自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

続・台所の知恵

2010年01月22日 | Weblog
 昨日の問題の答えを記します、と言っても僕に分るはずもなく、すべて食の博士・小泉武夫さんの識見です。

①の答え: タケノコにはえぐ味の成分としてホモゲンチジン酸やシュウ酸があるが、タケノコを米のとぎ汁とともに煮ると、水から茹でていく間に、とぎ汁に含まれている酵素がタケノコの繊維に作用して、軟らかくするとともに、多量のえぐ味成分を茹で汁に引き出すため。
②の答え: 干した椎茸は、水温が高いほど速く吸水する。低い水温で戻すのには時間が長くかかり、その間、うま味成分もかなり失うことになる。かといって、熱湯で戻すと、うま味成分の溶け出しが著しい。そこで、ぬるま湯ということになる。砂糖を少々加えるのは、真水より砂糖液の方が浸透圧が高く、うま味成分の溶け出しを抑えるため。
③の答え: 海苔にはタンパク質が30~35%含まれている。これを焼くと、タンパク質が熱で縮減する。両面から焼くと両面から縮減するうえに水分も多く蒸発しボロボロとくずれやすくなる。だから、一方だけをさっとあぶるのが良く、二枚重ねで焼くと、両面の表面だけを焼くことになり、そのうえ、熱によって蒸発する香りや水分を反対側の海苔が吸収するから、逃げる成分を防ぐため。一枚の海苔を焼くときも二つ折りにして焼くのは、そのためである。
④の答え: ワサビの辛味はミロシナーゼという酵素の作用による。目の細かいおろし金でゆっくりとすりおろすのは、細胞組織を砕いて酵素が作用しやすくするため。おろしてからしばらくおくのは、おろしたては、まだ充分に酵素が作用しないために辛味が少ないが、時間の経過とともに辛味が増していくため。大根やニンニクなども同じ作用で辛くなる。
⑤の答え: 真水でも薄い食塩水でも魚からの塩出し速度はそう大差ない。しかし、真水で行うより、塩水中の方がうま味成分の溶け出しが抑えられるため。

 台所には他ににもいっぱい知恵があるそうだ。先人の知恵を後世に伝えることが大切だと思う。