▼テレビの主要報道が、総理の感染防止を目指す学校閉鎖で、一気に流れが切り代った。「桜を見る会」問題が「コロナウイルス」に、大きくシフトしたからだ。「桜どころではないコロナだ」という、見事な変身だ。
▼そう言っちゃ身も蓋もないが「桜」で追い詰められていた総理は「学校閉鎖」という、国民を巻き込む騒動に流れを変えることにより、国民全員をその問題を振り向けたと、一息ついているのではないだろうか。
▼総理の一言での「学校閉鎖」ということに「昭和天皇の終戦宣言」を思い出した。そこまで結びつけることもないだろうが、突然の命令?に、国民の多くが従う姿を見て、そう連想したのだ。
▼この総理の決断の発端は、感染が激しい北海道の鈴木知事が、学校閉鎖を政府に申し入れたことで、始まったようだ。となれば、収束が早まれば、我が北海道知事の決断が評価されよう。
▼さらに【緊急事態宣言】という言葉を、鈴木知事が発した。この言葉こそアベ総理が最も手に入れたい言葉だ。自分の一存で、国民をコントロールできるからだ。だがこの言葉は【ナチスの全権委任法】につながるとして、多くの批判を受けている。
▼しかし北端の若き知事が、何のためらいもなく使用した。さらに「週末には外出を控えるように」との【戒厳令!?】にも似た発言をした。政府に要請し、道内を「重点対策地域」にしてもらうようにもしたという。38歳、若手ながら、いずれ相当老練な政治家への片鱗をみせた、鈴木知事の言動だ。
▼間もなく収束に向かうだろうが、この鈴木知事の迅速な判断が「緊急事態法」成立の第一歩とならないよう、注視しなければならない。どんな些細なことからも、突破の糸口を探ろうとするアベ政権だからだ。今回の行動も、鈴木知事が官邸(菅官房長官)とのホットラインを持っていることの強さだろう。
▼その後の知事の動きは「IR誘致」や「沖縄米軍基地軽減のための道内への基地移設」などへ、動きが活発化するかもしれない。【外出自粛要請】【緊急事態宣言】という言葉が、北海道新聞一面(29日)に大きく掲載されて、いやに寒い感じがする北海道だ。
▼コロナウイルスの北海道の感染場所は、たぶん「雪まつり会場」ではないかと道民なら誰しも考えていただろうが、29日の道新で初めて「雪まつりに疑いの目」というタイトルの記事が出た。
▼雪まつりに来場した人たちの早期検査を行えば、感染拡大はこんなに大きくならなかったのではないかと思う。いたずらに「市民の不安を煽らない」という考えも、ある種の政権への【忖度】のぶるいなもかもしれない。
▼アベ総理の、北海道知事に倣った学校閉鎖で、巷では相当な混乱を生じているようだ。大規模イベントの中止など、経済の落ち込みも相当なものが予想されている。最大の関心事は、なんといっても【東京五輪】の開催だ。
▼IOC会長は「開催」を求めている。兄貴分のトランプも開催を後押ししている。【経済か人命か】。世紀の平和の祭典は【人命重視】が正義だろう。どんなことがあろうが、開催国の首相の決断に期待したい。
▼今後、感染が収束せず、人命重視で五輪中止の判断を下したならば、アベ総理は名宰相として歴史に名を残すだろう。だが「福島原発の汚染水は完全にコントロールされている」と、世界に嘘を付いての五輪誘致だったことを、国民は忘れない。
▼北海道へ政府からの対策チームが送られ、かつての「大本営発表」のごとく、感染の人数が抑えられて発表される。早々と終息宣言を出し【五輪開催】が行われ「国威が発揚」される。そうであれば、アベ政権念願の【憲法改正】へ、大きな道が開かれることになる。
▼北海道は『週末外出禁止令』が出たので、家に閉じこもっている。今夜見る夢を、ブログに書いてしまったような気がする。閉じこもっていると、健全な発想が出てこないというのは、実感できる。
▼嘘に嘘を重ね、付いた嘘も分からないアベ総理だ。こんな総理に国の将来を任せていれば「サクラウイルス」が「コロナウイルス」と混合して狂暴化し、国家存亡の危機がやってくるのかもしれない。
▼鈴木知事は去年の初選挙で「ピンチをチャンスに」と叫んでいた。
早くもピンチがやってきた。だがこのピンチが知事にとってのチャンスになれば、道民がやがてピンチにならないか、気を付けなければならない気がする。