湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

美の詩パート7&江の島シーキャンドル

2015-11-30 00:00:16 | オリジナル
一昨日から毎冬恒例江の島シーキャンドルのライトアップが始まりましたね。
逗子海岸から見るとこんな感じ。来年1月末までやっています。

では、共通テーマ「美」でAが書いた詩を投稿します。

羊+大=美∩大いなる犠牲

端正な姿勢と表情で佇んでいたりしない
目の前の壁にひっ掛かっていたりしない
芝居などしない 
嘘など吐かない
解釈などさせない
覚えておかねばならぬことを忘れさせ
忘れたことを鮮やかに思い出させる

謎を解き新たな謎を増やす
言葉にならぬ思考を溢れさせる
眼球と鼻腔と喉を乾き切るほど開かせる
頭脳の奥に火花を放ち眩暈を起こさせる
胸ぐらを強く掴み足を浮かせ頭を揺する
決して近付けない険しい谷に花を咲かせる
高圧の空気をぶつけ風を起こし波を立てる
堤防を決壊させ流れ込んでくる
天国から引きずり出して地獄を見せる

衝撃から放免しても
一昼夜茫然とさせる
そして翌朝
無かと思わせる端正な姿勢と表情で
目の前の壁に静かに掛かっている
大いなる犠牲である真の美
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美の詩パート6&勿忘草

2015-11-29 00:53:35 | オリジナル
共通テーマ「美」でSが書いた詩を投稿します。
 美しい部屋
書けない 書けない指の 骨が
かゆくてたまらない
指を おひたしにして
食べてしまおうかと思っている
とつぜんKがやってきて
なにを書いているの
と言いながら窓を勝手にしめる
顔をしかめて 大きな声で
こんなバラだらけの部屋は 良くない! と言い出す
わたしが両手で耳を覆うと
しみじみが勝つのよ バラの負けだわ
花を変えなさい
と言った

 アンティークショップ勿忘草
写真は、宗泰寺向かい徳冨アパート1階にある勿忘草の店内です。お店をやっている高須さんは家族揃ってコレクション好きで、今まで趣味で買い集めた膨大な数のアンティーク・レトロの陶器や小物類を、ここで展示販売しています。
ガラスの兎さんを見つけたので、逗子ゆかりの文豪泉鏡花に倣って収集している兎小物の仲間に入ってもらいました

勿忘草 逗子4‐12‐18徳富アパート101 11:00~17:00 (水)休
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殻の詩パート8

2015-11-28 00:00:00 | オリジナル
共通テーマ「殻」でSが書いた詩を投稿します。


 

かわいそうなすみこさん
きみが残っているのに
この家は 愛の モヌケのカラだね

ぼくが
きみを抱いてあげよう ほら
愛の 卵が ひとつふえて

きみが死なないかぎり
モヌケのカラとは 呼ばせない
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美の詩パート5

2015-11-27 00:40:11 | オリジナル
共通テーマ「美」でSが書いた詩を投稿します。   
 逗子開成のイチョウ並木
   その言葉
美しい言葉
と表紙に書かれた大学ノート
夫だった人の遺品だ
救急車で出ていくとき
心にしみ入るような言葉を
かれはつぶやいたのだが
どうしても 思い出せない
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美の詩パート4

2015-11-26 00:00:10 | オリジナル
急に寒くなりましたねぇ。もう、お店にシュトーレンが並ぶ季節ですからね

では、共通テーマ「美」でTが書いた詩を投稿します。

     

まだ世界を把握していない少年の
首から背中への輪郭

弦を力強く押さえ 弾く
ジャズのベーシストの指

不安すら養分にして伸びる
夏の陽の染み透った少女の足

波しぶきに驚いて飛び立つ
アオバトの羽の黄色 青 朱色

夕暮れ 朱色の雲の隙間から
楽人が笛や太鼓を奏でながら
魂を迎えに来る空

未来は希望ばかりと思えるほどの
メタセコイヤの柔らかく明るい黄緑の並木

そして
胸の中で私を見上げる君の瞳
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殻の詩パート7

2015-11-25 00:57:45 | オリジナル
共通テーマ「殻」でSが書いた詩を投稿します。

指と殻
からを
むくたびに
やさしくなるゆび
でありたい
ところが わたくしの
ゆびはむくたびに狂暴になるのだ
あるいは ロマンチックになりすぎる
柔なやくざのBGMのように
ゆびよ!
踊るな
泣きじゃくるんだ


