傘下のZEVEX Racing Teamから参戦している電動レーシングカートのシリーズ戦「ERK Cup Japan」。
去る6月21日(土)、2014シリーズの第2戦に参加しました。
毎戦構成が変わるこのシリーズ、第2戦は6周スプリント2ヒートの後、同じバッテリーで15分間の耐久を競う構成。
ERKを熟知した主催者だけに、実に悩ましいところを突いて来ます。予算の関係でバッテリーに大きなダメージを負う領域まで放電したくない我々のチームは、スプリントの第2ヒートを捨てて、スプリントの1と耐久に電力を集中します。
スプリント1のグリッド順は抽選、我がチームは3番手スタートでした。ZEVEX Racing Teamのドライバーは内山豊隊員。元来が極悪路走破が専門の我がチームにあって、珍しく車高を低くしようとする志向性を持った彼にスプリントのドライバーを任せました。
(緑のマシンが我がチームのERK2号機「VEX Kart 022」号。今回のレースは逆回りで行われました。)
激戦のクラス2(72Vまで)は今回も4台のエントリー、他にスペシャルクラスが4台で、スペシャルクラスはスプリント1に関しては、半周後方からのスタートとなります。
(1周目。予想通りの3台が団子状態)
フロントローアウト側から飛び出したZSSチームが1周目のトップ。2位がこのクラス常勝のJKB女子カート部チーム。我がチームはその後方に付けます。
(2周目。スプリント1を頑張るしかないので、JKBを抜いてZSSを追います。)
バッテリー搭載量が少ない東自大チームはLAPタイムをセーブした走りで後方に下がったので、今回も予想通りの3台が団子で争うクラス2となりました。ZSSはガソリンカート歴も豊富な地元チームらしく、スルスルとトップを行きます。スプリントの2を捨てる作戦の我々はここで頑張るしかないので、ZSSチームとの差が大きくなり過ぎないように、JKBを抜いて2位に上がりました。
(3周目のコントロールライン直前です。珍しくトップを走ることになりました。)
ERK Cup Japan はバッテリー交換不可なので、スプリントをブリブリ行くと耐久で電気が足らなくなり、かと言ってペースを抑えた電費走行だけでは勝てないところが味噌です。3周目、その辺の按配を考慮したのかZSSチームのペースが少し落ちたので、ZSSをZEVEXとJKBが抜いて、久々に我々がLAPリーダーとなりました。
(4周目、この後ZSSに抜かれて2位に。)
内山隊員がLAPリーダーとなったのも束の間。ZSSチームが盛り返して来てLAPリーダーを奪い返されます。が、内山隊員も追走し、ファイナルラップに入って再度トップに立ちます。この頃には一旦ペースを落としたJKBも盛り返して来て、ファイナルラップの裏ストレートはZEVEX→ZSS→ JKBという順番でゴールまで残り半周を迎えました。このままゴールすれば、ZEVEXはスプリントで初勝利となります。
ゴールまで残り200m。ほぼ団子状態で最後の右コーナーに入りました。残すコーナーは左コーナー2つだけです。ところが我が「VEX Kart 022」号、この時フロントタイヤが限界を迎えていました。アンダーステアでアウト側ダートに片輪を落とした内山隊員は、スピンこそ免れたものの、ZSS、JKBと2台にかわされ結局3位のゴールとなりました。
(ファイナルラップ、チェッカー直前。「やってもうたあ~!!」って表情でゴールする内山豊隊員。ま、ドライバーのせいではありません。タイヤのせい?否、予算不足のせいかな?)
