都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2005年 私が聴いたコンサート ベスト5
昨日からいきなり体調を崩してしまって、年末だというのに今日は散々だったのですが(少し回復しましたが。)、これを書かなくては年が明けません。(?)ということで、恒例の企画、まずはコンサートから始めてみたいと思います。(昨年は「ベスト3」でしたが、今年は5つ挙げてみます。)
「2005年 私が聴いたコンサート ベスト5」
1 「フィラデルフィア管弦楽団 2005来日公演/東京」 5/23
マーラー「交響曲第9番」 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
2 「ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2005来日公演/東京」 2/21
ベートーヴェン「交響曲第3番」他 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
3 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン音楽祭2005/東京」 5/1
ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」 ダニエル・ロイス指揮
4 「新国立劇場2004/2005シーズン」 1/20
ヴェルディ「マクベス」 リッカルド・フリッツァ指揮
5 「伶楽舎第7回雅楽演奏会」 10/2
武満徹「秋庭歌一具」他 伶楽舎演奏
「何を聴いているんだ!」と思いっきり怒られそうな上(世評は芳しくありません。)、自分でも「一体この日の演奏が、私にとって良かったのか、そうでなかったのかは、今をもっても分かりません。」と書いているのに、ここで1位にしたのは、フィラデルフィアとエッシェンバッハのマーラーです。確かにオーケストラは荒く、エッシェンバッハの指揮ぶりも非常に謎めいていたかと思いますが、ともかく今年最も印象の残った、また心を揺さぶられたコンサートには違いありません。今後エッシェンバッハの演奏を追っかけてみようとは思いませんが、聴衆へ挑戦(もしくは無視。)するかのような彼の表現は、あまり他ではないような、予定調和的でない、演奏会の一期一会の緊張感を感じさせてくれたコンサートだったと思います。
2位はゲヴァントハウスとブロムシュテットのベートーヴェンです。長い歴史が生み出したオーケストラの風格と、ブロムシュテットの明晰で安定感のある指揮。それが非常に上手く合わさり、まさにエッシェンバッハとフィラデルフィアの対極にあるような、音楽を聴くことの幸福感をたっぷりと味わえた演奏だったと思います。今年はこの他に、ナガノとベルリン・ドイツ響や、ヤンソンスとバイエルン放送響などの、外来のメジャーなオーケストラの公演を聴きましたが、その中では最も安心して音楽の大きな波に浸ることが出来た、美しいコンサートでした。
3位は「熱狂の日」のコンチェルト・ケルンです。私の苦手なこの「ミサ・ソレムニス」を、透明感のある瑞々しい響きで、この上なく軽快に楽しませてくれた演奏でした。ホールの難を差し引いても十分にお釣りが来るような、コスト・パフォーマンス的にも最高の公演でした。(来年の「熱狂の日」での来日がないのは残念です…。)
4番目は新国立劇場の公演から、フリッツァ指揮の「マクベス」を挙げます。新国立劇場の公演は、他にもアルローの演出が見事な「ホフマン」や、長丁場を手堅く聴かせてくれたレックの「マイスタージンガー」などが印象に残りましたが、ともかく音楽面、特にオーケストラと指揮の面で最も素晴らしかったのがこの公演です。「新国立劇場で初めて生き生きしたイタリアオペラのリズムを聴いた。」(また怒られそうですが。)そう言っても良いほどに、抜群のリズム感にてヴェルディを聴かせたフリッツァ。賛否両論のある野田の演出を吹き飛ばすほどに、小気味良くキレの鋭い音楽を楽しませてくれました。是非、もう一度、新国立劇場に登場していただきたいものです。(ロッシーニやドニゼッティでも大歓迎!?)
