湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

表現のねじを巻く

2024-03-19 08:35:54 | 

中村明「日本語の勘」から昨日引用した「14 比喩」の章の次の「15 象徴」にはこんなことが書いてありました。

 葉山の堀口大學宅を訪ねてインタビューしたある日、詩にとって比喩は大事な表現手段だと思うが、一般に若いころの作品に多いような気がすると言い、堀口さんの詩風の移り変わりの中ではどんな傾向だったかと尋ねた。すると、自分はこのごろ、詩から「ごとく」とか「ように」とかというのを追い出しているという。「馬が牛のように」「花は蝶のように」とすると易しすぎて、せっかくの一行が命をなくすかららしい。詩のことばはもっと尊い、これ以上ねじを巻いたら切れちまうところまで張りつめなくてはならないのだ(後略)

散文はツルツル―ッとストレスなく読める方がいいけれど、現代詩はピーンと張りつめキリッと書きたいものです。

 森戸神社で

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詩人の箴言

2023-10-07 19:25:06 | 

トリエンナーレ年のZAFが始まりました。連携企画のNight WaveとZushi Beach Candleで、今夜の逗子海岸は光と人が溢れてます。

詩についての詩人の言葉をふたつ。

 詩は蒸留された人生である ブルックス

 一編の詩は流星である スティーヴンス

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人の詩を書き写す

2023-04-01 10:36:55 | 
 茅ヶ崎市開高健記念館
先日池井さんと話をする機会があってそのときに彼が言っていたけど、人の詩を一文字一文字書き写しているとその人の魂が自分のなかに入ってくるんだって。作者がその作品を書いているときの想いがじかにこちらに入りこんでくる。(松下育男「これから詩を読み、書くひとのための 詩の教室」より)
文中の「池井さん」とは池井昌樹さん。「森羅」という手書き版下のさまざま意味ですごい詩誌を発行しています。
これに習ったのではないけれど、湘南文芸では当ブログにアップされた詩を各自が事前に書き写して、例会に持参する約束になっています。
批評を待つ詩を一文字ずつ写した下地があることで、深い鑑賞ができるからです。読むより遅いスピードで写していると、作者が意図せずやっている構文の乱れ、弱い語彙選び、語尾の違和感などに気づくこともあります。
仲間の無名の詩を書き写すのがちょっと馬鹿らしいとか面倒くさいとか、今回は時間がなかったとかいう場合もあるけれど、書き写すと書き写さないでは大違いなのです。
当ブログにアクセスできない環境の方にはTが書き写したものをコピーしてお渡ししています。
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小野十三郎&木下夕爾詩碑

2023-01-22 22:12:47 | 
尾道の海岸プロムナードに建つ詩碑。帆をかたどったオブジェの下に2編の詩とそれぞれの説明を掲げ、なかなかの存在感です。

尾道を詠んだ小野十三郎(1903~1996年)の「車窓で」。

こんな説明が彫られています。
小野十三郎 詩人 大阪生まれ 
戦後 大阪で若い詩人を育て大阪文学学校を創設 
第一詩集「半分開いた窓」以後多くの詩集がある 
詩論集「詩論」では短歌的叙情への否定 詩における批評精神の形成を唱えた

もう1編は、終生福山で暮らした木下夕爾(1914~1965年)の「春の鐘」です。

木下夕爾 詩人 俳人 福山市生まれ
第一詩集「田舎の食卓」で文芸汎論詩集賞を受賞 
「晩夏」などその詩集には一貫して温雅で甘美な哀愁が流れている
詩誌「木靴」を主宰
句集「遠雷」などがある

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祝魂歌

2022-09-03 11:17:00 | 
谷川俊太郎編「祝魂歌」を読みました。祝婚歌じゃないよ。死に関する名詩のアンソロジーです。
生物すべてが内包しているのに、その中で人間だけが物心つく頃から意識し怯える死。
その死という現象についての30編を読めば、死を肯定的に捉えられるようになります。
巻頭に収められたプエブロ族の古老の詩(金関寿夫訳)を引用します。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が、わたしの中で合唱している。
すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。
あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
わたしの畑は、もう耕されることはない。
わたしの言えは、笑い声に満ちている。
子どもたちは、うちに帰ってきた。
そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。

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7月の湘南文芸

2022-06-24 20:00:35 | 
 南湖院記念太陽の郷庭園
今日の合評会で、来月の湘南文芸は次のように決まりました。
合評会 7月22日(金)@逗子市民交流センター1階
テーマ 「針」「拭く」「飲む」
提出締切 7月19日(火)

メンバーの皆さん、よろしくお願いします。
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11月の湘南文芸

2021-10-13 11:16:12 | 

来月の合評会の日時場所は次のように決定しました。
11月19日(金)14:00~@逗子市民交流センター
次回のテーマは、数を増やして「引っかかる」「知」「慰め」の3つ。提出締切は11月16日(火)です。
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放浪記の詩

2021-09-18 15:50:10 | 
林芙美子「放浪記」は、途中で自然に詩が入ってくる日記文学といえますよね。
作品内容を象徴している詩だと感じたのは、次の1篇です。

――その夜
カフエーの卓子の上に
盛花のような顔が泣いた
何のその
樹の上にカラスが鳴こうとて

――夜は辛い
両手に盛られた
わたしの顔は
みどり色のお白粉に疲れ
十二時の針をひっぱっていた。
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林芙美子「秋のこゝろ」

2021-09-16 12:50:01 | 

以前の湘南文芸例会で「放浪記」に入っている詩いいよね、という話になったことがありました。
林芙美子(明治36年~昭和26年)が初めて出版したのは「蒼馬を見たり」という詩集。
その後散文作品が大ヒットしたけれど、もともとは詩の人でした。
私がいちばん好きなのは、秋が訪れると思い出すこの詩です。
秋のこゝろ

秋の空や
樹や空気や水は
山の肌のやうに冷く清らかだ。

女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくいゝな
朝の空も
夜の空も
秋はいゝな。

青い薬ビンの中に
朱いランタンの灯が
フラリフラリ
ステツキを振つて歩るく街の恋人達は
古いマツチのからに入れて
私は少女のやうにクルリクルリ
黄色い木綿糸を巻きませう。

夜明近くの森の色や鳥の声を見たり聞いたりすると
私のこゝろが真紅に破けそうだ
夜更けの田舎道を歩いて
虫の声を聞くと
切なかつた恋心が塩つぱい涙となつて
風に吹かれる

秋はいゝな
朝も夜も
私の命がレールのやうにのびて行きます。
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湘南文芸10月の予定

2021-09-13 18:31:25 | 
緊急事態宣言延長でいつもの会場が使えませんでしたが、9月の合評会なんとかできました。
次回は10月11日(月)14:00~@逗子市民交流センター。
テーマは辿る・追放 締切は10月8日(金)です。
9月中の作品提出は交流センターレターケースではなく、メールか郵送でお願いします。
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