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ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画11

2014-05-04 07:00:00 | 昭和の少女漫画

今回も萩尾望都ですが、「ポーの一族」のその後を・・・・

時代が変わるに従ってエドガーたちの服装がそれなりい変わっていく楽しみもあります。

 

 「メリーベルと銀のばら

                                 (1972年 少女コミック)

登場人物・・・エドガー

         メリーベル

        オズワルド

        ユーシス

ストーリー・・・エドガーとメリーベルはエヴァンズ伯爵の愛人だったメリーウェザーの子供達。

         小さい頃に捨てられてポーの村で拾われ、育てられる。

         ある日、ポーツネル男爵がシーラを連れて来て、彼女がバンパネラになるシーンを

         目撃してしまったエドガーは成人後にバンパネラいなる約束をする。

         メリーベルはよそへ養女に出される。

         ポーの村が魔女狩りに合い、老ハンナが死に、エドガーは長老によって少年で

         ありながらバンパネラになる。

         一方、メリーベルは成長し、そうとは知らず、エヴァンズ家のオズワルドとユーシスに

         出会い、やがてそれはエバンズ夫人の知る所になり・・・・

         迎えに来たエドガーに連れられてメリーベルは旅立つ。

 

「ポーの一族」シリーズの中でも名作の誉れ高い作品です。

特にメリーベルがユーシスに髪にからみついて沈丁花の枝をとってもらうシーンは

後に、河原泉の「笑う大天使」に使われていますね

第一話におけるメリーベルは非常に病弱で意志も弱いように描かれていますが

この「メリーベルと銀のばら」「エヴァンズの遺書」では元気な彼女を見る事が出来ます。

メリーベルにとってオズワルドは兄。という事はエドガーにとっても兄だったわけで。

そのエヴァンズ家の行く末をエドガーは見守る事になるのです。

 

 「エヴァンズの遺書」(1974年 少女コミック)

登場人物・・・エドガー

        メリーベル

        ヘンリー・エバンズ

        ロジャー・エバンズ

        エレン

ストーリー・・・嵐の夜に馬車が転落して怪我おしたエドガーは、通りかかったヘンリー・エバンズに

        拾われる。ヘンリーはオズワルドの孫で、オズワルドが残した遺書、

        「エドガーという少年が現れたら全財産を彼に譲る」を大切に保管している。

        エドガーと出会った事は運命と思い、ヘンリーは毎日記憶を失ったエドガーの

        世話を楽しむ。

        そんな兄を心配し、メリーベルは貴族の娘としてエバンズ家に滞在。エドガーの

        記憶が戻るのを待つ。

        そしてある日、エドガーは本能を発揮してしまい・・・・

 

個人的にはこのお話に出てくるメリーベルが一番好きです。

明るいし元気だし、いつも兄に庇護されていた彼女が逆に守る立場になる。

バンパネラになって、ある意味ずぶとくなった彼女を見るのは非常に楽しかったです。 

       

 「アロイス」(1975年 花とゆめ)

登場人物・・・ルカス・キップハルト(表紙右)

        アロイス (表紙左)

        ハーゲンハインツ

        リースベルト

 

ストーリー・・・ドイツの田舎、シュワーベンの夏休み。寄宿学校から帰ったルカスと友人達。

        作家のハーゲンハインツも一緒になる。

        ルカスの中には「アロイス」という別人格がいて、ルカスはそれを信じているが

        ハーゲンハイツ他、両親もそれはルカスの「心の病」であると決めつける。

        母が臨月で転んでしまい、双子のルカスは助かり、アロイスは死んでしまった。

        その罪悪感がルカスの中にアロイスを生んでいるのだと・・・・

 

まだまだ精神医学が発達していない70年代。

二重人格の原因をどこに求めるか・・・という研究はまだ、なされていない時代の話です。

ルカスの中のアロイスの存在理由は、母の思いとルカスの思い。そこから抜け出た時に

アロイスとルカスが同化するだろうとハーゲンハインツは言うのですが。

その事に怒ったアロイスは暴走。そしてルカスの人格を取り込んでいまうのです。

非常に怖い話だし、今なら色々な意味で納得できるなあと思う作品。

名作だと思います。

 

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画10

2014-05-02 07:00:00 | 昭和の少女漫画

GW,みなさま、いかがお過ごしですか?

飛び石だから休みなんて関係ないわーーと思うけど、でも世の中なーんとなく

連休モードですよね。

さて、今回はまず青池保子を。

青池保子といえば何と言っても「エロイカより愛をこめて」です。

でも私は・・・ちょっとエロイカが苦手だったりして。

あまり読んだ事がなかったのです。

その後、「アルカサルー王城」を通じて、一連の青池作品を読む事になるのですが

そのとっかかりとなった作品です。

 「」 (昭和54年 花とゆめLaLa)

登場人物・・・Z

       エーベルバッハ少佐

ストーリー・・・エーベルバッハ少佐の部下で新人諜報員の「Z」が初仕事から

        少しずつ成長していくお話。

 

「エロイカ」を全く読まずにこの作品を読んだのですが違和感なし。

エーベルバッハ少佐のきびしーい叱責に焦りながら仕事をしていくZが可愛くて

かっこよくて

私、エーベルバッハ少佐は好きだなーーと。

あ、でも今時の子に「NATO」なんて言ってもわからないっか。

そもそも、ドイツが東西に分かれていた事ですら知らないだろうし、ロシアが

その昔「ソ連」と言われ、KGBという秘密警察があった事も。

いわゆる東西冷戦だの諜報活動だーーと言われてもピンとこないでしょうね

いい時代になったもんだと思うべきかしら?

余談ですが「ラスト・タイクーン」に共産主義者が出てきますが。私達の世代にとって

共産主義者といえば「恐怖」の代名詞で

モンローが気軽に会って取っ組み合いをするあんて考えられないのですよ。

そこらへんの雰囲気は「Z」で味わえるかもね。

 

次は木原敏江です。

木原敏江と言えば「あーらわが殿!」とか「天まであがれ!」とか・・いわゆる

週刊少女マーガレットに連載していた人で。

別マ読者の私には全く縁のない漫画家だったのですが、彼女が

花とゆめLaLaに描いたのがこの作品。以後「摩利と新悟」という名作を生み出すのですが。

 

そもそも木原作品は非常にミュージカル風です。

池田理代子が古典文学のような格調高さを持っているのに対し、木原敏江は

オペレッタ風というか、紙面に音楽があふれている。

しかも、この当時から「和」へのこだわりが強く和洋折衷的な作風。

プラスドイツ語とドイツ文学に通じているので、読み手は自分がちょこっと

物知りになれたような気分になります

木原作品を読む事でドイツ語と古典に目覚めた人も多いのではないでしょうか。

 「日なた日かげへのロマンス

                     (1976年 LaLa)

登場人物・・・暁生

        こぞ

ストーリー・・・昭和23年軽井沢。施設を抜け出して迷っていた「こぞ」を拾ったのは

        暁生。二人は一緒に生活を始める。

        こぞは空襲の時に母親を亡くし、それがきっかけで声が出なくなった。

        暁生は父がアメリカ人で母は日本人。いとこの風子と駆け落ちして軽井沢へ

        きたものの、風子は病気で死んだという過去を持つ。

        やがて、伯父が暁生を連れ戻し、アメリカへ返すという。

 

口のきけないこぞの喜怒哀楽豊かな顔と、暁生の浮世離れした育ちのよさに

すっかりはまったんですが、ラストの衝撃に暫く読み返す事が出来なかった作品です。

 

 「夢幻花伝」(昭和54年 LaLa)

