マチンガのノート

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ゴジラ -1.0 監督 山崎貴 出演 神木隆之介 浜辺美波 吉岡秀隆 佐々木蔵之介 感想ネタバレ PTSDとの絡みで。

2024-02-12 23:44:34 | 日記

 

戦後すぐの日本を舞台にしたゴジラ映画で、これまでのゴジラ映画とはかなり趣が違ったものに

なっています。人間を描いた部分がこれまでの怪獣映画と大きく違いました。

【あらすじ】

特攻隊として出撃した敷島浩一(神木隆之介)は、怖気づいて大戸島の飛行場に着陸しますが、そこにゴジラが現れ、

整備兵から、ゼロ戦の20ミリ機銃で撃つように言われますが、すくんでしまい撃てなかったため、

周りにいたほとんどの整備兵たちはゴジラに殺されます。

その後東京に帰りますが、両親は亡くなっていて、典子(浜辺美波)という女性と彼女が空襲の最中、

見知らぬ人から預かった赤ん坊と三人で暮らし始めます。

敷島は機雷除去の仕事を始め、典子は赤ん坊を近所の女性に預け、銀座で事務員の仕事を始めるのでした。

しかし、機雷除去作業中に再びゴジラが現れるのでした。

【感想】

ドラマ部分が結構しっかり作られていて、主人公のPTSDが描かれている所が、これまでの

ゴジラ映画との大きな違いでした。ここ30年ほどのPTSD研究の進展などが生かされているようでした。

第二次大戦以降も何かと戦争をしている米国映画などではそのような描写はよくありますが、日本の映画で

PTSDが描かれているのは米国の影響と、この30年ほど日本でも臨床で扱われるようになり、

多くの人が知るようになった事の影響でしょう。

帰還兵のPTSDを描いたり、戦争は終わったのだから、できるだけ亡くなる人を減らそうという展開は、

日本でも戦争を美化しなくなり、以前よりしっかり見るようになった事の影響でしょう。

その辺りがこれまでの怪獣映画との大きな違いだと思いました。

映画『ゴジラ-1.0』《大ヒット上映中》


BAD LANDS バッド・ランズ 監督 原田眞人 出演 安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久 感想

2024-02-06 23:16:55 | 日記

黒川博行さんの小説『勁草』を基にした映画ということで観てみました。

こってりした大阪っぽい内容なのかと思いましたが、かなり違ったものになっていました。

【あらすじ】

ネリ(安藤サクラ)は、特殊詐欺の出し子の見張りなどをしながら、NPO法人理事長の高城(生瀬勝久)の

もとで働いています。高城は様々な手段を使い、詐欺でお金を稼いでいます。

ネリは東京の投資家のもとを逃れ、高城のところに身を隠しているのでした。

そこに血の繋がらない弟のジョー(山田涼介)が刑務所を出てきたので、彼とともに新たな詐欺のための

下準備を始めます。

一方、大阪府警の方も、防犯カメラなどを調べ、高城たち詐欺グループのことを追っているのでした。

【感想】

特殊詐欺というと、鈴木大介さんの一連の著作、『家のない少年たち』などがありますが、そういった

最近の様々なことを盛り込んだ現代的な映画になっていました。

 

家のない少年たち 親に望まれなかった少年の容赦なきサバイバル - 太田出版

確かに彼らは、生き抜いていた。 詐欺、闇金、美人局、架空請求、強盗―家族や地域から取り残され・虐げられ、 居場所を失った少年たちは、底辺で仲間となって社会への「......

 
 

映画『ギャングース』

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映画『ギャングース』

 

様々なことを盛り込んでいるので、少し設定が甘く感じるところもありますが、西成の高齢の貧困な人たちから、

東京の若手投資家まで、様々な人たちが出て来る割に、全体として重くなりすぎず、解りやすくかつ見やすく作られていました。

登場人物たちが、味方も敵も、皆それぞれ、様々な闇やトラウマを抱えている所が、

いかにも現代の若者を主人公にした映画という感じでした。

昔の日本映画の犯罪もののように、筋やけじめを重んじたり、弱者は大目に見るというところがないので、

日本社会の変化を反映している内容になっています。

様々な人たちが出てきて、犯罪の描写も盛りだくさんですが、重くなりすぎたり暗くなったりしないのは、

安藤サクラさんの演技力と、監督のセンスによる所が大きいのだと思います。

 

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』