以前に出てきた末摘花のはなしです。
・末摘花は父親の死後、暮らし向きはよくなかったが、
何の間違いか光源氏に目をかけられてしまい、
そのおかげでなんとか生活をやっていくことができた。
・ところが、光源氏が須磨のほうへ引きこもってしまったので、
末摘花は援助もなく、窮乏生活を余儀なくされることとなった。
家は草ぼうぼうであり、
こうなったら家宝でも売ってしのぐしかないと女房たちは思ったが、
それは末摘花が許さなかった。
・さて、末摘花の乳姉妹である侍従が、
末摘花の叔母のところに通うようになっていた。
叔母はたくさん娘を持っていて、
どうにかして末摘花を自分のところで
娘のためのメイド(意訳)として使いたいと思って懐柔策をとったのだが、
やはり頑なにそれを断り続ける末摘花である。
・やがて光源氏が都へ帰ってきた。
末摘花からすれば唯一の頼みの綱であるが、
光源氏のほうは末摘花をかえりみるようすがなかった。
大宰に下る予定であった叔母は、それを指摘して
自分たちについてくるようさらに迫り、
侍従も説得にはいったが、それでも末摘花は動かない。
仕方なく、叔母は侍従だけを連れて下っていくことにした。
侍従と思いがけず離れることになって
末摘花の心細さはなおさら積もっていった。
・で、光源氏はあるとき花散里のことを思い出し、
お忍びで出かけたところ、
見る影もなく荒れ果てた家に見覚えのある木を発見した。
「もしかして、ここは常陸宮の家では?」
・たずねてみると、確かに末摘花がいた。
こんな荒れ果てたところに住んでいた彼女を思い、
光源氏は気の毒な気持ちでいっぱいになった。
・そこで、光源氏は末摘花にいろいろと援助をすることにした。
末摘花の暮らし向きはよくなり、
やめていった使用人たちも我先にと戻ってくる有り様であった。
やがて、光源氏は末摘花を東の院というところに移し、
ときどきは様子をうかがうようになった。
……末摘花を見ていると、
天いなの栗原透子を思い出すんですけど、気のせいですかね?(笑)