登場人物・・・鬼夜叉(藤若) 表紙

        亜火

        足利義満

        紗王

ストーリー・・・田楽の猿若一座の鬼夜叉は一座と己の出世の為に義満の庇護を受け

        花の御所に移り住む。

        日々、貴族達の中で苛められつつも必死に頑張る鬼夜叉。

        幼馴染で南朝の血を引く亜火とは恋仲だったが、耐え忍ぶ。

        しかし、亜火の兄、紗王が南朝を復活させる為に亜火を仲間に引き入れ

        義満暗殺をたくらみ、その流れに巻き込まれた鬼夜叉は・・・・

 

これって、いわゆる鬼夜叉&亜火&義満の三角関係の話なんですよ。

通常、一人の女性を巡って男二人が争うならわかるんですが、美少年一人を

巡って女性と男性が対立する構図というのは非常に珍しい。

珍しいけど違和感がない。

鬼夜叉に対する感情が亜火と義満では性格が違うからでしょうかね

このお話の中に「伊勢物語」が出てきます。

筒井筒 井筒にかけしまろが丈 老いにけらしな妹見ざるまに

(あなたが恥ずかしがって家から出てこない間に私はこんなに背が高くなり

立派な男になりました)

くらべこし 振り分け髪も肩すぎぬ 君ならずして 誰かあぐべき

(私の髪もこんなに長くなりました。あなた以外に私の髪を上げてくれる人はいません)

この二つの歌が物語の芯となるのですが、「歌」というものがこんなにも

雅なものなのかと初めて知りました

こんな風にさりげなく昔の歌や物語を教えてくれるのも木原作品の特徴。

 

後々、「紫子」「大江山花伝」が宝塚歌劇で上演されましたが、私としては

「夢幻花伝」の方がずっと歌劇として面白いだろうと思っています。

なんせ私の中で「世阿弥」といえば鬼夜叉=藤若なもんですから。

 

 「愛しき言つくしてよ」(昭和52年 LaLa)

登場人物・・・インゼル虹比古(表紙左)

         パウル彩比古

         那智(表紙右)

         靖子

         マクシミリアン

         まゆら

ストーリー・・・ババリアの名門・ブラウバッハ家に生まれた双子のインゼルとパウル。

        母は日本人で名門舞踊一族「笛吹流」

        ドイツで暮らしていたが、ある事がきっかけで母はパウルを連れて日本へ。

        母に捨てられたと思ったインゼルは舞で母とパウルに復讐を誓う。

        やがて、母と彩比古を連れ出したのが那智の父であると知った

        インゼルは・・・・・

 

この話の中の母・まゆらの「恋」の気持ちが、当時の私には理解できなかったのですが

今ならわかります。

舞踊の家に生まれたまゆらが事故で足をダメにして、その時、慰めてくれたのが

ブラウバッハ家の当主。彼といると安らいでそれを恋を思ってドイツまでついて

いったものの、本当に恋をしたのは弟のマクシミリアンの方だった。

疑いつつも波風立てないように努力していた夫、でも妻と息子が日本へ帰って

しまった事で心のタガが外れてしまい、やがて心中をはかり、そこでマクシミリアンは

インゼルを助ける為に目を失う。

日本に帰ったパウル彩比古は笛吹流の若手舞踊家。

インゼル虹比古はバレエダンサー。

育ちも性格も全く正反対の二人が日本舞踊とバレエを通して対立するというのが

面白かったです。

大元をたどれば二人の母である「まゆら」への3人の男の愛情が主題なんですよね。

隠れた主役のまゆらさん・・・・すごすぎです。

 

 

タイトルの「愛しき言つくしてよ」ですが万葉集から

恋ひ恋ひて逢へるときだに 愛しき言つくしてよ

 長くと思はば」

(恋しいあなたにやっと会えたの。優しい言葉のありったけを言って頂戴

 二人の仲がいつまでもと思うなら)

から来てます。なんとロマンチックな歌で。

これともう一つ、古事記が出てきます。

かの有名なヤマトタケルの歌

大和は国のまほろば たたなずく青垣 山ごもれる やまとしうるはし

が出てきます。

 

物語の中に和歌や古典をさりげなく取り入れるという手法はありそうで

なかなかなかった事。

そういう意味では木原敏江は非常に稀な才能を持っていたんですよね。

この「愛しき言つくしてよ」もヅカにふさわしい内容だなあ・・・と思いつつ。

誰か書いてくれないかしら?

 

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画9

2014-05-01 07:00:00 | 昭和の少女漫画

どんどんいきますよ。

 まずは竹宮恵子です

竹宮恵子といえば「風と木の詩」ですが

昔から男女の愛を描くのが苦手。どちらかといえば少年愛一本のイメージ。

地球へ・・・」という名作も生み出しています。

 「ファラオの墓」(1975年 少女コミック)

登場人物・・・サリオキス(表紙)

        スネフェル

        ナイルキア

        アンケスエン

        アウラ・メサ

ストーリー・・・エステーリアはウルジナに滅ぼされ、王子サリオキスは奴隷に、

         ナイルキアは宰相の娘・アンケスエンに助けられる。

         サリオキスは「砂漠の鷹」として蘇り、ウルジナを滅ぼす為に戦う。

         一方、ナイルキアはスネフェルと恋におち・・・

 

後から考えると白い肌のエジプト人という設定が何だか変ですけど

サリオがかっこいいからまあいいやって感じです。

これでもかというくらい、サリオキスのカリスマ性を見せつけるシーンが出てきて

それがちょっとウザイといっちゃウザイんですが、作者がノリノリで描いて

いたんじゃないかと思います。

 

次は上原きみこです。

実はこの本は高校の時に友人からもらったもの。

「もういらないの。捨てようと思っていたから」と言われて引き取ったんです。

だから彼女の漫画はこれ一冊。

「ロリィの青春」も読んだことなくて。

でも確実に一時代を築いた漫画家です。

 「炎のロマンス」(1975年 少女コミック)

登場人物・・・レドビィ(須田譲治)表紙右

        亜樹 (表紙左)

        ルイ

ストーリー・・・高校になった一之瀬亜樹は転入生の須田譲治に出会い、恋に落ちる。

        しかし、彼は黒いかつらをかぶり、黒のカラーコンタクトを入れて素性を

        隠していた。そしていきなり亜樹の友人にプロポーズ。

        恋愛より「結婚する」事が重要という須田。

        それでも亜樹はあきらめず次第に須田の心をつかんでいく。

        ところが、ある日、亜樹は拉致されて船に乗せられ、ついた場所は

        南太平洋の孤島「コーラル王国」そこは金髪と碧眼しかいない島。

        そして日本語が通じる島。亜樹は黒髪の女王として王子ルイの花嫁に・・・

 

この奇想天外なストーリーと盛り上げ方に当時は脱帽。すっかり夢中になった記憶があります。

今時の女の子なら「ありえない」とか言い出すんだろうなあ

でも、ありえないから漫画であるともいえるわけで。

とにかくレドビィのようなかっこいい王子様が国と彼女の為に必死に頑張る姿は

見てて楽しいです

 

 「山の上に吹く風は」(1977年初版)

 

登場人物…4人

       アルフィー

       ジョイ

       シャーリー

       ブラウン

 

