スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

新しいディーゼル車の導入

2006-05-19 15:55:49 | スウェーデン・その他の環境政策
ディーゼル・エンジンに対する環境基準は、EUがEuro3という基準を現在設けているが、2009年からEuro5という基準に格上げされることが決まっている。Euro5はEuro3に比べ、窒素酸化物が60%減、微小粒子の排出も80%減という、きわめて厳しい環境基準だ。

しかし、Volvoはヨーテボリ市周辺のゴミ収集を行っている企業との連携で、この新しい環境基準Euro5を満たしたゴミ収集車を既に開発し、ヨーテボリ市周辺で実用化を始めている。

お金のかかる環境投資をなぜ民間主体がそんなに急げるのか。その背後には、環境行政側の強い意向もある。

この新しいゴミ収集車が搭載しているディーゼル・エンジンは、排気ガスを尿素に一度通すことで、上に挙げた有害物質の排出を抑えている。しかし、尿素は消耗品で補充が必要となる。そのため、尿素の補充がどこでも容易にできるように、ガソリンスタンドに似た補充ネットワークを今後、構築していかなければならない。行政側の意向としては、まずゴミ収集車を手始めに新しいディーゼル車を導入し、尿素の補充ネットワークをヨーテボリ周辺、そしてスウェーデン中に既に築いていくことで、近い将来Euro5が一般の長距離トラックにも適用されるようになった時に、新しいディーゼル・トラックがスムーズに導入されることを狙っているのだ。

新しい技術を開発する側と、それを実際に使う側、そして、環境政策を推進する側の3主体の協力があってこそ、こうした思い切ったことができるようだ。もちろん、Volvoにとっても、新しい環境技術に力を入れることで、将来、EU内で需要が膨らんだときに、価格と技術面で優位に立てることは言うまでもない。


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