新甲州人が探訪する山梨の魅力再発見!

東京から移住して”新甲州人”になった元観光のプロが探訪する”山梨の魅力再発見!”
旅人目線の特選記事を抜粋して発信!

11)”酒折”・・・、昔々「甲斐九筋」はここから始まった!

2011-02-11 | 山梨、魅力の里山歩き!

酒折!? JR酒折駅は、何処にあるかご存知ですか?

Photo 今は、この山梨学院大学が目印!

・箱根駅伝などでお馴染みの「山梨学院大学」があるところが、”酒折”です。

山梨県甲府市酒折・・・

・今、山梨を代表する「山梨学院大学」が、この酒折のシンボルとなっています。

・大学校内は、後ほど、時間があれば、訪ねてみたいところです・・・!

・JR中央本線下りで、山梨県(上野原が県境)に入ると、電車は山間を走り、車窓は四季折々の景色を楽しませてくれます。

笹子トンネルを抜けると、間もなく武田家終焉の地となっている”甲斐大和駅”を経て、”勝沼ぶどう郷駅”に到着します。この勝沼ぶどう郷駅まで来ると、急に、広大で美しい甲府盆地と南アルプスの遠望が開けます。

ここが筆者の暮す”甲州”なのです。車窓には、里山いっぱいに広がる葡萄園や桃の花畑が美しい景色を楽しませてくれます。

そして石和温泉を過ぎると、左側車窓に初めての高層ビル塔屋「山梨学院大学」が見えます。山梨の中心地「甲府市の東玄関口」になります。そこが「JR酒折駅」です

参考)JR中央本線は、東京駅を起点に、新宿、八王子、上野原、大月、塩山、石和温泉、酒折、甲府、韮崎、小淵沢、下諏訪、塩尻中津川を経て名古屋まで結ばれています。

路線総延長424.6kmで、塩尻を境に、東京寄りを中央東線、名古屋寄りを中央西線とも呼んでいます。ちなみに中央線とは、都内通勤用電車区間を指して電車名として呼ばれているようです。

今の中央本線は、江戸時代より、江戸(東京)から甲州街道を経て、信州下諏訪で中山道と結ぶ尾張(名古屋)までの旧街道の筋にあって、現在もあちこちに旧街道の面影が残されているところです。

現在は、東京・新宿や八王子周辺の中央沿線からは特に便利で、”途中下車の旅が好きな人”には、最近人気の”沿線旅スポット”がたくさんあります!

中央本線の主要駅を”途中下車の旅”で、気まぐれに歩いて見ると、今までにない魅力の旅が楽しめますよ!

今回は、「JR酒折駅」に下車、”北山野道の板垣ノ里”の「酒折宮」など近くの見どころを歩いてみました。

このブログでは、北山野道の板垣の里(教育委員会推奨)コースではなく、JR酒折駅⇒酒折宮⇒奥村不老園⇒シャトー酒折⇒山梨学院大学⇒JR酒折駅への”途中下車のぶらり旅コース”を紹介します。※食事時間を含めて約3~4時間あれば十分のコースです。※山梨学院大学のキャンパスモニュメントを見学後、学生食堂でのランチをお薦めプランにしました。たまには変わったプランも良いですよ!

注)”北山野道の板垣の里”は、甲府市が、山すそ文化を訪ねる”歴史と自然豊かな里山歩き”のウォーキングコース”として紹介している名称です。

板垣の里を歩くコースは、スポット写真で紹介されていますので、甲府駅まで歩いてみて下さい。http://minowakurando.eco.coocan.jp/contents-31.html

板垣の里は、高倉川と大円川が形成した小扇状地の一帯で、酒折宮から金手(かねんて)の能成寺に至るこの里山コースは、仏教文化のメッカとも言われるくらい古寺名刹が残されています。戦国時代以後は、府中(甲府)への東玄関として重要な役割を果たしていたところ今回はこの一部、酒折宮周辺のみを紹介します。※詳しくは、甲府市の北山野道ガイドをご覧下さい。

・「酒折駅」で下車したら、まず駅前の詳細で分かりやすい近郊案内図を確かめましょう!