ストーリー・・・雪山に行くバスに乗った4人。が、途中でジョイがバスをハイジャックし

        それからバスは崖からおちて、それぞれ命からがら逃げ出す。

    ジョイ → 拳銃自殺

    シャーリー → 麻薬中毒で自殺

    ブラウン → マックスに殺される

    グレアム → 父に虐待された傷が悪化。シャーリーから痛み止めと称する

            麻薬を貰いかろうじて自分を保つ。

            しかし、マックスが目の前でブラウンを殺した事がきっかけで精神的に

            おかしくなってしまう。

    アンジー → 一度は雪山でジョイの拳銃を使い、自殺しようとするが弾が残って

             いず、助かってしまう。その後はグレアムを見守る役に。

    サーニン → スキーで雪山を降り、助けを呼びに行く。

    マックス → 眠っている時にブラウンがマックスの首をしめ、それが昔、父親の

            記憶と重なり、夢の中で拳銃を撃ってしまう。

            しかし、それはジョイから取り上げた拳銃で、マックスは無意識のうちに

            ブラウンを殺してしまった。

 

この話ははみだしっ子シリーズ最大の山場ともいうべきお話で。

難しすぎて、何でこんな話を描いたのかいまだによくわからず。

それというのも、ここで起きた事件、つまりマックスが無意識に人を殺した事が

後々、グレアムの精神状態に大きな影を落とすからです

今でも思うのですが。

この時、マックスは7歳くらいで人を殺しても罪にはならない筈。

ましてや無意識で・・・・もし責められるとしたらマックスに拳銃を預けた人という事に

なりませんか?

また、事件はその後、迷宮入りになってブラウンが死んだことなど誰も気にしません。

なぜってブラウンはシャーリーという売れないヤク中歌手のマネージャーに過ぎず

雪山に上るというのも、一種の都落ちというか、やっと仕事にありつける・・といった

ヤクザな生き方をしていたからです。

ハイジャック犯のジョイにしたって、自殺したわけですし。

そもそも撃った本人には全く記憶がない事件について、どうしてグレアムがそこまで

落ち込み、後々、おかしくなってしまうのか・・・・わからないんですよねーー

読み直そうと思ってページをめくるけど、あまりの重さに挫折したりして・・・・

誰か、お読みになった方の解説を待ちます。

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画8

2014-04-20 09:51:00 | 昭和の少女漫画

はみだしっ子前半のピークまでご紹介します。

  これ、表紙ですが、当時「表題」は最初に収録

 されている作品名が普通。それなのにはみだしっ子は時系列順に収録されて

いて、タイトルは最後のもの。っていうのが不思議でした。

 「階段のむこうには

登場人物・・・サーザ・グレアム・ダルトン(グレアム)

         エイダ

         おばちゃま

ストーリー・・・グレアムはピアニストの父の元で厳しくピアノを仕込まれている。

        母は男性と駆け落ちしてしまった。

        だから面倒を見ていたのは隣にすむ母方の伯父さん一家。

        中でも「おばちゃま」はサーザを大層可愛がり、それを見ていた娘の

        エイダは嫉妬の炎を燃やす。

        サーザが父の虐待により片方の目を失うと、おばちゃまはサーザに

        目をあげて・・・と言い残して自殺。

        その事がきっかけてサーザは家出。資金はおじさんが出している。

        でもサーザに恨みを募らせるエイダが現れて。

 

小さい頃はアイダって嫌な奴だなと思いました。

散々嫌がらせして、一方で可愛いマックスにメロメロになってしまう。

でも、それが母の愛情を横取りされた・・・という気持ちからだと今はわかります。

エイダがマックスを大好きなのに、どこかおばちゃま似なんですね。

のちのちエイダはグレアムの理解者になっていくのですが、ここでの壮絶な

ドラマがあり、印象的な作品です。

ちなみに、サーザが黒しか着ないのは「喪服」の意味、そしてアンジーはここで

松葉づえを外します。

 「レッツダンス オン」

登場人物・・・4人

         ジョン

ストーリー・・・公園で寝泊まりしてた4人を拾ったのは遊び人のジョン。

       彼は自分のアパートに連れて行き、家賃を前払いさせ、ディスコに

       遊びに連れて行く。

       人生、初めての刺激にグレアムとアンジーはその音に飲み込まれそうに

       なっていく。

       ある日、ジョンが消える。実は彼は詐欺師だった。危うく犯罪の片棒を

       担ぐかもしれなかった4人。別れてようやく互いを取り戻したのだった。

 

今もって難しすぎて意味がわからない作品です。

でも、ディスコという非日常の世界に埋没する事で、グレアムとアンジーは

自分一人だったら気が楽なのに」とか「今の事だけ考えていればいいや」と

そんな軽薄な思いにとらわれて、思わず年下のサーニンとマックスの事を

放り出しそうになる・そんな怖さを扱った作品です

子供が不良になりかける時の微妙な心情とでもいうんでしょうか?

「せつな的」と表現されています。

マックスが「ジェットコースターに乗りたい」と散々訴えるのに、仲間が全く

耳を貸さない・・・でもラストでやっと「遊園地に行こう」とマックスを気遣う

グレアム達。年齢の割には重すぎるものをしょっているんですけど、なんだかんだ

いって逃げ出さないいい子達です。

 

 「夢をごらん

登場人物・・・4人

        マスター

ストーリー・・・映画館で時間を潰していた4人が出会った喫茶店のマスター。

        その喫茶店で暫く暮らす事に。

        マスターはその昔、戦争に行った事があり、そこに人を殺し、その

        罪悪感から彼女とも別れ。

        またこの町は、川むこうとは仲が悪く、4人は子供同士の喧嘩に

        巻き込まれてしまう。

 

これまた非常に難しくて解釈のしようがない作品で

自分に読解力がないなとつくづく思うんですが。

多分テーマは「集団としての個か個の集まりが集団なのか」というような?

マスターは戦争でいとも簡単に引き金を引き、相手にも自分と同じような

生活や個性があった・・・という事を考えなかった。

川向こうの連中はこちら側からしたら「人間」というより「ただの敵」にしかすぎない。

自分対相手。互いに人間で互いに生活があり・・・という、当たり前の事が

「争い」の元では消えてしまうという深いテーマなんですよねーー

 「はみだしっ子3」というタイトルの表紙ですが

収録されているのは「残骸踏む音」他・・なんです。

要するにタイトルと中身がリンクしないというのも初体験でございました。

 「残骸踏む音

登場人物…4人

        メイのママ

        メイ

ストーリー・・・メイのママは実は人買い。家出人を捕まえては売り飛ばす商売。

        そこに4人が現れ、アンジーが女優のイブ・ホーンそっくりな事を知り

        子役として提供しようとする。

        そのためにサーニンを誘拐して地下室に閉じ込める。

 

メイは何も知らない女の子で、まさか母親が犯罪者なんて・・・という部分が

可哀想で。しかもその母親は恨まれて刺されてしまい。

アンジーの過去とサーニンの過去がほんの少しぶつかる作品です。

 「そして門の鍵」

登場人物・・・4人

        シドニー・マーチン

        イブ・ホーン

        サーザのパパ

ストーリー・・・4人はサーザの父親が探している事を知り、シドニーの屋敷に

         逃げ込む。シドニーはマーチン一族の長ながら親族によって

         屋敷に幽閉されている。鍵を持っているけど開けたが最後

         殺される危険性があるのだ。4人なら救い出してくれるのでは

         ないかと期待するシドニー。

         アンジーは実の母、イブ・ホーンに会い、正式に「別れ」を告げ

         グレアムもまた父親と会い、虐待されようとも戻らないと宣言。

         そんなグレアムとアンジーに触発されたシドニーは自ら門の鍵を

         あけて自分の運命を受けいれ、戦っていく事を決意。

 