最後は、私に雅楽の面白さを教えてくれた、雅楽演奏団体「伶楽舎」のコンサートです。武満徹の「秋庭歌一具」を生で接することが出来た自体、とても貴重な機会だったかと思いますが、伶楽舎は、この自然讃歌を実に優れた演奏技術にて聴かせてくれます。サントリーホールがまるで神社の杜へと変化したような、とても静謐で、穏やかな場が生まれていました。
今年は全部で25回、コンサートに行きました。(前年比+9)不思議と昨年に比べて「当たり」(?)が多く、その分、とても印象に残ったものが多かったように思います。上に挙げたコンサート以外では、新日本フィルから驚くべき「古楽器の響き」を引き出すことに成功した、ブリュッヘン登場の定期演奏会、または、大好きなライヒを初めて生で聴くことが出来た「IEMA」のコンサート、さらには、BCJの格の違いを見せつけた二期会の「ジュリアス・シーザー」などが印象に残りました。
最後になりましたが、今年もまた素晴らしい音楽を聴かせて下さった演奏家の皆様、本当にどうもありがとうございました。また来年も素敵な音楽に出会えることを祈って…。
「2005年 私が聴いたコンサート ベスト5」
1 「フィラデルフィア管弦楽団 2005来日公演/東京」 5/23
マーラー「交響曲第9番」 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
2 「ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2005来日公演/東京」 2/21
ベートーヴェン「交響曲第3番」他 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
3 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン音楽祭2005/東京」 5/1
ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」 ダニエル・ロイス指揮
4 「新国立劇場2004/2005シーズン」 1/20
ヴェルディ「マクベス」 リッカルド・フリッツァ指揮
5 「伶楽舎第7回雅楽演奏会」 10/2
武満徹「秋庭歌一具」他 伶楽舎演奏
「何を聴いているんだ!」と思いっきり怒られそうな上(世評は芳しくありません。)、自分でも「一体この日の演奏が、私にとって良かったのか、そうでなかったのかは、今をもっても分かりません。」と書いているのに、ここで1位にしたのは、フィラデルフィアとエッシェンバッハのマーラーです。確かにオーケストラは荒く、エッシェンバッハの指揮ぶりも非常に謎めいていたかと思いますが、ともかく今年最も印象の残った、また心を揺さぶられたコンサートには違いありません。今後エッシェンバッハの演奏を追っかけてみようとは思いませんが、聴衆へ挑戦(もしくは無視。)するかのような彼の表現は、あまり他ではないような、予定調和的でない、演奏会の一期一会の緊張感を感じさせてくれたコンサートだったと思います。
2位はゲヴァントハウスとブロムシュテットのベートーヴェンです。長い歴史が生み出したオーケストラの風格と、ブロムシュテットの明晰で安定感のある指揮。それが非常に上手く合わさり、まさにエッシェンバッハとフィラデルフィアの対極にあるような、音楽を聴くことの幸福感をたっぷりと味わえた演奏だったと思います。今年はこの他に、ナガノとベルリン・ドイツ響や、ヤンソンスとバイエルン放送響などの、外来のメジャーなオーケストラの公演を聴きましたが、その中では最も安心して音楽の大きな波に浸ることが出来た、美しいコンサートでした。
3位は「熱狂の日」のコンチェルト・ケルンです。私の苦手なこの「ミサ・ソレムニス」を、透明感のある瑞々しい響きで、この上なく軽快に楽しませてくれた演奏でした。ホールの難を差し引いても十分にお釣りが来るような、コスト・パフォーマンス的にも最高の公演でした。(来年の「熱狂の日」での来日がないのは残念です…。)
4番目は新国立劇場の公演から、フリッツァ指揮の「マクベス」を挙げます。新国立劇場の公演は、他にもアルローの演出が見事な「ホフマン」や、長丁場を手堅く聴かせてくれたレックの「マイスタージンガー」などが印象に残りましたが、ともかく音楽面、特にオーケストラと指揮の面で最も素晴らしかったのがこの公演です。「新国立劇場で初めて生き生きしたイタリアオペラのリズムを聴いた。」(また怒られそうですが。)そう言っても良いほどに、抜群のリズム感にてヴェルディを聴かせたフリッツァ。賛否両論のある野田の演出を吹き飛ばすほどに、小気味良くキレの鋭い音楽を楽しませてくれました。是非、もう一度、新国立劇場に登場していただきたいものです。(ロッシーニやドニゼッティでも大歓迎!?)
