のための音楽」他 ライヒ/アンサンブルモデルン
2 ウィーン国立歌劇場 2008年来日公演 11/4
ドニゼッティ「ロベルト・デヴェリュー」 グルベローヴァ/ハイダー
3 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 熱狂の日音楽祭2008 5/4
シューベルト「ピアノソナタ第21番」 ぺヌティエ
4 NHK交響楽団第1634回定期公演(Aプロ) 12/7
ストラヴィンスキー 「エディプス王」 デュトワ
5 東京交響楽団第560回定期演奏会 10/17
チャイコフスキー「交響曲第5番」他 キタエンコ/モーザー(17日)

率直なところ、一期一会のグルベローヴァを差し置くのも悩まないわけではありませんが、やはり今年一番心に残ったのは、ホールを熱狂の渦に巻き込んだライヒの実演、「18人の音楽家のための音楽」でした。音楽が耳だけでなく体の全身を駆け巡るかのように運動し、意識と感覚を麻痺させたという経験は後にも先にもこの公演だけです。ともかくミニマルがあれほど活気に満ちたものだとは思いませんでした。あの興奮はまだ体の中にしっかりととどまっています。
『女王陛下』グルベローヴァが希有な歌声を披露したロベルトも、当然ながら素晴らしい公演であったのは言うまでもありません。女王としての威厳はもちろんのこと、一転しての人としての悲しみや苦しみを吐露するピアニッシモの美しさは言葉になりませんでした。また好きなドニゼッティをこれほどのキャスティングで聴くチャンスもそう滅多にないでしょう。演奏会方式ながら劇の展開にぐいぐいと引き込まれました。
年間のコンサートの回数こそ減っていますが、ゴールデンウィークの風物詩、LFJだけは別です。結果、10程度聴いた公演の中では、物静かな語り口がシューベルトの夢幻的な調べを醸し出したペヌティエのソロが最も印象に残りました。技術面では難も感じられましたが、それを通り越した『何か』をあの時間で共有出来たような気がします。生演奏の醍醐味がそこにありました。
4、5は国内オーケストラのコンサートです。デュトワ、キタエンコといった実力派指揮者たちの好演を楽しむことが出来ました。在京オケの定期は私がクラシックを聴きた原点でもあるので、毎年同じことを言っているような気もしますが、来年こそはもう少し回数を増やして接したいと思います。
最後になりましたが、素晴らしい音楽を聴かせて下さる全ての音楽家の方に改めて感謝申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
*関連エントリ
2007年 私が聴いたコンサート ベスト5
2006年 私が聴いたコンサート ベスト5
2005年 私が聴いたコンサート ベスト5
2004年 私が聴いたコンサート ベスト3(2003年の「ベスト10」を含む。)
「2008年 私が聴いたコンサート ベスト5」
1 コンポージアム2008 スティーヴ・ライヒの音楽 5/21
ライヒ「18人の音楽家のための音楽」他 ライヒ/アンサンブルモデルン
2 ウィーン国立歌劇場 2008年来日公演 11/4
ドニゼッティ「ロベルト・デヴェリュー」 グルベローヴァ/ハイダー
3 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 熱狂の日音楽祭2008 5/4
シューベルト「ピアノソナタ第21番」 ぺヌティエ
4 NHK交響楽団第1634回定期公演(Aプロ) 12/7
ストラヴィンスキー 「エディプス王」 デュトワ
5 東京交響楽団第560回定期演奏会 10/17
チャイコフスキー「交響曲第5番」他 キタエンコ/モーザー(17日)

率直なところ、一期一会のグルベローヴァを差し置くのも悩まないわけではありませんが、やはり今年一番心に残ったのは、ホールを熱狂の渦に巻き込んだライヒの実演、「18人の音楽家のための音楽」でした。音楽が耳だけでなく体の全身を駆け巡るかのように運動し、意識と感覚を麻痺させたという経験は後にも先にもこの公演だけです。ともかくミニマルがあれほど活気に満ちたものだとは思いませんでした。あの興奮はまだ体の中にしっかりととどまっています。
『女王陛下』グルベローヴァが希有な歌声を披露したロベルトも、当然ながら素晴らしい公演であったのは言うまでもありません。女王としての威厳はもちろんのこと、一転しての人としての悲しみや苦しみを吐露するピアニッシモの美しさは言葉になりませんでした。また好きなドニゼッティをこれほどのキャスティングで聴くチャンスもそう滅多にないでしょう。演奏会方式ながら劇の展開にぐいぐいと引き込まれました。