話としては面白いけど、難しい。

イブ・ホーンの性格がどんどん変わっていくのが怖いし、グレアムのパパは

今なら犯罪者ですよーー

さらにシドニー・マーチンはこれからずっと4人に関わって行くんですけど・・・・

なんせシドニーの友人、アルフィーは「動物園のオリの中」にチョイ役で出てきた

おじさんだったので。

そこらへんの「ああ!あの時の・・・」はファンとしては嬉しいのですが、ここから

先のストーリーはどんどん哲学的になって行く印象です。

 

4人の年齢はどう考えても10歳前後。

だけど、グレアムとアンジーは酒を飲むし、煙草も吸うし・・・でも全然不良っぽくない。

むしろ、年齢のわりには、大人と同じ言葉を使うので・・いや、大人以上に

難しい言葉を使うのでそのギャップが面白いんだと思います。

年齢相応なのはマックス

マックスは物語ではアイドルのような扱いですね。

 

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画7

2014-04-20 09:05:00 | 昭和の少女漫画

 今回は「三原順」をご紹介しましょう。

三原順は「少女漫画」の範疇にはおさまりません。

その独特な世界観と細かな絵と文字の多さについていけなかった人多数。

どの作品をとっても哲学的で思想的。

そして時代を超えて読み継がれるべき作品。

なぜなら、三原の思想は現代の私達にも十分に共感できるものだから。

つまり。彼女の漫画は当時から人間の本質というものについて、深い洞察を

繰り返していたんでしょうね。

自問自答し、漫画に描く・・・・そんな難しさを持った作品群です。

残念ながら三原は亡くなっています。

その死も謎めいているんですが。

 「われらはみだしっ子

                    (1975年 花とゆめ)

登場人物・・・グレアム(黒髪) → 常に黒しか着ない黒髪・黒い瞳。

                      右目が見えない。

        アンジー(銀髪) → 銀髪に緑の目。松葉づえをついている。

        サーニン(茶髪) → ヤマアラシのような茶髪・茶色の目

        マックス(金髪) → 一番年下。金髪碧眼

 

ストーリー・・・喫茶店のマスターに拾われた4人は共に家出人。

         グレアムとアンジーはもうすぐ8歳。サーニンは2年半下、マックスは

         さらに2か月遅く生まれた。

         4人は、自分達だけを愛してくれる「恋人」を探し、待っている。

         ある時、マックスの父親が探していると知り、4人は逃げ出す。

         「死」をもいとわない程、親元に帰りたくない4人。そこに現れたのは

         一人の医師だった・・・彼は「恋人」なのか。

 

「花とゆめ」でこの話を読んだ時、ラストシーンで号泣しました。

サーニンと一緒になって何度も

もうマックスやアンジーやグレアムを泣かせたりしないね!

うそついちゃダメだよ!

そんなことしたら ボクあんたをやっつけてやる! ボク強いんだから」

とセリフを言ってました。

当時小学生だった私にマックスがなぜ父親に殺されかけたか、なぜアンジーが

松葉づえでグレアムが片目なのか・・なんて

想像も出来なかったんですが。要するにあの当時からこの漫画は

「親の虐待」を扱っていたという事なんですね

子供と大人の間の感情の温度差が絶妙に表現されています。

 

これがコミックスになった時、発売日に近くの本屋へ行ったら

なかったんです。

白泉社そのものが本屋さんに認識されていなかったのと、ゆえに

花とゆめコミックスは1書店に1冊しか入荷しなかったのです。

仙台中を探してなくて、一晩泣いて(って・・私、本当に泣きますよね。一晩)

母に頼んで出版社から取り寄せて貰う事にして待つ事1か月

毎日「はみだしっ子まであと何日」と数えていた事を思い出します。

御蔭様で初版本が手に入り、今も大切に保管しているとうわけです。

わりとしつこい性格なのね。私って。

 

絵柄の可愛らしさ、4人が4人とも違う目の色をして髪の色をして性格さえ違う。

そんな個性にひかれたのかも。

大人として読むと、あらためてその作品世界の深さに驚かされます。

 

 「動物園のオリの中

登場人物・・・グレアム

        アンジー

        サーニン

        マックス

        レディ・ローズ

ストーリー・・・4人は水商売をしているレディ・ローズのアパートに転がり込む。

        他人に無関心な街の中で疎外感にさいなまれる4人。

        同じアパートに住む子供達とも合わずに喧嘩。

        心を慰めたのはサーニンが拾った怪我をした鳥。

        レディ・ローズとの生活も少し落ち着いてきた頃、トラブルが起きて

        子供達と大喧嘩。アパートはぺちゃくちゃ、鳥はサーニンの背中に

        潰されて死んでしまう。

 

街が動物園として4人がオリに入れられた動物なのか、それとも客なのか・・・

といった皮肉っぽいテーマが語られています。

結局、4人は家出人で捜索されると困るので、いつもアパートに引きこもり。

普通の子供達のように暮らせはしないのです。

その事に寂しさを感じたり、レディ・ローズに気に入られようとしたり、いじらしい。

最後はすっかり人間不信になったグレアム達。

そこにマックスの救いが。

私はラスト、泣いているマックスに見知らぬ女の子がキャンディを一つづつくれる

シーンが一番好きです 涙一杯でにっこり笑うマックスも。

 「だから旗ふるの」

登場人物・・・リフェール(アンジー)

         ボビー

        グレアム

        サーニン

        マックス

ストーリー・・・グレアムとアンジー、互いに性格が違うけれど下の二人には

        気遣いする。その方法を巡って喧嘩し、アンジーは一人、小島へ。

        はぐれてしまったアンジーは3人が探しに来てくれるかどうか不安を

        抱えつつ、自分の過去を振り返る。

 

アンジーは実は女優死亡の母の私生児で、従兄弟のボビーの家に預けられて

いたのです。アンジーという名前はフランス語の「アンジュ(天使)」から来てて

母がそう読んでいたから。

地下室に閉じ込められていたサーニンを救いだし、名前を聞かれて

「アンジュ」って答えたのにサーニンは「アンジー」と聞き間違えて今に至ると。

たまに母親が来るのを命をかけて待っていたリフェールが小児麻痺になるシーン

それから母に捨てられた時の悲しさは、今にして思うとひどい話で

でも意外とよくある話でもあるんじゃないかと思い

(病気で歩けなくなった子を捨てるんですよっ 母が)

その傷ついた心を癒したのは仲間の3人だったんですね。

 「雪だるまに雪は降る

登場人物・・・マイケル(サーニン)

        エヴァ

ストーリー・・・雪山のロッジでバイトしている4人。そこに被害者意識が強くて

        高ピーなエヴァが来る。彼女はわがままを言い続け、それをサーニンは

        黙って従う。しかし、本心ではエヴァの母親に

        「もっというべきこと、言いたい事をいうべきだ」と思っている。

        実はサーニンはロシア人の祖父とイギリス人の父の元に生まれ

        祖父と父の仲の悪さに母親が板挟みになっている家庭で育つ。

        母はどちらにも逆らわず、自分の中に引きこもりサーニンにすら

        優しくする余裕をなくし、やがて自殺。

        ショックで言葉がでなくなったサーニンを父親が地下室に閉じ込め

        サーニンは窓から入ってくる鳥達に言葉を教わる。そしてアンジーに

        救われた。

 

エヴァは自分が体が弱いから誰も自分の意見に逆らってはいけないといい、

それを聞いている母親はそんな風に産んだ自分を責めて、あえて何も言わずに

エヴァにやりたい放題させている。

サーニンはそんあエヴァの母親に自分の母を重ね、自分の中に引きこもって

無関心になってしまった母を責める、「何も言わないなら雪だるまの方がまし」と。

この作品は、読んだ時は意味がわからなくて。

でも今はわかります

人と言うのは無関心を装う事で自分を守るものです。

でも度がすぎて引きこもり、家族すら見えなくなる危険性も・・・・・

子供の目線から見たらこんな悲しい事はなかったなあと。

 「ようきなオバケ

登場人物・・・ミア(表紙)