PhotoPhoto_3

酒折駅前

・JR酒折駅近郊案内図のスポット抜粋版です。

・酒折連歌の道も示してあります。

注)ハイキングスタイルなら、酒折宮・・・不老園・・・・連歌の道・・・・シャトー酒折へと絶景の丘越えをされると良いですね。不老園から・・・連歌の碑・・・古天神・・・月見山・・・伴部山(巴山)の連歌の道を休みながら約1時間くらい歩くとシャトー酒折まで行けます。但し、不老園より上は、危険ではありませんが、山道になりますので、ハイキングの心得で歩かれることをお薦めします。マップはクリックすると拡大して見れます。

※酒折宮、不老園を見たら、甲府北バイパスの側道を山梨市方面へ少し歩けば、シャトー酒折が左上に見えます。楽な方が良い人は、この道をお薦めです。但し、車にご注意ください。

上右写真は酒折駅南北自由通路(地下通路)の明るいコルトンサイン案内の一部です

※酒折宮、玉諸神社、山梨学院など周辺の見どころが写真で紹介されています。

薄暗いトンネル通路が多いのですが・・・、とてもモダンで明るい地下トンネルです。さすがに”山梨学院大学の街”で、良いセンスですね。

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「酒折宮」  昔むかし・・・甲斐国の起源となった!?

Photo_4 酒折宮(さかおりみや 又は さかおりのみや)

・山梨県甲府市酒折にある由緒ある神社。

・創建は不明。

・日本武尊を祭神とする

・「古事記」「日本書記」に記載されている”日本武尊の行宮(かりみや)である酒折宮”を起源としています

注)日本武尊の酒折宮の行宮(かりみや)を起源とすれば、景行天皇40年(110年)を創建とする説もうなずけます。

日本武尊が東征の帰路、酒折の地に立ち寄って営んだ行宮に因むものとされ、行在中に塩海足尼を召して”甲斐国造”に任じて、火打ち袋を授け、「行く末はここに鎮座しよう」と宣下したことで、塩海足尼がその火打ち袋を神体とする社殿を造営して創祀したと伝えられています。(ウイキペディアによる) 

                       

Photo_5 酒折宮跡碑

・景行天皇40年(110年)10月、景行天皇は皇子日本武尊に蝦夷征伐を命じられ、陸奥国で戦わずして蝦夷を平定して、帰路、新治(茨城・真壁郡筑波)、甲斐国酒折宮、信濃国を経て、尾張国へ戻ったと云われている。

・110年、酒折行在中、日本武尊が「新治筑波を過ぎて幾夜か寝つる」と家臣らに歌いかけたところ、家臣に答えるものがおらず、身分の低い焚き火番が、「日々(かが)並(なべ)て夜には九夜(ここのよ)、日には十日を」と答歌。

・日本武尊がこの老人の機知に感歎したと伝えを載せ、「古事記」には、彼を東国造に任命したと記載されているそうです。

後年、この二人で一首の和歌を詠んだという伝説が、後世に”連歌発祥の地”とされた由縁になっているそうです。

もと山の中腹の古天神に鎮座していたものを現在地に移した伝わるが、酒折行宮の比定地には異説もあるようで、明治初年には村社に列した神社です。

・歴史学者が、時には庶民のロマンを冷やすこともある一例かもしれませんネ。

酒折宮」は、”甲斐九筋”の起点にあった!※国交省河川国道事務所HPより

・近世、甲斐国は、”九筋二領”の地域と領域の単位で区分されていて、”九筋”は甲府盆地から国中地域における区分で、栗原筋、万力筋、大石和筋、小石和筋、北山筋、逸見筋、武川筋、西郡筋を指します。二領は南部の河内領と東部の郡内領を意味したようです。

・甲斐国の人々は、急峻な地形を克服して道を拓き、九筋を街道で結ぶことで、暮らしと豊かな文化をこの山国に育んできたが、今は、その古道は役割を終えて、近代的な道路に生まれ変わって、産業や経済、観光などに大きな生活文化をもたらしています