年間のコンサートの回数こそ減っていますが、ゴールデンウィークの風物詩、LFJだけは別です。結果、10程度聴いた公演の中では、物静かな語り口がシューベルトの夢幻的な調べを醸し出したペヌティエのソロが最も印象に残りました。技術面では難も感じられましたが、それを通り越した『何か』をあの時間で共有出来たような気がします。生演奏の醍醐味がそこにありました。
4、5は国内オーケストラのコンサートです。デュトワ、キタエンコといった実力派指揮者たちの好演を楽しむことが出来ました。在京オケの定期は私がクラシックを聴きた原点でもあるので、毎年同じことを言っているような気もしますが、来年こそはもう少し回数を増やして接したいと思います。
最後になりましたが、素晴らしい音楽を聴かせて下さる全ての音楽家の方に改めて感謝申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
*関連エントリ
2007年 私が聴いたコンサート ベスト5
2006年 私が聴いたコンサート ベスト5
2005年 私が聴いたコンサート ベスト5
2004年 私が聴いたコンサート ベスト3(2003年の「ベスト10」を含む。)
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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また、演奏会で聴くこと、一期一会の贅沢さを初めて知った一年でした。
あんまり詳しい方じゃないのですが、はろるどさんは、さすがに渋い!と思いました。
クラシック音楽についても、いろいろとご教示くださいませ。
宜しくお願いいたします♪
グル様、奇しくもわたしも2位にランクインさせました。
ベストの状態の声を聴くことが出来て本当にラッキーでしたね。
年を取ったら若い人に「グルベローヴァは生で聴いたことがあるのよー」と自慢しまくります(笑)
そんなグル様の上を行ったのがライヒというのがはろるどさんらしい。
記事を読んでわたしも聴きたかったなぁと思いました。
ちなみにわたしの1位はもうしょうがないってことで、ご容赦くださいませ♪
こんにちは。早速のコメントをありがとうございます。
>演奏会で聴くこと、一期一会の贅沢さ
同感です。CDももちろん良いのですが、生の醍醐味は他にかえ難いものがありますね。演奏の傷や場の雰囲気までをダイレクトに時間として共有出来るのはやはり演奏会に限ります。ライブ音源のCDでもそうはいきませんよね。
>さすがに渋い
ありがとうございます。
こちらこそまた色々教えて下さい。来年も宜しくお願いします。
@さちえさん
こんにちは。
>グルベローヴァは生で聴いたことがある
そうですよね。もう目と耳に焼き付いているので、20、30年先でも普通に話が出来そうです。まさに語り草になる公演でした。
>わたしも聴きたかった
ミニマルは断然またライブに限ります。あれほど「揺らぎ」が音楽に含まれていたとは思いませんでした。本当に興奮しっぱなしです。
来年もまた素晴らしいコンサートに出会えれば良いなと思います。
今年は、アートはもちろんですが、特にクラシック音楽について、はろるどさんのところでいっぱい勉強させていただきました。
クラシック音楽についての知識があまりにも乏しくてコメントできなかったんです。。。
アートでは「大琳派展」の記事で琳派についていっぱい勉強させていただきました。第2期しか行けなかったので、とても羨ましく悔しく思いつつ・・・
今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
>コメントを残さず、すみません
いえいえこちらこそご無沙汰してしまって申し訳ありませんでした。
クラシックもお好きなのですね。
最近はコンサートへ行く回数が減ってしまっていますが、
何とかこれからはもう少し聞ければと思っています。
コメントはもちろん大歓迎です!ご不平ご苦情でもOKですので、どしどしお寄せ下さい!
>「大琳派展」の記事
長々とした記事にも関わらず読んで下さり本当にありがとうございます。
今年は日本美術がまたさらにヒートアップした一年でしたね。
来年もどうぞ宜しくお願いします。