このスプリント1はZSSをスルリとかわしたJKBが優勝。ちゃんとリザルトを整えて来るところが常勝チームですね。
残った15分耐久レースですが、完全にグリップを失ったフロントタイヤで、14分くらいまでは頑張ってトップと同一周回で走っていたのですが、パ~ン!!って音と共にフロント右がバーストしてドベで終わりました。
(パックリ裂けたタイヤ。反対側も穴こそ開いてないけどカーカス出まくりでした。)
バッテリーマネジメントではなくて、タイヤマネジメントに失敗した第2戦でしたが、スプリント1のトップJKBとの差は4秒107だったので「多少動くシケイン」の域を出なかった昨シーズンよりは進化したと感じています。
ややもすると「バッテリー積んだもの勝ち」になってしまう電気自動車のモータースポーツですが、このERK Cup Japan特に鉛72V以下の02クラスは、現時点の日本で一番競技としての中味を持ったシリーズ戦でありカテゴリーだと思います。
それはひとえにオーガナイザーがERKに長い経験を持っているからに他ならないと感じます。再来月からはいよいよ電気自動車のフォーミュラーFIAレースも始まりますので、益々の注目を集める気がするこの「ERK Cup Japan」ではあります。
(セナの乗ったロータス。この時代のF1はスッキリしていて良いなあ~)
先日上京した折、知人の個展にお邪魔した。「墨ぐらんぷり 垂井ひろし WORLD」という展示会。
モータースポーツだけ、って訳ではないそうだが、墨を使って国内外様々なモータースポーツや自動車を描いていらっしゃる作家さんだ。
数年前に京都の知恩院で開催された個展を観に行って以来だったので、短い時間ではあったが、久々の「垂井ひろしWORLD」を堪能できた。
個人的なお気に入りはコレ↓
スポーツなのに、無機的なマシンが主役になっちゃうことが少なくないモータースポーツにあって、サポートクルーを描く垂井さんのセンスが嬉しい。
(歌舞伎座で売られている「白金かりんとう」が特別に売られていた)
帰路には京都へのお土産に「白金かりんとう」を買わせて頂いた。歌舞伎座でしか売られていない物だそうで、ラベルの画はもちろん垂井さんの画だ。なかなか美味しゅう御座いました。
Wikipediaにも垂井さんの項目が有った。
(人とくるまのテクノロジー展 会場はパシフィコ横浜だ。)
5月23日(金)、一昨日からパシフィコ横浜で開催されていた「人とくるまのテクノロジー展」を見学に行って来た。
場内は細かいブースがビッチリと並んでいる印象で、だんだん見たエリアと、まだ見てないエリアが分からなくなってくる。特に目新しい情報とは出会えなかったが、雑誌やネットで知った技術の現物を見るのは勉強になる。入場無料なのでお得感のある展示会だ。
今年もEV関係の展示は多く、自動車業界はすっかり「モーター駆動」な臭いプンプンで、「コンバートEV作りました。車検も取って公道乗って使ってます。」なんて言うと驚かれた15年前と比べると隔世の感が有る。
そんな中で「興味を惹かれた」訳ではないが、「おかやま次世代自動車技術研究開発センター」が造ったギャランフォルティスのコンバートEVが目にとまった。
(OVEC-ONEと言うらしいギャランフォルティスベースのコンバートEV)
この車両の特徴はアウターローター型のインホイールモーターを4輪に搭載した4WDである点らしく、そこに関する様々なパーツが展示されていた。バッテリーなんか32Kwも積んでいる様子で。サイクル寿命を考えつつ、180Kwの出力を維持しようと思えば、この程度のボリュームは必要なんだろうなあ~、と設計者の意向をおもんばかる訳だが、チャデモ対応とは書かれていなかったので、家庭用100V15Aのコンセントで充電しようと思うと21時間もかかっちゃうなあ~、大変だなあ~、・・・と思ってしまった。
(赤い部分がこのマシンの核心であるアウターローター型インホイールモーター。UVW線が上から来て、車体側に出ているのがレゾルバ線かな?)
”アウターローター型インホイールモーターを4輪に搭載した四駆EV”と聞くと、ここ4~5年でEVにかかわるようになった人には珍しいのかも知れないが、10年以上EVにかかわっている人ならば「三菱ランサー・エボルーションMIEV」でお馴染みと言えるだろう。
(2005年の日本EVフェスティバルで、筑波サーキットを疾走する三菱ランサー・エボルーションMIEV。画像は日本EVクラブのHPからお借りしました。)
この場合、MIEVの「I」は小文字の「i」ではなくあくまで大文字の「I」であることがポイントだ。何故ならば。この「I」はインホイールモーターを示す「I」だからだ。
・・・というような話はマニアしか知らんのだろうなあ~(笑)。
