湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

名前の詩パート2

2020-12-30 19:54:05 | オリジナル
共通テーマ「名前」でAが書いた詩を投稿します。

宛先

示す偏が衣偏になっている
旁は右ではなく谷になっている
宛名の文字が違う
ということは
わたし宛の本ではないのだ

転送先がわからないので
一字違いの 衣偏の
わたしを召喚する
示すわたしと衣のわたし
ふわふわした詩が詰まった本の頁に
落ち着かない視線を置いていく
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名前の詩パート1

2020-12-28 14:19:13 | オリジナル
 東逗子ふれあい広場で
新しい共通テーマ「名前」でTが書いた詩を投稿します。
路子

澄子が
役所から戻ると
路子になっていた
戸籍係の父の友人が
名づけ親になった
千四百グラムの未熟児を見て
元気に路をまっすぐ進めるように
という願いからだったという
ミチコの中ではこの字が一番気に入っている
澄子だったら
素直でやさしく
軽やかな人生になっていたのでは

森の中の小路を歩いた
旅先の知らない路も歩いた
六本木の四十年ぶりの路では迷子になった
屋敷町街の路はいつも静かだ
そこを一緒に歩いた人はもういない
今は詩の中の路を歩いている

絵美留という絵画の修復師がいた
友人の七枝は押し花作家だ
名前が人生を引き寄せることがある
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山眠る

2020-12-27 11:57:53 | 文学
朝ごとに東の山の眠る見つ

山には季節ごとに擬人化の季語があり、今は「山眠る」。「山眠る」の名句を3句ピックアップしてみました。
山眠るや山彦凍てし巌一つ 松根東洋城
眠る山起こさぬやうに骨納め 佐々木忠利
免許証撫でて返すや山眠る 七沢時夫

3句めは先々週のNHK俳句の入選句です。
ちなみに、春は「山笑ふ」夏は「山滴る」秋は「山装ふ」
これらの山の季語は、中国の山水画論「春山淡冶にして笑うが如く」「夏山蒼翠にして滴るが如く」「秋山明浄にして粧うが如く」「冬山惨淡として眠るが如く」からきているそうです。
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狐火俳句

2020-12-24 18:59:34 | 文学
湘南句会12月のもう1つの兼題「狐火」で、面白い句が集まったのでご紹介します。
狐火が無人のエレベーターに乗り
濡れ髪の鏡に狐火映りけり
旅立ちや狐火浮かぶ無人駅
きつね火を待ちながら喰ふ玉子焼
孤食夜の窓を狐火横切りぬ
姿消ゆ動画に撮りし狐火の
狐火の講釈をする理系女子
才徳の沼より狐火浮き出(いで)し
急坂を狐火二つ七曲り


そういえば1月に「雪女」で作った時も怖く愉しくいっぱいできましたよね。幻想的な季語を取り上げると、想像が膨らむ私たち。
次は夏に「幽霊」でやってみましょうか。
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湘南句会次回の予定

2020-12-23 18:36:10 | 文学
噴水の上がるの待って日向ぼこ
横須賀に行った時に通りかかると三笠公園に寄ることがあるけれど、1日5回20分間の音楽噴水とタイミングが合うことは皆無。
今日は外に居たほうが暖かそうだったから、平成町界隈で時間調整しながら音楽噴水の少し前に行って全編見せてもらいました。

さて、昨日決めた湘南句会の来月の予定は次の通りです。
句会 2021年1月27日15:00~@逗子市民交流センター
兼題 「枯柏」「焚火」

来年もよろしくお願いします。
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アロエの花俳句

2020-12-22 19:59:12 | 文学
今日の湘南句会の兼題のひとつ「アロエの花」でメンバーが詠んだ句から、点の入ったものをご紹介します。
花アロエ岸に広げる漁網かな
花アロエ更地となりし魚市場
アロエって咲くの 咲いておりますこの通り

そうです。この辺ではあちこちで咲いております、この通り。
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手袋俳句

2020-12-21 23:46:00 | 文学
外出に手袋が必要になってきました。ということで、季題「手袋」でひねってみましたよ。

中にまだ手の在るやうな革手袋
涙ぬぐふ手套ウールの香りして
後ろ姿の君手袋をひらりとす
歯で脱ぎし手袋のまだ口にあり
豚革の作業手袋五指余る
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湘南文芸次回の予定

2020-12-19 23:10:07 | 文学
真冬に海パン一枚で海に入っている人がいる~!と思ったら、逗子海岸に設営されたテントサウナに入っていた人でした。

さて、湘南文芸来年1月のテーマは「深い」と、自分の名前の字を入れたものに決まりました。
作品提出締切は1月14日です。よろしくお願いします。
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本の詩パート3

2020-12-18 23:15:08 | オリジナル
Iが共通テーマ「本」で書いた詩。今日の合評会で手直ししたバージョンを投稿します。

図書館

書架から取り出す一粒一粒

マーブル模様の粒
洋酒の香りがする粒
苦そうな濃い色の粒
硬い手触りの粒

図書館はさまざまなチョコトリュフの詰まった箱
さあ、どれから食べようか
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ふたつの「たき火」

2020-12-16 18:19:43 | 湘南
茅ヶ崎独歩会のKさんYさんを、逗子市浄水管理センターの国木田独歩文学碑にご案内。
碑に刻まれた引用部分は、新体詩版「たき火」の出だしです。
逗子の砂やま草かれて
夕日さびしく残るなり
沖の片帆の影ながく
小坪の浦はほどちかし

独歩には散文版の「たき火」もあり、そちらはこんな書き出し。
北風を背になし、枯草白き砂山の崕に腰かけ、足なげいだして、伊豆連山の彼方に沈む夕日の薄き光を見送りつ、沖より帰る父の舟遅しと俟つ逗子あたりの童の心、その淋しさ、うら悲しさは如何あるべき。御最後川の岸辺に茂る葦の枯れて、吹く潮風に騒ぐ、その根かたには夜半の満汐に人知れず結びし氷、朝の退潮に破られて残り、ひねもす解けもえせず、夕闇に白き線を水際に引く。もし旅人、疲れし足をこのほとりに停めしとき、何心なく見廻はして、何らの感もなく行過ぎ得べきか。見かえれば彼処なるは哀れを今も、七百年の後にひく六代御前の杜なり。木がらしその梢に鳴りつ。
逗子海岸から望む伊豆連山、御最後川(田越川)、六代御前の杜と、今も見られる場所が書き込まれています。

Kさんが碑を写真に収めたすぐ後に、少しだけ降っていた雨が一瞬雪に変わり、逗子湾一帯が冬の情景に。
独歩がこの場所で焚き火を見ていた125年ほど前の冬にタイムスリップしたような気分になりました。
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