自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

「土の記憶」

2010年01月27日 | Weblog
(新聞より) 
 不知火海を見下ろす山の斜面で、デコポンや夏みかんの収穫が盛んだ。そんな果樹農家のある熊本県芦北町の古石集落。廃校跡にできた生涯学習センターで、わらじ作りや織物教室を開く地域の人と交わる。山里で生きる「作法」を探りながら。
 小坂純也さん(26)。神奈川県生まれ。岩手県の山村生活体験塾に出あい、東京大を1年半で中退し「転校」した。1年近く住みついて、炭焼き、森づくり、草木染からカヤぶき屋根の補修まで、山で生きる技術を学んだ。
 田舎は好きだったが、農業は全く知らなかった。大学に入ったころ始めた古武道を思い浮かべた。刀を鞘に戻して一連の動作を結ぶ居合い抜きに「農の循環」との共通点を見た。森の木を切り、炭を焼く。灰は土に戻り、そこに木が育つ。
 果実は年により甘みや酸味が違う。「土の記憶」だと言う。それを何十年も探る農家に、「とても追いつけない経験の重みを感じた」。
 北海道や信州の農家を訪ね歩き、古石に落ち着いた。周りには、都会から来て機織りやかご作りを職にする若者もいる。彼らとしばしば話し込む。カネはなくても豊かな暮らしがここにある。でも、働く場を確保し、子を育てるのは難しい。
 コケ玉や、地元に多い草の根を使った焼酎。地域を売り出す特産品の開発に知恵をしぼる。
 土はごまかしがきかない。手を抜けば、作物は枯れる。山里に生きる作法を、土、人と向き合うことから考える。


(「土の記憶」という言葉に惹かれた。土を耕し利用すればするほど「土の記憶」は重層するのだろう。すべての生き物に欠かせない土。「土の記憶」に思いを馳せることも僕らが生きる上で大切なことだと思う。今日はちょっと遠出してきます。)