共通テーマ「潮」でTが書いた詩を投稿します。
スーパームーンの夕暮れ
河口近く
小さなゴムぞうりが片方
満ちはじめた潮の上で
たゆたっている
昔 同じ川に
小さなサンダルの片方を落とした
雨上がりの日で
流れの速さは
一瞬にサンダルを消してしまった
葉から雫が落ちて
木いちごが黄金色に光っていた
今 歩きながら
ポテトチップのわさび味を食べた
ツンとして涙が出た
あとから あとから涙が零れる
あの頃いた家族は皆いなくなって
先月は二人目の孫ができた けれど
あの日から
六十五年の時間を
きちんと消費しただろうか
私も
河口で揺れている
山際から
朱色の大きな月が上ってきた
スーパームーンの夕暮れ
河口近く
小さなゴムぞうりが片方
満ちはじめた潮の上で
たゆたっている
昔 同じ川に
小さなサンダルの片方を落とした
雨上がりの日で
流れの速さは
一瞬にサンダルを消してしまった
葉から雫が落ちて
木いちごが黄金色に光っていた
今 歩きながら
ポテトチップのわさび味を食べた
ツンとして涙が出た
あとから あとから涙が零れる
あの頃いた家族は皆いなくなって
先月は二人目の孫ができた けれど
あの日から
六十五年の時間を
きちんと消費しただろうか
私も
河口で揺れている
山際から
朱色の大きな月が上ってきた