スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

進化するKrav(クラーヴ)認証

2009-03-25 17:24:19 | スウェーデン・その他の環境政策
大変忙しくしており、更新が遅くなっております。
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先日、スウェーデンの環境認証を紹介した。これまで環境問題といえば、農薬化学肥料の使用、有害物質の排出、エネルギーなどだったため、これらの側面に注目した認証がほとんどだった。

しかし現在は、温暖化問題という更なる難題が登場し、生産過程や消費者の元に届くまでの輸送過程におけるCO2排出を考慮した新たな認証を作るべきではないか、という議論がスウェーデンの消費者団体の間で続けられてきた。そして、有機・無農薬栽培のKrav認証を管理しているNPO「クラーヴ」が、新たな認証策定に向けた準備を始めていた。

しかし、小売・流通業界はこれに反発。新たな認証の登場は、消費者を混乱させるだけだ!と。おそらく、彼らの本音としては、新たな認証ができれば、消費者の要求に応じて、そのための特別コーナーを設けなければならず、費用がかかる、ということもあるのだろう。

NPO「クラーヴ」自身も内部での議論の結果、認証の乱立はよくない、という結論に至ったようだ。そして、新たな認証を作るのではなく、既にあるKrav(クラーヴ)という認証に温暖化ガス排出基準を包括させよう、ということになった。

「Krav(クラーヴ)認証も時代の変化と要請にあわせて、基準を常に強化してきた。だから、その延長として、温暖化基準をさらに埋め込むことには何の問題もない。」と関係者は語る。基準が強化されるたびに、生産者はその基準に合わせて生産プロセスを変化させるか、それは無理、ということでKrav(クラーヴ)の認証から抜けるのかを選んできたという。

2009年から既に温室栽培の農産物水産製品で、CO2排出を考慮に入れたKrav(クラーヴ)が始まる。

一方で、農産物や輸入品に対するKravマークにCO2排出の基準を取り込むのは一苦労かかるという。まず農産物については、スウェーデンの場合、国土の農地の一部が泥炭層の上にあるため、そのような農地を使用して農作物を作ると、CO2の排出量が必然的に多くなるという。では、そのような農地での作物はKrav認証の対象外とすべきか?また、輸入品はスウェーデンまでの輸送手段を考慮しなくてはならない。輸送距離がいくら長くても、船舶輸送を使えば、航空輸送よりもCO2排出は小さくなる。では、航空輸送を利用した輸入品はすべて、Kravマークの対象外にすべきか?

このような点については、作業グループが現在検討中で、納得のいく基準を策定するように努力しているという。

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1 コメント

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Unknown (あや)
2009-03-28 08:25:19
昨年ナチュラルステップの講座を受けた時にだされたトピックで、
輸入物のオーガニックトマトを買うか、国産のオーガニックじゃないトマトとを買うか、どちらを選択するかを話合いました。
スウェーデンだったら輸入の方が売れるだろうということでした。
もちろん、欧州は外国と言ってもそんなに遠くないので日本とは状況が違うし、どちらが正しいかではなく何を重視するかだと思うのですが。でもその新しいKRAVマークができたら、それも変わるかもしれませんね。

ラベルとは少し違いますが、日本ではエコ・アクションポイントというものの普及をしています。環境にやさしい商品を買ったり、行動をするとポイントが貯まり、そのポイントはまた環境にやさしい商品に変えられたり、カーボンオフセットができると言うものです。ポイント好きな日本だけかもしれませんが、欧州ではこのような制度はありますか?

http://www.eco-action-point.go.jp/



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