甲斐国志(江戸時代後期編纂巻ノ一)によると、「本州九筋ヨリ他州へ達する道路九条アリ、皆路首ヲ酒折ニ起ス」と書かれていて・・・、

「甲斐国より他国へ通じている路は九筋あり、みな酒折宮を起点にしている」九条(くすじ)の道であり、甲斐九筋にあたる古道の総称です。

甲斐九筋は、①河内路(駿州往還)、②右左口筋(中道)、③若彦路、④鎌倉街道(御坂路)、⑤萩原口(青梅街道)、⑥雁坂口(秩父往還)、⑦穂坂路、⑧大門嶺口(棒道)、⑨逸見口(信州往還)で、主要な街道が他にもあったが、あえて「九筋」と呼ぶようになったのは、江戸時代の行政区分の呼び方「九筋二領」の影響が考えられています。

その他主街道に、⑩甲州街道、⑪東河内路、⑫西郡路、⑬佐久往還もあって、特に甲州街道は、近世江戸時代以後、江戸(東京)を結ぶ幹線道路として、今も主脈になっています。

何故、「酒折宮」が九筋の起点になったのかは明らかではありませんが・・・?

推測すると、武田家の隆盛の時代に、武田家累代は、本拠地を平塩庄から逸見庄へ移し、武田庄を経て、室町時代以後、武田家は、石和地域(川田館など)から甲府(躑躅ケ崎館)へ本拠を置いたことで、甲府周辺は”国中”とも言われ、国府の中心地として発展した歴史がある。その時代に必然的に中心拠点とするには、日本武尊の行宮たる「酒折宮」が”国を拓く”、”道を拓く”由緒ある拠点としてもっとも相応しい位置にあったと思われることです。

当時の甲斐国を知ると、周辺国との同盟をもって交易・交流を盛んにし、併せて領地拡大を図るための戦略的軍用道路としても、九筋を網羅している意味は大きい。

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山梨には珍しい・・・!? 酒折の梅園・・・、”不老園”

梅が咲き始める2~3月が見ごろです!

梅の花色が彩る「不老園」は、富士山と御坂山塊を臨む絶景の展望地でもあります。

PhotoPhoto_2里山に不老園と咲き始めた梅の花

・酒折駅を降りて、小高い山の方を見ると不老園はすぐそこにあります。

・酒折宮のすぐ山上が「不老園」です。

・「不老園」は、明治30年、呉服商の7代目奥村正右衛門が別荘として開園したものだそうです。

・奥村翁が生涯をかけて全国から、紅梅、小梅、夫婦梅、ブンゴ梅、緋の袴、南紅梅、大盃梅、日月しだれ、紅梅しだれ、冬至梅、紅千鳥などを集め、20数種約3200本も多彩に楽しめる見事な梅園です。

昭和40年財団法人「奥村不老園」になって現在も一般の人に開放して楽しませてくれています。

Photo_5 お勧めは・・・「不老園」展望台からの眺望

・詳しくは、不老園HPをご覧下さい。

晴れた日は、こんなパノラマ風景が眺められます。

http://www.furouen.jp/contents/guidance.html

首都圏では、水戸の梅林、曽我の梅林、熱海の梅林、修善寺の梅林などや、南紀和歌山などが良く知られています。梅は春一番の花として、いずれも海に面している暖かい地方のイメージが強いですが、この山梨に、素晴らしい梅園があることは、再発見ですね!

・梅の花は、もちろん何処でも見ることはできますが、この梅園から見る景色の素晴らしさは、他に類がありません。展望台から見る富士山や南アルプスはの展望は絶景です!

一度、不老園の展望台に上って見て下さい。お勧めです!

・総面積は約5万平方㍍、花梅の他、桜、南天、つつじ、もみじ、牡丹等も四季折々に楽しめます!

・但し、梅園保全のため、入園料500円 子供200円はカンパが必要です。

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「シャトー酒折」・・・、こんなモダンな”シャトーワイナリー”があります!

酒折駅を降りたところで、北山の方向を見渡すと・・・、とても気になる”モダンな建物”があります。そこが、”シャトー酒折”です。

※地元でも知らない人は、「何か公共の施設・・・!?」だと言う人もいましたが・・・。

Photo_2 シャトー酒折

・シャトー酒折は、甲府市酒折の里山にあります。

・このワイナリーは、明治初期に山の斜面を開拓して作られた古い段々畑を開発して、その斜面に抱かれるようなシャトーの名に相応しいような4階建てのワイナリーを1991年6月に完成し、オープンしたそうです。(HPより)

・駅周辺から見上げると、「シャトー」の風格をもつ建築デザインですね!