↑これらは指ではありません。赤ちゃん用のにぎにぎです。舐めても噛んでもどんなふうに扱っても大丈夫なように、安心な素材でしっかり作られています。
無表情とも思えるシンプルな眼鼻立ちにしてあるのは、その時々の感情を反映できるようにというシュタイナーのウォルドルフ人形と同じ考えから。

作っているのはignutsさん。手に持っているのは野菜シリーズのネギにぎにぎ。
逗子ではアミーゴマーケット(新宿1‐5‐14)で販売しています。
写真左のワゴンにいろいろな野菜ちゃんたちがいましたよ。
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腐った言葉に活を入れる

2015-11-24 10:28:43 | 

「作詩法入門」の中にある「作詩にあたっての十個条」を読みたくて、金子光晴全集第十巻(評論Ⅰ)を図書館から借りてきました。
その巻に収められている「現代詩入門」(昭和29年)の中に、こんな文章が。
私たちの合評会でも「手垢のついた表現は避けよう」と常々言い交わしていますが、その理由はこういうことなのです!
僕らはやはり、言葉をイミのあるものとして使用するが、言葉が何億の人に何億度くりかえして使用されているかわからないためにマメツし、濁り、どうにもならない不純なものになっていることは当然で、多くの人は、それでこそ便利もしているのだし、事もスムースにはこぶというもの。一々言葉に特殊な新鮮なイミなどを感じていた日には、日常生活的にやりきれたものではない。
文学の仕事は、一面、そのくさった言葉に活を入れあたらしいイミを背負わせる技法のことなのだ。むろん、詩のまかせられている仕事もそれなので、詩の言葉が世俗のイミを間抜けに背負っているようなことでは、その詩はつまらないということにならなければおさまりがつかないだろう。
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殻の詩パート6

2015-11-23 02:20:13 | オリジナル
昨日の逗子海岸流鏑馬。カヤックやボードに乗って海上から見物している人もいました。

では、共通テーマ「殻」でAが書いた詩を投稿します。

抜けない殻

季節が扉を開けたり閉じたりしている
人々は往ったり来たりしている
そのせいで君は自然を見失い
抜け殻から抜け出さないことで
凡庸な成熟から免れている

人は傷つけやすい
君は傷つきやすい

抜け殻から出ない選択で
人々を嘲弄しているわけではないし
憐憫を求めているのでもない
再びそれを破って出てくるときは
おそろしいものを手につかんでいる

人を傷つけやすい
君は傷つけやすい
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美の詩パート3

2015-11-22 00:54:42 | オリジナル
共通テーマ「美」でAが書いた詩を投稿します。
 蘆花記念公園休憩所
和魂の美

この国が外に開かれた時代
輸出用の陶磁器を焼いた職人は
自分で使ったことのない洋食器を
苦心して形づくった
絵付けをした絵師は
自分で使ったことのない洋食器に
繊細に西洋の図案を描いた
知らぬ物を焼いた誠実な日本人
知らぬ絵を描いた器用な日本人
家で茶碗飯をかきこむときにつぶやく
やはり食器はこうでなければ

輸入した他国の人々には
自国的だったのだろうか
異国的だったのだろうか
なにより 使いやすかったのか
好んで使われていたのなら
どこかうつろな誇りを抱く

今は実際に使われることなく
高値で取り引きされ
骨董として飾られる
という方法で愛される
NIPPONと窯印のある食器
うつろなニッポンの美

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殻の詩パート5

2015-11-21 00:00:29 | オリジナル
共通テーマ「殻」でTが書いた詩を投稿します。

脱皮

もし 君が
自ら光る糸を吐いて
青い繭を作らなければ
君のあかむけの心は血を滴らせたままだったろう
突然の変化にとまどい
同時に
他人(ひと)の視線が突き刺さる と叫び
他人(ひと)は嫌いだ と泣く君は
繭の中に閉じこもって蛹になった
長いこと
自分の部屋でひっそりと繭は光っていた

動く気配に気づいて部屋に行くと
繭を破って脱皮した君がいた
これから飛ぶよ と笑った君

飛ばなくていい ゆっくりと這ってでも
丹念に時を過ごして欲しい

久しぶりに開けた窓から風が吹き込んで
繭の欠片をさらっていった
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