政府は3日、地域主権戦略会議(議長・鳩山由紀夫首相)の第2回会合を首相官邸で開き、国の出先機関の原則廃止や、国の「ひも付き補助金」をやめて自治体が自由に使える「一括交付金」の導入など改革案を盛り込んだ「地域主権戦略大綱」(仮称)の6月策定に向け、本格的な議論がスタートした。
鳩山首相は、自治体の財源と権限を大幅に拡充する地域主権の実現を「改革の一丁目一番地」として最重要政策に位置付けており、会合でも「国と地方の在り方を抜本的に変えていく」と改革実現に決意を表明。目に見える成果が得られるかどうか、政権の真価が問われそうだ。
会議では、地方に影響を及ぼす国の政策について閣僚と自治体代表者が話し合う「国と地方の協議の場」設置法案と、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け」見直しのため関係する41法律をまとめて改正する地域主権推進一括法案も了承。
一括法案は、地域主権改革に関し「住民に身近な行政は、地方自治体が自主的かつ総合的に広く担うようにする」「地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにする」と明記。 2010/03/03 19:27 【共同通信】
ビジョン懇は安倍政権下で、道州制担当相の懇談会として発足。PHP総合研究所の江口克彦前社長を座長に、08年3月には「18年までに道州制に完全移行すべきである」とした中間報告をまとめている。
しかし鳩山政権は基礎的自治体である市町村を重視する「地域主権」の実現を優先。政権交代後、道州制担当相は任命されず、ビジョン懇は1度も開かれないまま活動を事実上、休止していた 2010/02/12 19:47 【共同通信】
民主党の「地域主権」とは、道州制ではなく、市町村レベルの、多数の小さな自治体に主権を委譲しようというものです。では、「国としての形や力はどうなるのか」については示されていません。
民主党の政策に共通してみられることは、例えば「高校無償化」法案でも、「国籍」よりも「現住所」を重視する姿勢をとっていることです。その結果、外国人学校が「無償化」の対象になっても、海外在住日本国民はこの法案の対象になりません。 民主党推進の「外国人地方参政権付与法案」なども、同様の発想から出ているのでしょう。
ごく小さな地域(市町村)で、(国民ではなく、外国人を含む)住民主体の「政治」がおこなわれたとしたらどういうことが起こるのか? 小さな自治体では、数百票の差で、国民ではなく外国人の意向に沿った行政誕生もあり得ることです。
鳩山首相はこの政策を、最重要政策「一丁目一番地」とまで言っています。しかし、橋下氏も指摘していますが、「国としての形や力」はどのようになるのかについて、民主党も首相も示していません。 否応なく、「国としての形や力」は後退する、あるいは分散的にならざるを得ないのではないでしょうか。 (小さな)地方にとっても、国に関しても、民主党の「地域主権」政策には、とても大きな不安を感じています。