湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

影の詩パート5

2015-02-28 02:39:20 | オリジナル
共通テーマ「影」でAが書いた詩を投稿します。

自分の影

白い壁とテーブルを味方に付け
有意義かつ正当な内容を
不自然に装うミーティング
助言の語尾をもった駄目出し
私が映る見たくない鏡
ずっと遠ざけていた鏡
私の弱点を映さないで

謝って訂正すればいいのか
ところが私にはそれができない
耳目を塞いで暮らしてきた間に
的確な言葉を全てなくしてしまった
自分のことも相手のことも
下らない美点しかわからない

―それならそれでいいです
放っておいてください
私はこれでいいんです―

開き直る私はちっぽけなエゴイスト
愛と称賛の収支は大赤字
白い壁にもテーブルにも
黒々とした影がベタベタ張り付いている


毎月、共通テーマで書いた詩の合評会をしています。
次の合評会は3月4日(水)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

影の詩パート4

2015-02-27 00:11:57 | オリジナル
共通テーマで競作して合評会をやっています。今日はテーマ「影」でTが書いた詩を投稿します。版画もTの作品です。

離れてしまった影
晩夏の屋敷街を歩いていく
嫉妬や恨み、怒り、哀しみを抱え込んだ影
うしろを人が追いかけていく
うすっぺらな透明人間
内臓すら透けて
かすかに血管と神経だけが
根のようにうすく垂れ下がっている
走っても追いつけず
どんどん引き離されていく
架空空間で生き始めた人間は
もう影を連れて歩くことはできない
人の気配のまるっきりない昼下がり
動いているのは影だけ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の季語「若布」

2015-02-26 16:43:30 | オリジナル
洗濯もの減らしてピンチに若布干す
 生ワカメが手に入ったのでさっと茹でて干しました
 これを水戻しすればいつでも使えます
雨だから浴室でもうひと乾かし。磯の香りが充満して、きっと今夜のお風呂はあったかい海水浴の気分。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「影」で詩パート3

2015-02-25 12:47:15 | オリジナル
共通テーマ「影」でAが書いた詩を投稿します。詩の中に短歌を入れてみました~。
 葉山町上山口で
  

道で時々自転車に轢かれたりするのが癪なのか
何度も足に絡みついて
私の剥き出しの膝に傷をつけた
ひどい時は五針縫った

骨も肉もない私の形
しかし確固たる意志をもっている
私が耐えられない事実を集めて
ポーカーフェイスで美しい底なし沼を掘り
闇で私を静かに眠らせてくれる
私が吐きそうになりながら胃に落とした不味い食物を
じっくり砕いて自分の栄養にしている
歌なんかも詠むらしい
私の影は

  一生を二次元でいるこの人の 
   微かに足を引っ張りながら  
            ―影―


毎月、共通テーマで書いた詩の合評会をしています。
次の合評会は3月4日(水)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「影」をテーマに詩作パート2

2015-02-24 10:00:00 | オリジナル
共通テーマ「影」でTが書いた詩を投稿します。イラストもTの作品です。

逃げていく影
前を見ると
たくさんの食料品の入った袋を下げて
濃い影を連れながら
陽の当たる歩道を中年の男が歩いていく
その先の曲がった道の向こうに
男の確かな日常があるのだろう
深い穴に落ちてしまった私の日常を
拾い上げようとしている今
晩夏の昼下がりは
明る過ぎて私の影は逃げていく
静まり返ったまわりの家々に人の気配はない
動いているのは男と私だけだ
重い足をひきずり ため息をつき
静止してしまった景色の中で
健やかな時間を見つけている

毎月、共通テーマで書いた詩の合評会をしています。
次の合評会は3月4日(水)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「聞く」をテーマにした詩の合評パート2

2015-02-23 22:21:32 | 
今日はお題「聞く」でTが作った「体の音楽」という詩について合評会で話し合ったこと報告です。「体の音楽」は、こんな詩でした。
ライブハウスの壁にもたれて
ジャズの演奏を待っていた
ピアノ ベース ドラム
トリオが奏で始めると
壁が震えだして振動が伝わってきた
骨伝導ということがある
あれは体内部で聴くことだ
音に体を晒し 浸して
細胞に直接響く生の音
人の体はある部分が駄目になっても
それを補い合うものなのだ

ジャズに呼応して
体の奥深くで奏でられているもう一つの音を
聴いた


:作者の弁 :評者の弁
福岡伸一の動的平衡という理論を読んでいてできた詩です。平衡が崩れると起こる反応として欠損を自ら補う働きが人体にあるということを一連目の後半に入れたんですけど、全体の流れを阻害しているかなぁ。
「人の体はある部分が駄目になっても…」という箇所ね。この2行がなくても動的平衡を語れたのでは? もっと長くしてメタファーで表した方がいいと思います。鼓膜じゃないところで音楽を聞く状態を、科学的な言葉や理屈だけではなく更に感情や感動の独自表現を加えて書くと、ライブハウスでの体験で終わらず世界や宇宙に広げられると思います。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新テーマ「影」で詩

