函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

人間って

2012年08月29日 14時15分15秒 | えいこう語る
夜、風呂に入り、パンツ一枚で外に出てみる。
人口1000人足らずの過疎の村は、すっぽり闇に包まれ、灯りといえば海岸沿いに一列に並ぶ民家の明かりと外灯が、祭りの提灯みたいにぽつりぽつりと点っているだけだ。
裸でいるとそよ風も微妙に肌に絡みつく。ちょっぴりしめりっ気のある風のようだ。
目の前の太平洋は黒々と広がり、波の起伏も見えないが、波音で波の高さを計ることが出来る。
私は全身で「明日は昆布漁だ」と判断する。
服を着てズボンをはいていれば、その感覚はこれほど微妙ではないだろう。
※風がなく動かない風車。こんな暑い日は扇風機の役目をして欲しいものだ。


随分昔の事だが、母の胎内にいた時、それはそれは穏やかな日々だった。
やがて期限が来て、住み慣れた家を追い出され下界に飛び出した時、全身に恐怖感が走りなにやら叫んだ。あの産声は「助けてくれ」という内容だったのか。
その後衣服をまとい様々なことを学び、様々な経験を重ね様々なものを身につけ、国籍は日本国に属する。
やがてベルリンの壁が崩壊し、グローバルやボーダレス化の波が押し寄せてきた。
国家や国民という存在が薄れ、心は地球を彷徨う。
そんな曖昧な時代に、人間って一体なんだろうという問いかけを、3:11東日本大震災が私たちに突きつけた。
67年前の敗戦。その後急激に進歩する文明社会の中で、私たちは人間本来の役割を忘れたのではないだろうか。
震災後の体をなしていない国家の混迷振り、後始末も出来ないままの原発再稼動。
「人間て、バカでないべが」。
そんなことをふと感じた、過疎の村の夜中に一人立つ、裸の私。