極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

デクサマーニの試練

2011年07月28日 | WE商品開発



 

【全量買取制度と投資回収】

全量買取制度を含む再生可能エネ法案が、3月11日の閣議決定に遅れること4か月、
2011年7月14日に衆院本会議で審議入りした。関連する電気事業法改正法案などと
並行して審議は行われる。同日政府が公表した電力不足対策工程表でも12年夏か
らの制度導入が位置づけられている。09年までで補助金が止まっている風力発電、
産業用の助成制度はほとんど実施されなくなった太陽光発電など、全量買取制度に
は再生可能エネルギー普及へ向けた推進エンジンとなることが大きく期待されてい
る。

焦点はやはり買取価格で、バイオマス発電などでは燃料源ごとのアプロ-チ、既存
施設へのフォロー施策も重要であり、。初日の審議では、①買い取り価格を太陽光
以外は一律かコストベースか、②優先接続や接続義務の規定について、③家庭用太
陽光余剰買取制度から全量買取に移行するかどうかなどの審議がなされる(『エネ
ルギー用語辞典
』)。

ところで、全量買取制度の優れた点は、補助制度と異なり、投資回収を読み切れる点。
それではどのように推定するのか『環境ビジネス』9月号から見てみよう。それに
よると太陽光発電1MWを設置する場合と仮定し、産業向け価格も低下を考慮しkW
あたり50万円と仮定する。総費用は5億円、維持管理費は総費用のI%と仮定、金利
については借入割合を70%、金地を3.5%、借入期間を10年として計算している。

【結果】15年、35円では投資回収には23年を要し、利回りは0.5%。15年、40円では
投資回収に15年を要し、利回りは3.1%。20年、35円では投資回収に17年を要し、利
回りは3.3%。20年、40円では投資回収に15年、利回りは5.9%という結果となってい
る。システム当たりの単価は、中規模以上の産業向けでは50万円/kWといった価格帯
を下回るケースもあるが、15年、35円というもっとも低い助成に落ち着いた場合は、

やはり厳しい数字となるという。

 

「みなし計測」制度でコスト逓減し普及を狙う

ところで、今回の全量買取制度で1つの課題となるのが、変電設備の設置費用を負
担する必要があることをが指摘している(億単位の投資増の負荷になる)。このこ
とは少なからぬコスト増を呼ぶこととなるだけに、できる限り制度で産助すべきだ。
また、解決策として可能性があるのが、「みなし計測」の容認だ。系統連系に発電した
電力を流さず自家用として活用し、発電量の計測値をみなしで電力会社が購入する。
こうした形であれば、導入した団体側も購入電力量の低減につながり、変電設備の購
入費をカットすることができ、さらなる普及につながる。

みなし計測はパワーコンディショナからの配線にメーターを追加するだけで対応可
能であり、工場など事業所に設置した場合、省エネ、デマンド削減になること、昇圧
トランス等の設備が不要で買取制度終了後の配線変更や昇圧設備撤去不要であるこ
と、配電系統への逆潮流が減少し、系統への負荷が減り、系統対策費用を削減可能
と、電力会社側にもメリットがある。負荷の存在する場所(工場、ビルなど)には、
みなし計測方式を容認することで、より低いコストで、省エネ・節電につながる中小
規模の太陽光発電の普及が可能だと重要点を指摘している(先進的なスマートグリ
ッド構想から遠のくがそれもやむなしの漸近路線)。

 【デクサマーニの試練】

送電線工事を含めた変電設備を新たに増設すると億単位で費用発生するそれが送電
配電事業で極めて公共性が高い。高いからといって胡座をかいて事業を行えば官許
的(金太郎飴な集団)となる。かといって民間化すると儲からなければ安易な撤退
リスクがつきまとう。そこで多少コストがかかっても系統安定化機能でその負荷を
軽減しようとなる。これが、デクサマーニ(泉の女神)の出現を期待する理由だ。
この機能は公的な機関による2%未満の金利(=管理費→雇用促進費)でリースが
理想的だろう。それじゃ蓄電機はどんなものがいいのか?

 

上表をみると、蓄電池が一般的に普及しているもののナトリウム硫黄電池が猛追し
する形だ。ここで電力貯蔵技術を俯瞰してみる。(1)新エネルギーを利用する場
合、負荷追従、系統連系に蓄電池が必要(2)省エネルギーに蓄電技術は有効(3)
安全・安心システムに蓄電技術は信頼性が高い技術。当面はナトリウム硫黄電池主
流になるが、ニッケル水素電池の追撃模様になるだろう。その場合はやはり、ライ
フサイクルコスト分析でのローコストシステムに合致するものが選択される。


 

 

※ SOCとは、満充電の状態を100%、完全放電を0%としたとき、実際に電池を使
 える幅の広さのことである。SOC運用範囲が広ければ、電池の搭載量が同じであ
 っても、より多くの電力の充放電が可能になる。現在のHEVでは、SOCは30~40%
 程度。

【Intermission】

 




 

 

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