湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

澄むの詩パート8

2017-09-30 00:17:39 | オリジナル
共通テーマ「澄む」でSが書いた詩を投稿します。

澄みきったもの

むかしむかしあるところで
赤ちゃんは自殺した
生まれないことの
幸福!
必要善の
澄みきったもの赤ちゃんの
人物になるチャンスだって?

赤ちゃんのおじいさんらは川へ
ウナギをゆめ見て
紅をつけたおばあさんはパチンコ屋へ
ゆめを忘れ果て

詩人の嵯峨さんは歌った
 生まれることも死ぬことも
 遠い復讐 人間への
自死した赤ちゃんのおホネが鳴っている
カランカランカラン カランカラン
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澄むの詩パート7

2017-09-29 01:33:55 | オリジナル
共通テーマ「澄む」でTが書いた詩を投稿します。

場所移動

澄んだラグーンの中で
私は魚
ウミガメは飛ぶ鳥のように泳ぎ
そばには2頭のイルカ

剥ぎとって捨ててきた関係

日付変更線を越えて来た島では
過去は消えていく

はじまる魚の記憶
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草間時彦の飲食句

2017-09-28 07:53:16 | 文学
 神楽坂蕎楽亭で
10月6日の湘南句会の兼題「食」を決めた時、すぐ頭に浮かんだのは逗子桜山に暮らし食に関する句を多く詠んだ俳人草間時彦(1920~2003年)でした。

句集「池畔」の栞に、彼と同じ桜山在住の俳人で詩人の高橋睦郎がこんな文章を寄せています。

草間さんは空白の時間をそのまま詩に当てるような大上段の野暮はしない。もっぱら飮食(おんじき)、とりわけ食(じき)に費やしているように思われる。〈蓮牛蒡噛めばたやすくしぐるるよ〉〈壬生狂言太き饂飩を食うべ来て〉〈きびなごの身の透く寒や旅の箸〉〈牡丹鍋よごれし湯気をあげにけり〉〈飛竜頭のなかのぎんなん冬ごもり〉〈白妙の湯気の釜揚げうどんかな〉〈葛切やすこし剰りし旅の刻〉〈水割に始まる年酒宥されよ〉〈月曜は銀座で飲む日おぼろかな〉〈おほぶりのひでひら椀の三が日〉〈顔見世や百合根ふつくらお弁当〉〈どぜう屋に席を見付けし祭かな〉。
それが読み進むほどに、しずかに辛くなってくる。〈牡蠣食べてわが世の残り時間かな〉〈老の春なにか食べたくうろうろす〉〈ぼけかけし夫婦に茄子のこむらさき〉〈秋刀魚焼く死ぬのがこはい日なりけり〉。
内容的には相当に深刻なのだが、あくまでも淡淡としている。淡淡としているだけにかえって辛く、怖ろしい。映画でいえば、黒澤明ではなく、小津安二郎。その窮極にあるのが、
 年よりが白湯を所望やお正月
そして、その「白湯」には数十年前の1句の中の「湯気」が通うている。
 立ち食ひの蕎麦の湯気より死者の声
そうなのだ、草間さんが生涯にわたってこうもくりかえし飲食の句をつくりつづけたこと、その飲食の内容は特別のものでなく、むしろありふれたものなのに、なつかしさとともに高い香気を放っているのは、草間さんがいつかなるべき死者として、それらを真剣に飲み食いし、それらを飲み食いしたかつての死者を切実に感じているからだ。
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文芸3コース無料体験

2017-09-27 00:11:31 | イベント
逗子市民交流センター1階掲示板にこんなチラシを貼ってもらいました。

タウンニュース逗子葉山版9月22日号にも載っていますが、10月19日(木)に小笠原学園(逗子5-10-28 ℡046-871-2082)で行われる無料体験レッスンのお知らせです。11月9日の散文・俳句・詩の文芸3コース本開講前に、無料でお試し受講できます。
11:00~12:00がAが講師を務める文章の書き方
13:00~14:00が柴田千晶講師による俳句入門
14:30~15:30が同じく柴田千晶講師による詩の鑑賞と創作です。
「文章の書き方」は、10月11日までに作品を提出すれば、添削して19日にお戻ししますよ。
詳しくは小笠原学園ホームページを見てね!
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澄むの詩パート6

