湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

靴の詩パート2

2019-09-29 18:33:54 | オリジナル
共通テーマ「靴」でAが書いた詩を投稿します。

天・地・霊長類

雲の獣は赤い血を従えて浮かび
やがて褪せ墨に溶け消える
一羽の鳥が風に逆らって向かうのは
ねぐらの木なのだろうか
眠そうに赤色灯を振る警官
リボンのかかった箱を面倒そうに運ぶ男
嬰児を抱いてゆっくりと歩く女
狭い路地を覆う電線

年齢も性別も立場も
有機物か無機物かも関係なく
共に眠りこけたいが
一日中働いて湿った靴を履き
われわれはべつべつの
煤けた棺をめざすのだ
サイズの合いすぎる
質素だが精密な靴から
微かな震えが煙のように昇ってくる
人類が負っている役割を
私も履かされているのだな

だれかを憎んだことを反芻したくないから
今日の食事は植物性
キューカンバ・サンドと葡萄酒
歩んでいても気付かないことを
夢の中で跣でeurekaと呼んでみたい
発見したなんて嘘なのだけれど
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花火俳句

2019-09-27 09:12:46 | 文学
NHK BS「ふらっとあの街 旅ラン10キロ」。9月23日に逗子葉山編を放送していましたね。
旅ランナーさんが途中、葉山港で台船を見ているおじさんにインタビューしたりしていました。
収録日が7月25日の葉山海岸花火大会の日だったんですね。

大崎公園からスタートした旅ランのゴールは、あの日Aが花火見物をした一色海岸でした。
さて今日は、逗子海岸花火大会です。天候に恵まれてよかった。逗子湾沖に台船が来ています。

昼間から台船を見たり祝声花火の音を聞いたりして、花火大会の日をいろいろに楽しんでしまう一環として、花火の名句を改めて鑑賞してみました。
復路なきみちを花火の馳せのぼる 上田五千石
くらがりに人の別れや遠花火 藤田湘子
犬の尾の照らされてゐる花火かな 今井聖
夜間クラスの窓いつぱいに揚花火 柴田千晶
花火消え元の闇ではなくなりし 稲畑汀子
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秋の水で俳句

2019-09-25 16:56:23 | 文学
先週の湘南句会で、季題「秋の水」で詠んだものを3句。

橋桁をすっとかわして秋の水
雲のかげ映して白し秋の水
日向水出切りここから秋の水
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葉の詩

2019-09-23 22:47:38 | オリジナル
Iが5月のテーマ「葉」で書いて、更に書き直した詩を投稿します。

葉山の葉子さん

葉山の葉子さん
のり巻きせんべいが好き

葉山の葉子さん
ピアノが上手

葉山の葉子さん
僕の妹だよ

葉山の葉子さん
もう葉山にいない
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キャンドルナイト&靴の詩パート1

2019-09-22 23:17:22 | オリジナル
キャンドルナイト2019@逗子海岸

点灯時は降っていなかったのですが、6時頃から雨がぱらつき出したところにまた行ってみたら、こんな水玉写真が撮れちゃいました。

では、新しい共通テーマ「靴」でAが書いた詩を投稿します。

脳だけが脆弱で

丈夫な足が
履いている靴
以外 何もない
丈夫な身体
に付属する脳が
上の方で前後左右に
揺れて司令する方向へ
労働しながら動いていく

どこかへ行きついて
あの人と出くわし
どうしてここへ来たか
説明できなくて停止
した脳を掲げた丈夫な身体
が前後左右に揺れる

わたしを支えている
のは靴 もしくは執着
その底はいびつに
擦り減っているので
ここがどこなのか
弱い頭は理解できない
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10月の湘南文芸・句会

2019-09-21 23:27:25 | 文学
来月の日程とテーマです。

湘南文芸 10月22日(火)14:00~ 「靴」又は自由題 
湘南句会 10月23日(水)15:00~ 「団栗」「錆」又は自由題

今回から句会も自由題作品を出していいことにしました。
見学歓迎。場所は逗子市民交流センターです。
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食べるの詩パート10

2019-09-20 00:00:54 | オリジナル
共通テーマ「食べる」でCが書いた詩を投稿します。

未確認

食卓の灯りの下
ぶすぶすと
焦げた臭いが
漂い始めると
逃げ出した

焦げ始めると
逃げ出すことの
繰り返し

最期は
灯りのない部屋で

生涯かけて
だれからも
探してもらえない
遺体になった

火葬されたら
翌日には役所のひとが
無縁仏で葬ってくれる

清々しくて ずるいくらいだ

(自分にも 思い当たる者がいる)

食べるの詩の合評会は本日14:00~@逗子市民交流センターです。
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食べるの詩パート9

2019-09-19 00:50:26 | オリジナル
共通テーマ「食べる」でSが書いた詩を投稿します。

夜の詩

お母さま わたしが
ホテル・リッツのキャビアが
きらい なことをご存知なのに……
少女が泣きじゃくっている
豊かさのなかで死にたい引き出しに
防腐剤を入れようね
最上階の眺めのいいへやに
ビール腹の老人そっくりのムードの男女が
大食い競争の賞状などを壁に
はりめぐらして住みついている

なりさがった文化よ ピカソもどきよ
毛のない文化
ゲイジュツもどき
せめて毛深ければとねがうばかり

人間の
原形の
退却よ

    
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食べるの詩パート8

2019-09-18 00:54:26 | オリジナル
共通テーマ「食べる」でZが書いた詩を投稿します。写真もZの撮影。溝の口公園のボタンクサギです。

食べる

俺が食べてきたものは 
舌舐めずりした欲望に 
忍耐を混ぜたドレッシングを かけた 
遅効性の 毒芋サラダ 
お陰で腹は下すし 熱まで出た  
俺が食べたいのは 
苦い希望と 硬い決意  
歯槽膿漏の歯では 噛むのに一苦労  
デザートには ミントが乗った酸っぱい思い出 
そんなものを食べたら 腹一杯になるだろか
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食べるの詩パート7

2019-09-17 00:00:45 | オリジナル
共通テーマ「食べる」でSが書いた詩を投稿します。

カツ丼

カツ丼二つたべ
ステージにもどった
バンドリーダーにしかられた
あるものの存在が
しっかり目をあけていた時代

――二十四歳の夏 音楽に恋をした
追憶は高貴だ
失いつつある 失われつつあるもの
たかが簡素なカツ丼 たかがジャズ

負けるなかれ
衣食足りての
大合唱に
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