▼【黒く焦げて死んでいるお婆さんを、抱き起していたお爺さんに、ある人が慰めていた。お爺さんは「あの砂山のところで、可愛い孫を腹の下にかくして、こうやって死んでいました」と笑顔を見せながら話したが、涙をぽたりと落とし、遂には泣きじゃくり、その死人の胸に顔をうずめて泣き出した。・・・遠くから死人の霊を慰める鈴の音が響いてきた。私は思わず「南無阿弥陀仏」と唱えた】。
▼読み始めて、ウクライナ戦争を思い出した方も多いに違いない。これは1934年(昭和9年)3月21日、焼死者2166人、市内3分の1を焼失した【函館大火】の、災害誌に記載された女子学生の文章だ。
▼この大火を米国人が調査し、米軍に資料として提供されていたことが分かった。その後木造家屋が多い日本国内の20都市の壊滅には、焼夷弾の量が3倍以上になったというのが、28日の北海道新聞の記事だ。
▼米軍は日本都市部への爆撃計画で、木造家屋を建設し焼夷弾を投下し、消滅状態の実験を行っていたというのも知られている。
▼戦争は突然始まるのではない。十分に計画され勝てると判断したら、相手が仕掛けてきたような理由をつけて開始される。この奸智にたけた卑劣な行為が戦争だ。
▼ということで、いくら歴史で学んでいても、人間はまた繰り返す。なぜかといえば国家があり、国境(縄張り)があるからなのだろう。
▼ウクライナ戦争はロシアではなく、プーチン一人だけの問題のようだ。ロシア国民の中からも反プーチン運動が起きている。もちろん軍は弾圧する。
▼いずれは国内からの動きで、プーチン政権は崩壊するだろう。だが、停戦協定が進み戦争が中断されれば、国内の反プーチン勢力の壊滅計画に向かうに違いない。
▼国民にそっぽを向かれたプーチンは【粛清】という、人類史上まれにみる行動をとるに違いない。プーチンはなぜそんな力を持ったのか。それは世界屈指の「軍隊」を保持しているからだ。
▼そんな人間が我が国には出現しないかといえば、サリンをばらまいた「アサハラ」を思い出す。彼は軍事力も保有しようとしたからだ。
▼他は自衛隊のトップに、8年も鎮座したシンゾウだ。プーチンとの27回もの会談を持ち、北方領土交渉を粘り強く交渉していたと思っていたら、まったくそうではなかった。
▼能天気にもほどがある。ロシアが戦争の最中に、我が国も【核共有】をという、アサハラ以上の国家破壊的発言をした。
▼ロシアはこの言葉に反応し「北方4島問題」は、無しにすると宣言した。領土返還運動団体と野党は団結し、シンゾウを国会で糾弾してほしいものだ。
▼と思っていたら最近の世論調査では「米国の核兵器を国内に配備して共同運用する政策についても議論をする必要がある」という意見が5割を越えたという。
▼2発の核を落とされた国ということを、忘れているのだろうか。そういえば【8月15日】を知らない若者が増えてきたというのを思いだした。
▼もしかして「憲法改正」の国民投票が行われたら「過半数」は超えると現政権は予測し、次の参議院選挙には、最大の選挙資金を投入してくるに違いない。
▼突然シベリア寒気団が侵入してきた様に、背筋に悪寒を感じた。軍靴の足音は、サハリンや千島列島に響いているのではないだろうか。
▼驚くべきことがある。2020年2月に、陸上自衛隊が記者向けに実施した勉強会で配布した資料に「予想される新たな戦いの様相」というのが記載してあった。
▼テロやサイバー攻撃と共に【反戦デモ】を例示してたという。記者たちから不適切だとの指摘を受け、資料を回収し【暴徒化したデモ】に修正したという。北海道新聞(3月31日)
▼さらにその資料を保存期限前に、誤って廃棄したという。公文書管理法で期間内に廃棄してはならないとされているのに「再発防止に努める」というのでは、次もこの言葉を繰り返すだけだろう。
▼それが30日の衆院外務委員会で質問された。質問するのも遅いが、記者たちがそれをトップ記事にしなかったのが解せない。政府の圧力がかかっていたのだろうか。
▼戦争はある日突然起きるのではない。戦争できる準備がある程度整った時、走り出すのだ。その時に政府の命令を行き届かせる強制手段が【緊急事態条項】だ。
▼そうなれば「戒厳令」や憲法を停止し、日本も「全権委任」できる権利も与えてしまう。プーチンはそんな権力を持って戦争を行っているので、反対する者は全員牢屋行きとなる。
▼現自衛隊でも【反戦デモ】の取り締まりをしようとしているのだから【9条改正】を見越しているのだろう。
▼ウクライナ戦争は、日本の軍備強化に拍車をかけるに違いない。ロシアの北海道侵攻を煽り【憲法改正】へと突進しそうだ。
▼我が国の政治の裏舞台で起きていることを、いち早く報道して、国民がいたずらに国防意識を高めないよう【新聞の力】を発揮してほしいと思う。
▼【人間として許してはならない、踏み越えてはいけない一線に対し、自分の中に湧き上がってくる『反抗』の精神を大切にしよう】と呼びかけるのは、東工大教授の中島岳志だ。
▼昨日もヘリコプターが5機、私の目の前の海上を飛んで行った。5機も飛んでいるのは生まれて初めて見た。随分前に亡くなったが、元兵士から聞いた話を思い出した。
▼戦闘機から襲撃されたら、前に逃げると完全に後ろから打たれ死ぬ。飛行機に向かって走った方が銃弾の流れが見えて、助かる可能性が大きいと。
▼本当にそうだろうか。でも戦場で考えたそうだ。この言葉も忘れないでいようと思う。