8月7・21日は
葉山美術講座へ。この講座は、近代美術の専門テーマについて少し上級者向けの奥深い内容を、神奈川県立近代美術館葉山の学芸員が話すもの。昨年度からスタートしたのだそうです。
県近美葉山の講堂、この講座で初めて入りました。
今回の2回連続講座のテーマは「瀧口修造 旅する眼差し」。1度目はヨーロッパへ、2度目はアメリカへ。この2回の旅がどんなもので、シュールレアリストとしての彼に何をもたらしたのか、という話を聞きました。
旅その1は1958年5~10月(55歳)のイタリア・フランス・スペイン・ベルギー・オランダ・スイスへの旅。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表兼審査員として渡欧。6月下旬からは私的な旅になり、8月スペインでダリとデュシャンに、パリでミショーに、10月パリでブルトンに会います。
旅その2は1973年フィラデルフィア。デュシャン回顧展開会式に招かれ一旦は欠席の連絡をしたのですが「ふと普段着のままでその時刻に姿を現してみようかという突飛な考えが浮んで」渡米したのだとか。ここでデュシャン夫人と再会。
帰国後、フィラデルフィア滞在にまつわるメモなどをコラージュした私製草紙「扉に鳥影」を制作します。
その複製が挟み込まれだ「ユリイカ」1977年8月号が、受講者に回覧されました。
幅広いカルチャーのワンテーマ特集を中心にした今の「ユリイカ」と違って、この時代は1号が詩と詩論で埋め尽くされていて、他のページも全て読みたいくらいでした。
詩人として気になっていた瀧口の人生や美術評論家としての活動を知り、とても真面目に前衛した人だったのだと感じました。