        オバケ(表紙上の少年)

        ミシェール (犬)

ストーリー・・・パパが賭けに買って連れてきた犬のミシェールはミアに

        全くなつかない。その夜、ミアの元にオバケが現れ、毎夜

        ミア・オバケ・ミシェールと一緒に遊ぶようになる。

        しかし、ある日、パパは賭けに負けてミシェールを元の飼い主に

        返す事に。

        そこに現れたのは。

 明るくてメルヘンチックなお話です。オバケが実は元の飼い主だった・・・と

いうオチが何とも愛らしく。おすすめの一品。

 

 「涙のクラウン

登場人物・・・ジュディ(6歳)

        スティーブ(ジュディの兄)

        クラウン(うさぎ)

ストーリー

6歳のジュディにとって「おにいちゃま」は生活の全てです。

おにいちゃまはとーーってもジュディちゃんに優しいので。

そのおにいちゃまに彼女が出来たみたい。

ジュディは戸惑い、泣き・・・・

 

おにいちゃま 「朝ですよジュディちゃん すみやかに起きましょうねジュディちゃん」

ジュディ 「はーい おはよう おにいちゃま

このシーンが大好きで。なんせ歯磨きからお食事、家に居る時はどんな時でも

おにいちゃまとジュディちゃんは一緒なんです。

まるで我が家のジュニアとヨンジュナのごとく。

でもそんなお兄ちゃんもお年頃になった時の悲しさ。それはうさぎの「目の色」で

表現しているんですよねーー

本当に可愛らしい一品です。

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画6

2014-04-17 07:00:00 | 昭和の少女漫画

 みなさん、盛り上がっていますね。

少女漫画がつなげる「友達の輪」という所でしょうか。

今回はまずは山岸涼子いきまーーす。

山岸涼子の初期の作品といえば「アラベスク」が有名ですが

その頃の絵って苦手であまり読んだ事はないのです。

後年、愛蔵版で色々読み進めてすっかりファンになり、揃えました。

それは後々ご紹介するとして。

 

 「妖精王」(昭和52年 花とゆめ)

登場人物・・・爵 (ジャック)

        風野林 (クーフーリン)

        プック

        クイーン・マブ

ストーリー・・・北海道に転地療養に来たジャックは、そこで妖精の世界に

        引き込まれ、妖精王としてエゾジカのプックと一緒に冒険の

        旅を始める。

 

日本とイギリスの妖精神話が混在する、温かでわくわくする妖精王の物語。

今回読み直して思ったのは、主人公のジャックとプックの語らいがなんとも

愛しいって事です

10代の頃に読んだ時のプックはただうるさくていい気な奴程度の認識でしたが

親になった今、息子のように可愛いです。

クーフーリンのかっこよさは格別っ

クイーン・マブの恐ろしさ。そうそう、宝塚の「ロミジュリ」を見た時

「マブの女王」というタイトルがあって・・・すぐに「妖精王」を思い出した私。

マブの女王、ニンフィディア、エルフ、コボルト、ヒッポテス等々

知っているような知らないような名前が数々出てきて非常に勉強になります。

 

次は「河あきら」です。小さい頃、河さんの描く自画像を見て、男なの?女の?って

不思議に思いましたが・・・女性でした。

男か女かと迷ったのにはその作風もあったと思います。

少女漫画らしくないというか。

故国の歌は聞こえない」に代表されるハードボイルド系を描くかと思えば

いらかの波」のような作品も描く・・・表裏がはっきりしている印象です。

私はどちらかというとほのぼの河あきら作品が好きですが。

 「わすれな草」(昭和50年 別マ)

登場人物・・・上原緋沙 (表紙左)

        永沢護 (表紙右)

        北村佑介

ストーリー・・・「わすれな草」の花言葉は「私を忘れないで」

         小さい頃に生き別れになった兄、護はずっと妹、緋沙を思っていた。

         偶然の再会、しかし、緋沙は父親に虐待されている。

         そんな緋沙が御曹司の佑介と恋に落ちる。何とか成就させようと

         護は妹守る為に犯罪を・・・・

 

護にはなさぬ仲の母親がおり、その母子関係がラストで大きく変わり

感動の涙を流します。

今の生活を受け入れる事が出来ず、過去の妹にこだわりをみせる護。

妹を思い出す事が唯一のアイデンティティであるという事ですね。

妹の為に人を刺す兄がいれば、娘の為に身を隠す父もいる。

なさぬ仲の息子を愛する母がいて・・・という沢山の愛の物語がここにはあります。

 

 西谷祥子作品はこれ一冊きりです。

わりと大人っぽい作品を描く人で、この人の漫画はマニアの間では

高額になっています。

別冊マーガレットに掲載されてから何度も読んでついにコミックスにまで

手が出ちゃったという代物です。

 「オリンポスは笑う」(昭和49年 別マ)

登場人物・・・リーリ(表紙左)

        ユーリアス (表紙右)

ストーリー・・・人間なのに神々より美しいユーリアス。でも彼がもっとも愛しているのは

        妹のリーリ。

        ある日、月の女神アルテミスに見初められたユーリアスはそのまま

        天界に連れ去られてしまう。

        リーリは兄の行方を追ってオリンポス山の神殿に。

        そこでビーナスの息子であるエロスとマンテーロス兄弟に言い寄られ

        実はエロスの愛の矢がアルテミスを恋に導き、ユーリアスがリーリに

        恋心を抱くように導き、太陽の神、アポロまでリーリのとりこになり・・

        やがて意外な事実がわかる。

 

当時、10歳くらいの私は天文クラブに入って、プラネタリウムに行ったり

星座の勉強をしたりしたのですが、星の動きよりも神話の方に興味を

持ちまして

この作品でギリシャ神話の神々の名前を憶え、図書室で「ギリシャ・ローマ神話」

という本を借りて読んでおりました

6年生の学芸会では「人間の火」というプロメテウスの火の話が演じられ

初恋の彼がアポロをやるので、ぜひぜひ主役クラスになりたいと立候補したのに

私に回ってきたのは飲み物を運ぶだけの侍女の役・・・・・

一晩泣きあかし (本当に泣いたんですっ そりゃあ私は美人でもないし

頭もよくないし、大学教授を親に持っているわけでもない。

彼のようなイケメンで秀才の傍には近寄れないけど舞台の

上では・・せめて舞台の上なら対等でいられると思ったんです)

その悔しさがやがて「ガラスの仮面」をして演劇部への熱に変わり・・・中学では

演劇部にっ という流れになったんですが。

だから私はこの作品を読むと、ほろ苦く片思いで終わった小学校時代の

初恋を思い出し、誰かを好きでたまらない気持ちを思い出すのです。

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今時の女の子に読ませたい昭和の漫画4

2014-04-12 18:00:00 | 昭和の少女漫画

 今時の女の子も読んでね

「絵がキモい」とかーー「無理っ」とか言わないで。

一緒に仕事をしている同年代の人の話。

小さい頃、漫画が大好きで大和和紀の「はいからさんが通る」の大ファンだったの。

でも母親に全部捨てられちゃった」

お母さんに捨てられたって人、結構多くないですか?

