▼私が住む地域から20キロほど離れた所に縄文遺跡群があり、2021年7月に世界遺産登録となった。
▼その近くのジャガイモ畑から、1975年に3500年前という「中空土偶」が出土した。この土偶が北海道初の国宝に指定されている。
▼そこで私の家の庭を探したら、縄文の文様がはっきり付いた破片を20個ほど発見した。私の庭の隣は八幡神社だ。
▼海を前にした高台に位置しているので、畑を掘れば縄文の住居跡がありそうだ。そう思うと私も縄文人の末裔ではないかと、なんだか縄文が身近に感じる。
▼話は突然変わるが、町会に80歳に手が届きそうな未亡人がいる。その未亡人は散歩をしながら道端の草花を採取し、リース作りが得意だ。
▼先日町会の用事で未亡人の家に出かけると、リースの話になった。そこでリースの作品を見せてもらった。
▼リースははっきりした色合いのものだと思っていたが、淡い感じの上品な作品に心を奪われた。東京に出品したこともあり、雑誌社が取材に来たという話も聞いた。
▼その中に、オクラを大きくしたような緑色の変わった素材があった。「ガガイモ」という。私は初めてみたが、地域の中にはたくさんあるとその場所を教えてくれた。
▼私も採取してリースを作り、町会に飾った。それを見た町会の婦人たちは「ガガイモ」と話していた。知らなかったのは私だけのようだ。
▼縄文の本を読んだついでに「古事記」を読み返してみた。とはいっても、古事記は神様の名前を覚えきれないので、よく理解できない。
▼私の「古事記」は「江戸も京都もなかった時代の、神様のおはなし。他の本を買ったけど途中で挫折した人、初めて古事記を読む人に最適な、最後まで読める古事記です」と解説にある、漫画仕立ての古事記だ。
▼関西大学教授の村田右富実の監修で「わかる古事記」西日本出版社だ。奈良県主催の第一回古事記出版大賞を受賞している。とにかくわかりやすい。
▼「オオクニヌシの国造り」の章に、オオクニヌシに協力して国造りを始める、小さな神様スクナビコナが、舟に乗ってやってくるという場面がある。
▼その小さな舟が「ガガイモ」の実をくりぬいた舟だという。ガガイモの実は裂けると中から白い綿のような繊維質の種子がたくさん入っている。
▼その種子は綿のようなので、血止めとして使用されたり、葉茎を絞ると液が出て、毒蛇や毒虫にかまれた時に塗ると、消毒効果があるとされていたという。蔦の繊維は強靭なので、弓弦や釣り糸に使用されていた。
▼このことは、町会の未亡人たちは知らないはずだ。新年の町会の「とどっ子塾」で、教えてあげようと思う。
▼つまり私たちの故郷は、縄文の世界遺産登録地であり、古事記からの生物も生存する、歴史的に貴重な地域であるということを。
▼私の故郷【椴法華村】の名前の由来は、鎌倉時代に法華宗の日蓮大聖人の弟子である「日時上人」がやってきて、この地から唐の国目指して日本初の海外布教に出かけた。そこから『渡唐法華』となり、現在の【椴法華=とどほっけ】となったという伝説の村だ。
▼2022年の日本は【憲法改正】論議がかまびすしくなりそうだ。日本はどんな国に向かおうとしているのか。
▼ドイツ、ヴァイツゼッカー大統領の演説を思い出す。【過去に目を閉ざす者は現在にも盲目であり、未来も同じ過ちを繰り返す】。
▼些細な出来事でも注視しながら、戦争のない国へと、国民全員が力をあわせていきたいものだ。
▼神々の誕生・国造り・縄文人・アイヌ民族。私たちは学ぶものがたくさんある。それらの歴史の中に【平和】へのヒントが隠されているように思える。
▼「ガガイモ」と「中空土偶」。中空土偶もジャガイモ畑から出土した。アイヌモシリ=北海道は、日本の未来の新発見の大地なのかもしれない。
ガガイモの育つ故郷にいて
三等下