最後は、私に雅楽の面白さを教えてくれた、雅楽演奏団体「伶楽舎」のコンサートです。武満徹の「秋庭歌一具」を生で接することが出来た自体、とても貴重な機会だったかと思いますが、伶楽舎は、この自然讃歌を実に優れた演奏技術にて聴かせてくれます。サントリーホールがまるで神社の杜へと変化したような、とても静謐で、穏やかな場が生まれていました。
今年は全部で25回、コンサートに行きました。(前年比+9)不思議と昨年に比べて「当たり」(?)が多く、その分、とても印象に残ったものが多かったように思います。上に挙げたコンサート以外では、新日本フィルから驚くべき「古楽器の響き」を引き出すことに成功した、ブリュッヘン登場の定期演奏会、または、大好きなライヒを初めて生で聴くことが出来た「IEMA」のコンサート、さらには、BCJの格の違いを見せつけた二期会の「ジュリアス・シーザー」などが印象に残りました。
最後になりましたが、今年もまた素晴らしい音楽を聴かせて下さった演奏家の皆様、本当にどうもありがとうございました。また来年も素敵な音楽に出会えることを祈って…。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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ブロムシュテットや伶楽舎の演奏会は、はろるどさんの詳細なレポートを拝見して行ったつもりになる、というパターンでした
思いもよらぬ寒さが続きますね。ゆっくりお休みください。よいお年を!
ゲルギエフ指揮の8番・千人の交響曲を2ヶ月前に収録したのですが、まだ聴いてないので正月に回そうとおもってます。今年は色々お世話になりました。来年もよろしくお願いします。また。お会いしたいですね。
こんばんは、コメントありがとうございます。
>会場の拍手もブラボーとブーしかないような、そんな演奏でした
チャイ5もそうでしたか。
この日のマーラーはむしろブーが多いくらいでして…。
>巷で言われているような爆演指揮者という感じでもない
同感です。爆演ではないですよね。意外に神経質(過ぎる?)とでも言うのでしょうか。
>正直判断に困ったところではありました。機会があればまた聴いてみたいコンビ
そうですよね。
以前聴いた北ドイツ響とエッシェンバッハでは、
これほど鮮烈な表現はなかったので、
オーケストラによってまた違うのかもしれませんが、
ちょっと気になるところですよね。
私もSonnenfleckさんのレポを、いつも楽しみに拝見しております!
また来年もどうぞよろしくお願いします!
@いづつやさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
>ゲルギエフ指揮の8番・千人の交響曲を2ヶ月前に収録したのですが、まだ聴いてないので正月に回そうとおもってます。
ゲルギエフの千人ですか!
これまた壮絶な演奏になりそうですね…。
ゲルギエフはあまり追っかけて聴いたことがなかったのですが、
ヨーロッパでは引っ張りだこですよね。
どうなのでしょうか。
>今年は色々お世話になりました。来年もよろしくお願いします。また。お会いしたいですね。
こちらこそ、今年はいづつやさんに大変お世話になりました。
是非またお会いしましょう。
美術談義、よろしくお願いします!
ときどき覗かせて頂いておりましたが,すっかり芸術関係から自然派へと転向してしまい,コメントレスで今日に至ってしまいました。
はろるどさんのアート・ライフますます充実しているようですね。
思えば,私の方は,ブロムシュテットのブルックナーを聴いたのも随分昔のことのように思います(実際1年以上経ちますが...)。
来年も,はろるどさんのレビューを拝見して,アートの疑似体験をしようと思いますので,よろしくお願いいたします。
北斎展行きたかったなぁ!
それでは,来年もよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました。
>芸術関係から自然派へと転向してしまい,コメントレスで今日に至ってしまいました。
いえいえ、とんでもないです。
こうしてまたコメントいただけるだけでも嬉しいです。
また、vagabondさんの美しいお写真もいつも拝見させていただいております。ありがとうございます。
今年は自分としてはそこそこコンサートへ行ったかなと思っています。
ブロムシュテットのコンサートは本当に素晴らしかったですよね。
奇を衒わないことの美しさを心から感じました。
ゲヴァントハウスのコンビはもう解消とのことですが、
また是非来日して聴かせていただきたいものですよね。
(N響でも良いです?!)
それでは、今年もまたどうぞよろしくお願いします!