幸いにして、私の母は娘の趣味に無関心&傍観&言えば買ってあげる系

だったので助かりましたが。

今回は和田慎二の作品をご紹介します。

「スケバン刑事」で有名な和田慎二ですが、その昔は

「男なのに少女漫画を描いている」という事で、異色の存在でした。

でも別冊マーガレットにおいては美内すずえと並んでっていうか、張り合って

読み切りをガンガン描いてた人です

やっぱり男性ですから、絵もそうですがストーリーが男っぽい。

沢山の作品群の中には、複数回出てくる探偵などがいて、

「愛と死の砂時計」の神恭一郎、「大逃亡」の沼重三は「スケバン刑事」でも

おなじみ・・・とっても古くてファンにはたまらなく愛すべきキャラです。

その一方で「パパと恵子シリーズ」のようなほのぼのとした作品も残しています。

特に「クマさんシリーズ」は不朽の名作。買わなかった自分が悔やまれます。

「別冊マーガレット」から「花とゆめ」に移り、その後は悩みつつも様々な出版社

から出していたようですが2011年に亡くなりました。

 

 「愛と死の砂時計」 (昭和48年別マ)

登場人物・・・雪室杳子 (表紙)

        保本登 (杳子の婚約者)

       紅崎麻矢 (杳子の親友)

        神恭一郎 (私立探偵)

        学園長 (杳子が通っている学校の園長)

        ラベンダーの首飾りの少女

ストーリー・・・孤児院育ちで高校に通う杳子は教師の登ると婚約。

      式を待つだけの幸せな日を迎えていた。

        しかし、登は学園長に呼ばれ学校へ行き、そこで園長の死体を発見。

       その場で逮捕され死刑判決を受けてしまう。

        登の無実を信じる杳子は親友の麻矢や神恭一郎と共に真犯人を

       探し始める。

 

砂時計」ってあまりなじみがなかったので、どういうものか正直わからなかったです。

でもさらさらと死刑への時間を表現するのには最適でした。

また「ラベンダー」の香水というのも全く知らず。そのラベンダーの香りを

ペンダントに封じ込めるという・・・なんともハイカラでおしゃれなネックレスに

激しく憧れました 

昭和40年代はまだラベンダーはメジャーじゃなかったですよね。

香水といえばオーデコロンでシャネルの5番 だから新鮮だったんです。

神恭一郎のかっこよさもひときわ目立ち、最重要人物の登より魅力的でしたね。

さらに「女は化粧で変わる」事を「メイキャップ」という言葉で表現。

当時は今ほど化粧技術が発達していなかったでしょうし、かつらもまたしかり。

それでも人は「メイキャップ」だけで顔が別人になる事もあるんだなーーと。

真犯人のヒントを持つ人々が次々殺されていくさま、その手法に驚いたり

怯えたり。すさまじかったですねーー

 「姉貴は年下」(昭和47年別マ)

登場人物・・・森陽子 (表紙の女性)

          久 (弟・表紙右上)

        石川英明 (表紙右下)

ストーリー・・・わずか半年前まで日本的でなよやかでモテモテの姉貴・陽子が

        突如、髪を切って染めて女優になった。さらにある日、弟に向かって

        「今日から私はあんたの妹になる」と宣言。

        それには深いわけが・・・鍵を握っているのはプロデューサーの

        石川英明。

 

ちょっとシスコンの弟が姉貴の嘘を心配して繰り広げるドタバタコメディですが

まとまっていて笑えて面白い。

和田慎二は本当は「長髪で前髪がくるりんとして和服が似合う」女性が好きなんだなと

思う事があります。麻宮サキもそんな髪ですよねーー

とにかく姉と弟、兄と妹、父と娘・・のような図式が好きな事は確かです。

 「パパとパイプ」(48年別マ)

登場人物・・・恵子 (表紙右)

        パパ (表紙左)

        ライダー1号、2号、V3(猫たち)

ストーリー・・・小説家のパパ、娘の恵子は父子家庭。

         ある日、そこに一人の女性が現れ「私があなただったかもしれないのよ」

         と告げていなくなる。

         同時に人気作家のパパの仕事も次々打ち切りに・・・・

         そこにはパパの知られざる「恋」の話が。

 

このコミックスにはさらに昭和46年別マに掲載された「パパ!」が収録されて

おり、この「パパ!」がシリーズ初という事になり、「パパとパイプ」は2作目。

パパは小説家で愛煙家。(今じゃ死語)パイプが友達。一日中モクモクと

パイプをくゆらしながら小説を書いてます。

パパが愛した恵子のママは和服が似合う髪の長い控えめな女性・・・・・

父子家庭には3匹の猫がいて、ライダー1号、2号、V3と名付けられています。

この設定は将来的にも変わりません。

そして何かっていうと「パパの初恋」「パパ独身時代の恋」が騒動の元と

なって恵子が泣いたり誤解したりという話が生まれるのです。

「姉貴は年下」はシスコンの弟が主人公。

そしてこれはファザコンの娘が主人公。

温かくて優しい家族関係には憧れた人も多いのではないでしょうか?

 

 「大逃亡」(昭和49年別マ)

主人公・・・江木万理亜 (表紙)

       沼重三

       ローレンス・タルボット神父

       律子

ストーリー・・・孤児でおばさんの家に居候していた万理亜は伯母一家の

       陰謀により罪を着せられ少年院に。

       そこで肩にバラの入れ墨をされ、そこから万理亜は「復讐」を誓う

       女に変身。少年院を脱獄しある村の教会に身を寄せる事になった。

 

可憐で女性らしく、疑う事を知らない女の子が傷害の罪を着せられて

少年院に入る・・・スケバン刑事の大元がここにあるんです

今時の少年院があんなにすさんでいるとは思いませんが、「黒バラの万理亜」

となった万理亜が教会で今一度、素の優しい女性になりラストは死を迎える。

非常に教訓的な意味合いの大きい作品です。

バラ屋敷の謎」 (昭和47年別マ)

登場人物・・・浅野ユミ(画面左下)

        間久部五郎(マック) (左側の男子)

        ジュン 

 

ストーリー・・・ユミは家庭教師として雇われ、屋敷へ行くとそこは真冬なのに

     コートがいらない程温かいバラだらけの屋敷だった。

     担当するジュンはわずか9歳なのに天才で、ユミの他にもその道の

     専門家が教えている。

     しかし、ジュンの髪は緑色で生まれてから一度も屋敷の外に出た事がなく

     さらに、教師がいない場所では「優秀」とはほど遠いすがたをしていた。

     その謎を探るべくマックは潜入していたのだった。

     やがてジュンは父親によって、元々は自閉症で生まれたものの、人工頭脳で

    健常児かつ優秀な子供として生きていたのだった。

 

まるでどこかの誰かが読んだら「うちも人工頭脳が欲しい」と言い出しかねないような

ストーリーなんですが。

優秀な科学者がやっとさずかった息子が自閉症だった・・・

その事に納得できず人工頭脳を開発し、家庭教師が教え込んだ知識を全部

ためていく。屋敷がいつも温かいのは膨大な電気の消費量によるものだった・・・

子供は親に愛されたいから頑張る。親はそれを利用するという悲しい図式が

見えます。

間久部五郎はこの後も色々な作品に登場するキャラクターです。

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画3

2014-04-08 07:00:00 | 昭和の少女漫画

 今回もやってきましたよーー昔懐かしい少女漫画が。

 

今回は「ガラスの仮面」の美内すずえを取り上げます。

彼女の作品は膨大で よくぞここまで読み切りを書けたもんだーーと

驚くばかりです。

描いてる時はトランス状態に陥るんだとか。

後に、ちょっと宗教がかって来たのも頷けますよね

発想が豊かでドラマチック。行動する女の子の冒険にはわくわく

させられたものです。

 