2017-09-26 07:22:17 | オリジナル
共通テーマ「澄む」でAが書いた詩を投稿します。

夢の旅

―もう目覚めないから
 このまま旅をつづけよう―
何も恐れず
澄んだ意識で
呼気薄く眠るのは
今から滑るように死にゆく人

目覚めるために夢の旅を中断し
抜け殻に詰め込まれた伝達物質を使って
六時に起き上がった私に
目もくれず
出発地 目的地
荷造り 荷解き
理由 挨拶
なにもない
無限の光年へと
澄んだ意識で
蒼穹を透けてよぎるその人を
白い翼に陽を受けて
一羽の鷺が追ってゆく
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壁の詩パート6

2017-09-25 00:36:51 | オリジナル
共通テーマ「壁」でSが書いた詩を投稿します。

壁は

壁がなかったら
家は無意味になる

壁は人にだけ意味がある
なぜなら動物とちがって
人は壁を正確に
壁として受け取るからだ

壁はセンチメンタルなものになった
画布に描かれた頼りないびんのように
倒されないかぎり
倒れない
うつくしいびんのようにだ


「壁」「澄む」の詩の提出締切は9月29日(金)です。未提出のメンバーさん、よろしくお願いします。
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詩歌句協会授賞式

2017-09-24 07:37:32 | 日記
Aの詩集が第13回詩歌句随筆評論大賞詩部門優秀賞を受けることになり、9月23日に北とぴあ(東京都北区)で行なわれた授賞式に行ってきました。

詩部門の他に短歌・俳句・評論・随筆各賞の授与もありました。授賞式の後は記念講演と祝賀懇親会。

北とぴあ14階からの東京パノラマビューがどんどん美しい夜景になっていく中、実力ある詩人・俳人などとの交流を深め、三次会では更にフランクなコミュニケーションができて、意欲高まる楽しい日となりました。
日本詩歌句協会の皆さんありがとうございました。
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澄むの詩パート5

2017-09-23 09:19:09 | オリジナル
共通テーマ「澄む」でSが書いた詩を投稿します。

澄みわたった青い空

どこへ逃げればいいのか
いのち乞いには成功したのだ
惨劇の絵のぴったりの
青い空
ハレンチな澄みわたった青い空には空の
子分が
うようよいて
目を光らせている

どこへ行けばいいのか
ここはゆきどまりなのか
すると
45歳ぐらいの美しい男性が
目の前にあらわれた
「ぼくが連れていきます」
「あなたにはいのちという才能があります」
この男性はだれなのか
D.H.ロレンスのチャタレイ夫人に
変身できるか?
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壁の詩パート5

2017-09-22 09:14:36 | オリジナル
共通テーマ「壁」でSが書いた詩を投稿します。

     

あんな昔のことを
妻のように
しゃべり続ける
歩きまわれない

思い出のガウンはシルクの裏をつけ
だが
酒とバラの日々など忘れてしまった

静かだね さびしいね
おまえのお面に似た顔
そんなおまえがいるから
わたしは旅に出られない
あんな昔のことに
目を光らせ
けっしていやされない
妻の眼をする
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壁の詩パート4

2017-09-21 00:09:59 | オリジナル
共通テーマ「壁」でAが書いた詩を投稿します。

十五年間

ご実家は?
と聞かれれば
S市です
と答える

昭和三十八年
父はS市に
中古住宅を買った
売り主の大工による増築が
途中までになっている家で
東に向いた一部屋には
屋根と柱と基礎しかなかった
半分屋外のようだったその部屋は
とても楽しい遊び場だった
一年後に
壁と床ができて
月賦で購入したミシンが置かれた
他の部屋より新しく
他の部屋より安っぽいその部屋の
ミシンの横には
いつまでも縫いかけの
私のブラウスがあった
二階の自室の勉強机に乗り
窓を跨いで
一階の新しい部屋の屋根に降り
濃い夜空を眺めた

屋根と壁の内側で
外の世界でかぶった泥を
なすりつけあい
互いに離れたがって
家族は暮らしていた
昭和五十三年まで

ご実家は?
と聞かれれば
もう訪れることのない
S市です
と答える
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