丹波篠山PITで大幅整備中のチームのEVジムニー1号機「SJ2001」号。20世紀中に改造車検を取得したEVだけあって、流石に各部が”やれ”ている。泥沼も雪の中も走らせたので当然と言えば当然だが・・・・・・。「クロカンEV」らしく使っているところがアイアン・バール・カップを母体とするZEVEXらしい。
先日ブレーキ回りはオーバーホールが済んだので、再び関西在住のZEVEX有志が集まって、今度はバッテリーケースの作り変えに着手。低速でのクローリング特性のことも有って、ちょっと高電圧でテストしてみたいのだ。
(オプティマRT925sが収まっていたバッテリーケースを、少し小型のバッテリーが入るように細部を改造する)
「EVは低速トルクが太い」と言う人が多い。特にここ4~5年の流行りに乗ってEVの取材を始めた自動車ジャーナリストが決まり文句の如く言っている気がする。けれども、実際アイミーブやリーフの低速トルクが特に際立つとは感じない。細くもないが、四駆の大排気量ディーゼルの低速特性に勝っているとも思わない。そもそもギア比を考慮せずに「低速が・・・」と言われてもピンと来ない。最近売り出した市販EVの低速トルクがそれほどでもないのはモーターがPM同期だからで、低速域で電気自動車のトルクが太いイメージは、一昔前に主流だった直流直巻モーターが造ったイメージだ。もっともこの辺は、オリジナルの内燃機関状態で乗って、その後EVにコンバートして乗り比べないと分かり辛いと思うから無理も無い。
(パソコンで図面を描きつつ、バッテリーケースの底に井型のマス目を作って行く)
直流直巻モーターはWARNやトップレンジャー等多くの電動ウインチにも使われるので、四駆クロカン野郎にはお馴染みのモーターだ。このモーター、低速トルクは太いが、高回転になるほど逆起電力の影響でトルクが薄くなる。高速域で伸びるようにするには印加する電圧を高める必要があるのだ。トータルギア比との按配だが、そんなことも有って今回ちょっと電圧を上げてテストしてみる方向で作業を進めている。
(ジグソーでバッテリーケース底のマス目を造る織邊隊員)
(2010年に途中無給油日本列島縦断を達成したプリウスPHVもモーターはPM同期)
テスト開催も含めれば4年目に突入する電動レーシングカートのシリーズ戦「ERK Cup Japan」。デコボコ道を専門とする我々ZEVEXだが、ビュンビュン走るのも嫌いではないので、傘下の「ZEVEX Racing Team」から参戦して、気が付けばエキシビジョン大会も含めて4年間皆勤賞だ(笑)!!
その開幕戦が4月19日(土)に栃木県のフェスティカサーキットで行われたので、その御報告。
(参加台数は全9台。何でもアリのスペシャルクラスが5台、72V以下で我々が参加する02クラスが4台だ。48V以下の01クラスは今回不成立)
電気自動車で行うモータースポーツとしては、この秋からフォーミュラ・マシンのEVレース「フォーミュラーe」が始まる件が話題だが、エンジンカートのフレームを利用したEVで行われるERK(エレクトリック・レーシング・カート)レースは15年前には既に原型が有って、日本EVクラブの有志達がファステストクラブでレースをやったり、茨城県のカート場を舞台にシリーズ戦も行われていた。
さて、私が思うところでは、2014年現在日本で一番”形になっている”EVモータースポーツであるこのECJだが、我々のチームに関して言えば、体脂肪率高めのおっさん達が、低予算で造ったマシンに貰い物だったりするタイヤを履いて参加しているので、この3年「少しばかり動くシケイン」の域を脱していない。しかし、昨年末行われた岐阜のエキシビジョン大会で2位に滑り込んだので、今年に関してはメンバーの士気は上がっている。とは言えメインの四駆EVの活動が忙しく、ギア比も変えないまま今回のレースに臨んだのであるが・・・。
(貰い物のタイヤなので、立ち上がりでアクセルを踏むとリアがズルズル滑る。ドライバーが重いので立ち上がり速度も遅い)
ECJはスプリントと耐久を同じバッテリーで走るところが味噌。スプリントをブリブリ走れば耐久で電欠になるし、かと言って電費走行だけでは勝てない。ZEVEX Racing Teamはドライバーの平均体重を勘案してスプリントは捨てて耐久に賭ける。総合1位は取れないが、あわよくば2位の可能性は有る。「運任せ」が我々の基本戦略である。
で、その耐久。東自大チームがトラブルで戦線離脱したが、新規参戦のZSSチームが速くて、スプリントを捨ててもZEVEX Racing TeamとJKB(女子カート部)・ZSSの3チームが、最終LAPまで同一周回で争う混戦の02クラスだった。結局耐久で2位に滑り込んで2ポイント獲り、総合でも3位になって久々の表彰台となった。
(炭酸入りぶどうジュースのツメを飛ばす藤井尚孝選手。女子カート部はこのクラス勝っ放しだ。2位は新規参加のZSSさん)
第2戦は6月21日(土)。同じフェスティカ栃木で開催される。次回までにギア比は下げよう(笑)。