 パンドラの秘密 (1972年別マ)

登場人物・・・・エイメ・リーン (表紙)

ストーリー・・・パンドラ島に生まれたエイメは隠すように育てられ、

首にはいつもリボンが巻かれていた。

母いわく「大きくなっても決して人前でこれを外してはいけません。外したら

      お前は破滅です」

やがて母が誰かに連れ去られ、エイメは監禁されて死にかかっていた所を

助けられてアメリカ人の養子に。

15歳になりエイメはネロという青年に出会う。さらに予知能力を発揮した為に

疎まれて迫害され、パンドラ島の洞窟に。

そこには見た目が普通ではない人達が生きていた。

エイメはその長であるバルバロイの実の娘であり、彼らを導く巫女だった。

エイメの首のあざはその印。

彼女は能力を身につけて行く。そこにパンドラ島を観光島として開発する

者があらわれ、さらに迫害が増し・・・エイメは最後の力を発揮する。

 

 見た目がどうであれ人間は人間である・・・という痛烈な差別への

メッセージが込められた話です。

「人と違う」事は個性であって欠点ではない。

ありのままを受け入れて共に生きる事が大事。

今では当たり前の思想ですが、70年代当時、まだまだ障害者などに対する

差別が激しかった頃ですから、新鮮に思えたのだと思います。

私はこの漫画を読んですっかり美内すずえにはまり、それから別冊マーガレットを

買うようになり、毎月コミックスをガンガン買い始めた・・・という思い出深い一冊です。

 

 「ジュリエッタの嵐」(昭和48年別マ)

登場人物・・・ジュリエッタ王女(表紙右)

        ヘンリー王子(左)

ストーリー・・・ある王国の王女ジュリエッタと血友病の弟、ヘンリー王子。

        二人は幸せに暮らしていたが、「黒い狼」という革命家によって

        国は滅ぼされ、両親は死刑。祖母と二人は幽閉されたが、命からがら

        逃げだし、ある村へたどり着く。

        ジュリエッタは髪を切って男の子になりすまし、ヘンリーと共に

        村で暮らし始めた。そこに黒い狼が現れ、復讐心と恋心に揺れる。

        それを断ち切るようにジュリエッタは弟を連れて真冬の隣国へ亡命。

       しかし、拒絶され絶望の中、ヘンリーは死んでしまう。

 

当時、「血友病」という言葉を知らなくて。

かなり勉強になりました。まるでロマノフ王朝をモデルにしているかのような?

でもジュリエッタの波乱の人生は困難に継ぐ困難で。

とにもかくにもハラハラした記憶が

自分が当たり前に享受していた幸せが、実はとても贅沢な事だったと知る

少女。それでも「以前」を選んで失敗するという過酷な試練物語です。

 

 「みどりの炎」(昭和48年別マ)

登場人物・・・キャロル (表紙)

        イザベラ (キャロルの姉)

ストーリー・・・駆け落ちして6年音沙汰なしの姉を訪ねてキャロルはレノアという

        町へ。しかし、そこは砂漠化が進むすさみきった街。

        姉はやつれはて、義兄は無愛想。

        姉が病気になって寝込む。痩せ衰えて行くのに水しか飲まず

        やがて「木」になって森に植えられてしまう。

        砂漠化した街を救うため、ソロモンという木の一族、その血を

        人間に分け与え、人を木にかえて大きな砂嵐から街を守っていたのだ。

        秘密を知ったキャロルはソロモンの「花嫁」として生き埋めに。

       そこに巨大な砂嵐がやってきて町は崩壊。

 

あまりにも突拍子のない話に驚き、怖かった記憶があります。

でも今、考えると地球の砂漠化というのは環境問題の中でも大きな課題で

砂に埋もれかかった街を何とか守ろうと、「木」が命を持って人を変えて

いく・・・というのはあながちない話ではないでしょう。

すごいのはこういう考え方を今から40年以上も前に持っていたという事です

 

 「クリスマスの私」(昭和47年別マ)

同時収録されているお話です。

登場人物・・・・・栗子 (表紙)

         美英子 

         

ストーリー・・・ケーキ屋の一人娘、栗子は憧れのクリスマスパーティにも行けず

       家業の手伝いに大わらわ。

       お嬢様の美英子様がクリスマスパーティを開くのに、行けず、ケーキの

       配達に。

       でも帰りに財布を落とし、美英子様の家に「財布を落としたみたい」と

       訪ねて行くと「財布は知らないけどパーティにはでてらっしゃいよ」と

       有無を言わさず美英子様のドレスを借りて憧れのクリスマスパーティに。

       でも、なぜか少しも楽しくない栗子。

       やがてパーティの客が美英子を金持ちだからと表ではいい顔をして

       裏では悪口を言っているのを聞いてしまう。

       財布を盗んだのは美英子で、本当は裏表のない明るい栗子と仲良しに

       なりたかったのだ。

 

どんな女の子でも一度はゴージャスなクリスマスパーティに憧れるものでは?

大きなツリーのある大広間。ドレスアップした自分。シャンパンとお菓子とプレゼント。

お友達と品よく楽しく豪華なパーティを楽しみたいと庶民の栗子も思うのです。

 美英子様と知り合う事で夢がかなった筈なのに、なぜ楽しくないのか。

最終的に栗子は庶民である自分がどんなに幸せか知るのです。

隣の芝生は青く見える・・・というテーマがにじみ出てお勧めです。

 

        

 

 

 

 

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画2

2014-04-02 08:05:00 | 昭和の少女漫画

 前回、結構好評だったのでまた頑張ります

 市川ジュン 「星にきけばいい

   昭和49年別冊マーガレット10月号に掲載。

 

市川ジュンという漫画家を知らない人も多いのではないかと思います。

後に「陽の末裔」「懐古的洋食事情」などを描く、非常に社会的だけれど

メルヘンチックな漫画を描く人です。

この人のストーリーはどこまでも上品で優雅。

言葉遣いの一つ一つが「古きよき時代」を象徴しているような印象。

またヒロインをはじめ、名づけの天才でもありまして。

かくいうジュニアの名前はこの人の作品の中からとっています。

 

 星にきけばいい

登場人物・・・荻聖子(表紙左の女の子)

        桂木泉(表紙右の男の子)

ストーリー・・・・泉(せんと呼びます)は桂木病院の一人息子。おぼっちゃま。

      そんな彼がある日、荻聖子という透き通るような美少女と出会う。

      聖子は病院に薬を貰いに来ていた。何の薬?

      実は母親が分裂病(統合失調症)で、聖子は一人で母の看病をしている。

      泉と聖子は互いに惹かれあい、淡い初恋のメロディが流れる。

      しかし、母の病状悪化と聖子の遺伝的傾向に、二人は別れて行く・・・という話。

 

今でこそ統合失調症でも投薬で働くことも出来るまでになりましたが

当時はいわゆる「気が狂う」状態と認識されていた病気。

遺伝的傾向も強いとされていましたよね(現在は20%くらいですか?)

