自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

パブロ・カザルス(再掲)

2010年01月19日 | Weblog
 カザルスの伝記のような本を斜め読みした。これで何度目か分らない。どのページにも感動的な事が書かれている。一つ引く。
 「私には、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスといういつも変わらぬ友があった。また、演奏旅行には、たいてい音楽仲間で親友のハロルド・バウア、アルフレド・コルトー、ジャック・ティボー、フリッツ・クライスラーが一緒だった。どこの国に行こうと、どこで演奏しようと、それがモスクワの貴族会館ホールであれ、メアリランドの高校の講堂であれ、見知らぬ土地で異邦人だと感じたことは一度もない。モルフィ伯が数ヶ国語を勉強するように言ってくれたことに、いつも感謝していた。私は七ヶ国語は流暢に話せた。しかし、どこでも人々と理解し合えたのは、根本的に音楽を通してだった。国語は違っても、われわれの心を結ぶ言葉は同じであった。国境を越えて異国の町で眠っても、この共通の友愛の精神を常に発見できた。」
 懐かしい演奏家の名前が出てきた。僕の個人的な事を言えば、コルトーのショパンを聴いて、これがピアノ音楽というものかと実感した事がある。それはさて措き、「共通の友愛の精神」、現在の世界で最も求められている精神なのではないだろうか。この精神は平和を希求する精神に通じる。スペインのフランコ軍事政権に追われたカザルスが、いつだったか、おそらく40年ぐらい前に国連総会で感動的な演奏した。その演奏をテレビ報道ではっきりと覚えている。故郷カタルーニャの民謡「鳥の歌」を弾いた。弾く前に一言、「カタルーニャの鳥はピース、ピースと啼きます」。


(今日は高校時代の友人の告別式に出てきます。)