Photo_3シャトー酒折正面玄関のステンドグラス絵

・「日本武尊伝説」にある焚き火を焚く老翁との連歌の情景を絵に表現したもので、とてもシャトー酒折に相応しいステンドグラスです。一見の価値があります。

このモダンなシャトーでは、特に、地元の歴史、風土や伝統を大切に育んでおられる心意気が、至るところに見られます。嬉しいですね!

・その精神は、ワインラベルや売店商品にも、活かされています!

ワイナリー&ショップ見学・・・、

Photo_4Photo_5ワインショップが広くて、お洒落!

・シャトー酒折は、

甲府盆地の北東斜面にあることから、”月の光”が特に大きく綺麗に見えるところだそうです。美しい月の光が輝くシャトーワイナリーに因んで、「月の城」がオリジナル銘柄になっているそうです。

・「月の城 甲州 辛口」 甲州種100%の辛口の白ワイン720ml は、値段も1,200円と家庭の晩酌にも手頃で、印象では、和食にとても合いそうなワインのようです。

詳しくは、http://www.sakaoriwine.com

筆者が勝手に、「シャトー酒折」の魅力ポイントを特記紹介しておきます。

①ショップのお嬢さんが、とても適切な案内と、さわやかな接遇で、とても好印象でした。

②ワイン工場の製造設備は、創業20年の新しさだけではなく、選りすぐった最新設備で、とても清潔感のある工場です。案内がなくても見学できる、とても気分の良い見学コースでした。工場の写真は省略します。詳しくはHPで紹介されています。

Photo_6Photo_7Photo_8                        

③モダンな経営センスのワイナリーだが、・・・よく見ると、伝統も大切にしておられます。

・特に、なんと50年も熟成を経た「昭和37年仕込み梅酒」が目を引きます。不老園との縁かと思えば、東京青梅の大川はなさんが漢方を取り入れた薬用酒を製造したのが始まりで、その事業と精神を引き継いだのが、現在の”こだわりの梅酒”だそうです。今でも青梅の梅にこだわって仕込みを行っているそうです。他にも、奥村不老園で栽培の梅を仕込んだ「甲州最小梅酒」「長期熟成梅酒」など、”こだわりの梅酒造り”にも取り組んでおられます。

・また、オリジナル焼きお菓子「ワイン紅梅」は、筆者のお勧めです!※勝手に宣伝していますが・・・、8枚入り650円で、お土産にも手軽です。

※山梨の名菓「紅梅焼き」に、シャトー勝沼のワインを砂糖と絡めてコーティングした「ワイン紅梅」は、とても味わいがある洋菓子風焼き和菓子と言っておきましょう。年配者にも好まれそうです。

・2月~3月は桃の節句にちなんで、従業員のお嬢さん達が、手作りでひな人形の可愛いワイン包装祇を折って、包んでくれます!とても嬉しい心のこもったもてなしですね!

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11)続編②で、酒折ウォークの後、山梨学院大学の学生食堂でのランチをお薦めしていますが、キャンパス美術館とも言えるほど、夢のあるモニュメントや彫刻などが多彩に配置されていて、”山梨学院大学の楽しいキャンパス観光”のことをもう少々紹介したいと思っています。

帰路の立ち寄り湯は、石和温泉がお薦めです!

石和温泉では、温泉旅館がどこでも日帰り入浴をさせてくれます。

石和温泉旅館組合のHPは、http://www.isawaonsen.or.jp/search/main05-1.html

お薦めグルメは、酒折から歩いて20分ほどで、旬菜厨房「奈のは」がありますが、詳しくは、また、カテゴリー「山梨の魅力グルメ」で後日ご紹介します。お急ぎの方は・・・、

旬菜厨房「奈のは」のHP、http://www.seisyun.co.jp/nanoha/index.html をご覧ください。

後日、「山梨の葡萄」のカテゴリーで詳しく紹介する予定ですが、「甲斐路」などを開発した葡萄づくりのプロ「植原葡萄研究所」もこの酒折エリアにあります!

植原葡萄研究所のHP http://www.uehara-grape.jp/top.html

※観光農園ではありませんが、食べたことがない新品種のお求めは、ここがお薦めです!

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