母子が二人暮らし・・さぞや生活が荒れていると思いがちですが、聖子と母の

暮らしぶりはそんなに悪くない。

聖子は母を「かあさま」と呼ぶし、お金持ちおぼっちゃまとの「格差」はそんなに

見えません。

泉は母の病気を含めて彼女を受け入れたいと思うけど、ある日、母親の「狂う」

姿を見て逃げ出してしまった。

その事の罪悪感と恐怖から別れにいたるのです。切なくて悲しいラブロマンス。

印象的だったのが、暴れる母をなだめる聖子のセリフ

「かあさま かあさま 私は聖子ですよ さあどうなさったの

どうして静かにしておいででないの 聖子にはなしてくださいな」

この上品な口ぶりが好きでたまらなかったんですよねーー

 

さてこのコミックスには同時収録されている作品があります。

 「涯ない雲」(昭和49年別マ7月号掲載)

登場人物・・・・夕夏 (中央の女の子) → 母子家庭育ちで兄と弟・妹のド庶民

         高倉直人 (表紙左) → 高倉財閥の一人息子

         谷川森 (右) → 直人の親友

ストーリー・・・高校2年の夕夏が直人にプロポーズされた所から始まる。

         いわゆる皇族の血を引く高倉家の格式に従い、夕夏も嫁見習いで

        高倉家に住みこむのだが、直後に直人が事故死。

       「婚約者」の扱いを受けていた夕夏は「未亡人」となって、高倉家で

       「庶民出身の嫁」としていびられる。

        そこに森が現れて彼女を救い出そうとする。

        セレブな生活の極みが描かれ、「なさいましてよ」なんてセリフが

       随所に出てきます。どこかの東宮妃もこれを読んでから嫁げばよかったのに。

       ここには「風と共に去りぬ」を思い出させる喪服の舞踏会が出てきます。

 

 デイジ・グリーンの夏 (昭和49年別マ8月号)

登場人物・・・デイジ・グリーン (表紙)

        ヴィオラ・パープル (デイジの伯母)

ストーリー・・母を亡くしたデイジがヴィオラおばさんが住む「花ざかりの家」に

        来た所から話は始まる。

        母のリラはずっと「花ざかりの家」に帰りたいと言っていた。だからデイジは

        初めて来たのにまったくそんな気もせず、ひたすら明るく毎日を過ごす。

        でも、ある日、牧師の妻たちとの会話。

        リラがアレック・グリーンと駆け落ちをした件から姉のヴィオラは

        人間嫌いになった話を聞いてしまったデイジ。

        デイジとヴィオラは喧嘩。そしてヴィオラが怪我をして二人は和解。

        

どこまでも「赤毛のアン」へのオマージュが感じられる作品です。

私がこの作品が好きな理由はセリフの可愛らしさにあります。

冒頭から「春はひなぎく すみれに野ばら 桜にりんご きんぽうげ

      夏にはけし ゆり きりん草 くちなし あおい ほうせんか

      秋の紫苑や コスモスや 冬さえ白くさざんか咲いて」

って・・詩的でしょう?

デイジが怪我をしたおばさんの看病をする時も

ミルクしぼってオレンジもいでチーズを切って卵とベーコン

チキンサラダにオニオンスープ マフィンを焼くわね

りんごのとチーズのと それからコーヒー

フリーツ入りのブラマンジェ」

当時、マフィンを知らずブラマンジェも知らず・・・どんな食べ物なんだろうって

わくわくしながら読んでいたんです。

 

これにはもう一本「花ざかりのデイジ」も収録されています。

「楓屋敷」に住むカール・カーマインとデイジの交流です。

 

このように市川ジュンの作品は夢にあふれ、ひたすら品がいい。

そんな彼女が初めて社会派に挑戦したのが「それぞれの旅」でした。

 

 市川ジュン 「それぞれの旅

                   (昭和50年別マ2-3月号)

登場人物・・・木崎玲鈴(中央)・・・

         立原 (右)・・・・俳優をめざす役者の息子

         若菜 (黒髪の女の子)

         小尾 (右から3人目)

         霜(左端)・・・心臓が悪い少年

いわゆるこの5人は中学の生徒会のメンバー。

みんなから「ハイソサエティ」と呼ばれている。

中でも鈴は生徒会役員をやりつつもお勉強はよくでき、画家になるのが夢の

何に対しても前向きで努力家の少女。

しかし、父が会社の不正の汚名を着せられ、自殺した事から生活が一転。

生活保護世帯になってしまう。

中学3年でいずれは大学まで行って留学も・・・なんて思っていたのに、突如

中卒で就職。回りとの格差にいじけ、不良の仲間に入ろうとする。

そんな鈴を救ったのが心臓の悪い霜君

彼は自分には出来ない事を次々叶えてくれる友人達を羨ましいと思いつつ

一緒に夢を見る事が出来たという。

そんな霜に触発されて鈴は就職活動にまい進。やがて定時制に通わせて

くれる高校の図書館で働けるかもしれない事に・・・・・

 

前半の夢見がちな少女のメルヘン一杯のシーンから後半の

生活苦を描くシーンまで。市川ジュンの社会派へのターニングポイントに

なった作品と言えましょう。

 

今時の女の子は容易に夢を見ないし、メルヘンに憧れない。

BLが大好き・・つまり身近な夢をかなえるというより、異次元の世界に

ぶっ飛びたいと思っているんでしょうね。

そんな彼女達に現実社会の中で夢を見て欲しいと思うのは間違いでしょうか。

 

        

 

 

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今時の女の子に読ませたい昭和の少女漫画1

2014-03-03 08:00:00 | 昭和の少女漫画

  今時の子はとにかく昔の漫画の「絵」が嫌だと言います。

大きな目がダメなんですって。怖いとかきもいとか。

私から見ると、今時の漫画の目の方が大きいじゃない?と思うけど。

顔の半分が目だったりしますし。

でも目そのものというより「まつげ」が嫌だという人もいて・・・・・・

小説と違って「絵」を受けられなければ、なかなかその先へは進めないのかなと。

 

少年漫画が20年も30年も一つの作品でヒットを飛ばし続け、キャラが定着して

いく中、少女漫画というのは本当に「時代性」に左右されて来たし、

これからもそうなんだなと。

という事は、読み継がれていくのが非常に難しい分野なのかもしれません。

でも、あえて。

私の蔵書の中から「今時の子」に読ませたい昭和の漫画を紹介して行こうと

思います。

現在、我が家には400種類の少女漫画があります

小学校の時から買い集めて来たもの。昔は1000冊以上あったのですが

随分捨てました。

だから残ったものです。

でも、どうせ私が死んだら姫達に捨てられる運命。

それなら、せめてここで紹介しておこうかなと。

 

 女の子は余裕! 

 

栄えある1回目は

 女の子は余裕!

 作者・・・ひかわきょうこ

   出版社・・・・白泉社 (花とゆめLALA掲載)

   初版・・・1990年10月25日

登場人物

右・・・友美

真ん中・・・楓

左・・・千賀

舞台・・・・高校

 

 ごく普通に学園生活を送っている3人の仲良し。

  友美は幼馴染の沢田君が他の女の子に恋をしていると知って

   ちょっとショックを受ける。

 そこに表れたのが放送部の男鹿先輩。

  先輩は声優張りに声がよく、背が高くてハンサムで・・・そんな彼が

  どういうわけか友美にちょっかいを出してきて。

  先輩が好きかどうかわからない友美は避けまくったりするけど、男鹿先輩は

  さりげなく友美の心の中に入り込んでくる。

 学園祭の前日に喧嘩を売られた男鹿先輩。先輩はテニスの王子様だった。

  でも、兄の死と自分の限界からテニスを諦めた・・・そんな過去をしり、友美の

  心に変化が。

   どんな時もひょうひょうとして冷静で、弱音もはけない。

  でもそんな彼がラストシーンに友美に見せる態度は必見です。

 ひかわきょうこという作家は、コマ割りが小さくてちまちました印象を

   与える作家です。ラブシーンもあまり多くはないし、どこか照れが入るので

   見てるこちらはかえってドキドキする・・・というような。

 

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