自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

土の偉大さ

2010年01月31日 | Weblog
 本屋での立ち読みを思い出して書き込むのだから誤っているかもしれないが、気の遠くなるような長さである。
 よく生育した一株のライ麦の根をつなぐと、その長さは六百キロにもなる。さらに絹糸のような根毛までもつなぐと、地球の四分の一周にも及ぶ長さになるという。(ライ麦とは寒い地方で採れる越年草の麦の一種で、実は黒みをおび、黒パンにする。寒い地方だから根をしっかりと張るのだろう。)この驚くばかりの営為は、一粒の種が自らの生を全うするためになし得た事だ。土に落とされた種は、自然の恵みを受けて芽を出し、株を造り、花を咲かせ、実を結ぶ。その一株の根を全部つなぐと、地球の四分の一周にも及ぶ長さになると・・・。疑う訳ではないが、驚いた。
 そんな麦を育てる土の偉大さに感謝しなければならないと思う。今僕が座っている床の約1メートル下にも土がある。あるいは15階建てのマンションに住んでいる人の下にも土がある。日頃、土の存在を気にとめなくとも、土が生物も家屋も支えているのだ。

 『ライむぎばたけでつかまえて』の著者サリンジャーの訃報に接した。1951年刊。物質的繁栄を享受するアメリカ中流階級に生まれた多感な少年の、やり場のない苛立ちを描いた。御冥福をお祈り致します。