2015-02-22 14:54:57 | オリジナル
けさの第1回小坪わかめ祭は開始前から行列ができて、始まってすぐに完売でした。


さて私たちの競作詩ですが、次は「影」というお題で書いていくことになりました。まずはAの詩を投稿します。

人影トカゲ

天気がよいほど全てが混ざり一体化する
とKは言う
本当は
天気が悪いほど
あらゆる要素が澱んで一体になるのに
音も色も心も

だから悪天候を待っていた
まとわりつく影は陰に入った
強風が吹き込めば企みどおり
尻尾を引きちぎって
影を振り返らず飛び去った

陽が出ると地面に私の新しい影
尻尾が消えたトカゲの影
Kも自分たちの尻尾切りがうまくいって
逃げて行った私に感謝しているだろう
数分後には私の尾を捨てて
全てを忘れているだろう

尾骶骨が希望にもえてムズムズ
再生尾が生えようとしている

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

対話テーマでパート7

2015-02-21 16:40:34 | オリジナル
対話をテーマにしたAの最新作を投稿します。


通信不能

思い出したくないことと考えたくないことしかないの?
胸の内も腹の中も見せてくれないんだね
ちゃんと聞いてちゃんと判断するから
あんたがやってきたことを話してよ
また「忘れちゃった」「それはそれ」ってはぐらかす
「まあまあ」の鎧と「いいじゃないか」の兜
そんな大人のたしなみ脱いじゃって自分のことを熱く語ってよ
「熱く」っていったって
声を張って机叩いて雄弁を振るうことじゃないよ
相手の判断力を失わせて屈服させるための
強引で一方的なアピールや説得は
所詮大声の独り言だからね
今感じていることを正直に言ってよ
「外は熱いですね」じゃなくて
あんたがどんなことに熱くなるか教えてよ
「いい色のシャツですね」じゃなくて
私について知りたいことを尋ねてよ
損失が及ばないように十分に警戒すること、
菓子折りや金一封を渡すことが
人間関係で最も重要だと思っているんだね
好きになるんじゃなかった!


毎月合評会をしています。次の合評会は3月4日(水)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プレバトで俳句のお勉強

2015-02-20 11:23:35 | 文学
昨夜の「プレバト!!」も面白かったわ~。どのジャンルも毒舌先生だけど、専門分野に関する熱意と博識を放出している感じで、芸能人生徒さんへのただの否定や批判に終わらないから、好感がもてちゃうんですよね。毒舌マックス夏井いつき先生担当の俳句に関しては毎回「中七は必ず七音で!」アドバイスがありますが、他にも昨日はこんな助言がためになりました。

●切れ字「や」で映像をズームできる
●情景を季語と掛けるテクニックがある
●順番を入れ替えて推敲しよう

詩を書く時にも行や連を入れ替えながら整えることがあります。特に俳句は限られた17字の最適な順番をしっかりと組み立てる必要があるんですね。

夏井先生は添削コメントで映像という言葉を頻繁に使っています。
この句を読んで、俳句の映像的表現ってズームのイン&アウトに加えてパンもできるんだねと思いました。
鎌倉の果てから果ての小春かな
作者の久保田万太郎は、昭和20年から10年間、材木座に暮らしました。ということで、小春~な材木座風景。

もうわかめ干しが始まりました。
逗子小坪のわかめ漁は、今日解禁!
2月22日(日)10:00~ 逗子駅前広場で小坪わかめ収穫祭が行われます。
食べてみないと分からない小坪の天然わかめのおいしさをまだ知らない人は、浜値販売されるこの機会に買いに行ってほしいぞ!
次回小坪わかめ収穫祭は養殖わかめ編で、3月29日(日)に予定されています。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

対話テーマでパート6

2015-02-19 01:46:42 | オリジナル
呼応したりすれちがったりする私たち、そして自然や自分との対話。「対話」というテーマでいろいろな詩ができました。今日はTの詩です。
  石庭
つくばいの中の天は鈍色に変わり
風に流れて雪が来た
石をすべり白砂に消え
庭のとなりの南天の実をふるわせ
やがて気付けば
山も堂宇も石も白くおおわれ始めた
筧の音もいつしかまろやかになっている
私の中にも雪は降り積もり
凍ってしまった方丈に一人座って
私は私と話しはじめる
白い石庭はひっそりと
私を吸い取っていく

 光明寺三尊五祖の石庭
毎月合評会をしています。次の合評会は3月4日(水)14時~逗子市民交流センター1階で行います。見学・参加希望者は当日お気軽にいらしてください。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする