湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

秋の飲食俳句

2021-09-29 23:01:59 | 文学
逗子ゆかりの俳人、草間時彦の「典座」を読みました。
親しみを込めて食いしん坊俳句と呼ばれる、彼らしい秋の俳句を抜粋。
夫婦ゐて秋深き夜の箸づかひ
秋晴や泡立ちやすき黒ビール

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秋潮俳句

2021-09-27 09:55:51 | 文学
今月の句会は点数がバラけました。
次の2句が2点。あとは1点ずつ入った「秋潮」の句です。
別宅の扉を隠す野ばらの実  (自由題)
濡れた砂ギリシャ文字書く秋の潮 


手をとりて浸してみたし秋の潮 
秋潮や年々狭き浜に幅
秋潮や紺深まりて人待たる
海の家無念の解体秋の潮 
帰りにも釣人まだをり秋の潮  
秋潮に爪先浸し体操す 
砂浜は稚貝ムクムク秋の潮 
秋潮やデッキの人の襟白し 
子ら集う台風一過の秋の海 
秋潮や身投げ禁止の崖に座し 
ナナハンにバンダナなびき秋の潮 
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「行事」入選句

2021-09-26 21:20:18 | 文学
今月の湘南句会メール選句で点数が入った「行事」の句はこの4句でした。
定例の行事なくなり九月尽く 
家居して秋の行事もなくて過ぐ 
体育祭あきらめきれないファンファーレ 
老人の日歳の線引き子に問われ 


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追放の詩パート1

2021-09-24 18:40:24 | オリジナル
新しい共通テーマ「追放」でAが書いた詩を投稿します。

チャペック/キッチン

塩 砂糖 胡椒 胡麻 
唐辛子 ガラムマサラ クミンシード ターメリック コリアンダー 
レモングラス バジル タイム ローリエ シナモン オールスパイス 
海苔 昆布 干椎茸 煮干 酢 油 小麦粉 片栗粉 パン粉 米 
無数の調理道具 鍋 食器 カトラリー 冷蔵庫 電子レンジ オーブン パン焼き機 
ザルには洗った米 ボウルにはアク抜き中のずいき
キッチンの密度には書架もかなわない
無意識の追放者が私を排斥した昭和の台所から遠く離れ
怯えずにいられる場所を私はついに作った

野良着に着替え裏庭に向かう
大根 人参 里芋 蕪 紫蘇 葉葱 韮 オクラ モロヘイヤ ルッコラ ローズマリー 
二階のキッチンと繋げるために野菜を育む時を
私はチャペック時間と呼んでいる 
ルッコラはいい 外葉だけ採っていけば無限と思えるほど葉が出てくる
私も外葉を脱ぎ捨て 新しく芽生えるために
調理して消化して排泄する 

カレル・チャペックと「ロボット」というターム
ふと そぐわないと思う
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こわい名月俳句

2021-09-23 23:31:21 | 文学
なんとかムーンとか呼んでもてはやす風潮もありますが、怪しい満月を詠んだ句の方が詩的で神秘的。
月光にピアノ弾く指十二本 高橋龍
月天心まだ首だけがみつからず 真鍋呉夫
名月やうっかり情死したりする 中山美樹
もう誰もいない地球に望の月 山崎十生


今月のメール句会は、只今メール選句中です。
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名月俳句

2021-09-21 23:34:13 | 文学
今夜、8年ぶりの満月の中秋の名月が見られました。

望の月老椰子の葉を濃く照らす
満月を受けて帰りし背(せな)に羽根
今日の月明日絶対目玉焼
裸眼でも眼鏡でも滲むけふの月
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今日は獺祭忌

2021-09-19 17:25:51 | 文学

獺祭を飲んでいたら、ラベルに正岡子規の名が記されているのを発見。
で、旭酒造がなぜこの銘柄名を付けたかというと、会社の所在地の地名「獺越」から獺の一字をとったんだって。
今日は子規の忌日、獺祭忌(糸瓜忌)です。
糸瓜忌に出来て俗だが気に入る句 高澤良一
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放浪記の詩

2021-09-18 15:50:10 | 
林芙美子「放浪記」は、途中で自然に詩が入ってくる日記文学といえますよね。
作品内容を象徴している詩だと感じたのは、次の1篇です。

――その夜
カフエーの卓子の上に
盛花のような顔が泣いた
何のその
樹の上にカラスが鳴こうとて

――夜は辛い
両手に盛られた
わたしの顔は
みどり色のお白粉に疲れ
十二時の針をひっぱっていた。
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林芙美子「秋のこゝろ」

2021-09-16 12:50:01 | 

以前の湘南文芸例会で「放浪記」に入っている詩いいよね、という話になったことがありました。
林芙美子(明治36年~昭和26年)が初めて出版したのは「蒼馬を見たり」という詩集。
その後散文作品が大ヒットしたけれど、もともとは詩の人でした。
私がいちばん好きなのは、秋が訪れると思い出すこの詩です。
秋のこゝろ

秋の空や
樹や空気や水は
山の肌のやうに冷く清らかだ。

女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくいゝな
朝の空も
夜の空も
秋はいゝな。

青い薬ビンの中に
朱いランタンの灯が
フラリフラリ
ステツキを振つて歩るく街の恋人達は
古いマツチのからに入れて
私は少女のやうにクルリクルリ
黄色い木綿糸を巻きませう。

夜明近くの森の色や鳥の声を見たり聞いたりすると
私のこゝろが真紅に破けそうだ
夜更けの田舎道を歩いて
虫の声を聞くと
切なかつた恋心が塩つぱい涙となつて
風に吹かれる

秋はいゝな
朝も夜も
私の命がレールのやうにのびて行きます。
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今月もメール句会

2021-09-14 23:10:31 | 文学

いつも湘南句会で利用している逗子市民交流センター市民活動スペースが、9月末まで利用できなくなりました。
という訳で、今月もメール句会です。
今月の兼題「行事」「秋潮」で6句を、9月21日までにメールしてください。
メンバーの句が揃ったら、ご自身の作品以外をまとめて送りますので、9月末までに選句して返信してください。
新型コロナには勝てません。顔を合わせて句会ができる日が早く訪れますように。
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