Baradomo日誌

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アジアユース準決勝

2006-11-10 | サッカーよろずごと
サッカーの19歳以下(U19)アジア・ユース選手権準決勝。
日本は大会3連覇を狙っていた韓国をPK戦で3-2と振り切り、決勝進出。

今大会に参加している韓国チームは、予選リーグ3試合と準々決勝の計4試合で得点15、失点1の4戦全勝という圧倒的な強さを見せている。シン・ヨンロクとシム・ヨンソンのツートップで7ゴール、2列目のソン・ジンヒョンとイ・サンホもそれぞれ3ゴールの荒稼ぎだ。
彼の地では「史上最強世代」の呼び声も高い。
おかげで、朝鮮日報などでは日本は「格下」扱い。「かる~くひねってやるぜ」ってなもんだ。

決勝進出を賭けた日韓戦、開始早々の様子を見た限り、韓国の実力は、明らかに日本より上だった。
選手全員にシュートへの意識が高く、隙あれば狙う!という感じなので、ドリブルで突っかけ、空いたスペースに後の選手が入り込み、クロスが上がればほぼ確実にシュートで終わる。いわゆるくさびのプレイも、フォローの出足が早く、確実性が高いし、状況によっては反転してシュートしたり、ドリブルからリズムを変えてシュートするなど、バリエーションも豊富。
そのあたりは個人の判断を重視しているらしく、失敗しても確実にフォローが入るし、見ていて小気味いい。
また、基本的にドリブルでサイドをえぐってから中に切れ込むため、Fwがオフサイドになる可能性も低く、かつ重層的な攻撃が可能になる。
こういうサッカーをやれば、サポーターの支持は高まるよな、確かに…な~んて思ってたら、あれ~?って感じで早々に韓国が先制。
やばいぜ、本当に格下にされちまう…。
一方、日本はと言えば、森島に当てて展開、という図式を忠実にやろうとしているためか、相手エリア付近までパスで繋ぐことが多い反面、スペースに顔を出す選手が少なく、単発的な攻撃が多い。
ドリブラーとしては梅崎、内田がいるものの、マークがきついのか、どうもチャレンジできていない。そこで、右サイドに詰まった内田から大きなサイドチェンジは成功しても、受けた左サイドの堤の判断が遅く、かつクロスの精度が低いため、そこでほぼボールを奪われる展開が。
これ以上やられてくれるなよ~という1億総サポーターの念が届いたか、そのまま1点ビハインドで前半終了。
 今回のチームは、平山がいた前回、大久保らの前々回、さらにその前のゴールデンエイジよりも技術的には上、との評価が高い反面、これといったスター選手がいない。
 A代表歴のある梅崎にしても、当時の小野ほどのオーラはない。
 そのぶん、妙に気持ちは強いのかもしれない。
 後半開始早々、前半いまいちピリッとしなかった堤に代えて17歳の香川を投入、スリーバック気味に陣形も変化。
 これが功奏したか、香川~柏木~前半5回の得点機を棒に振った森島とつないでゴール。
試合後、森島は「河原と2人で3点は取っておかなきゃいけなかった」と反省の弁。
その後、「格下の日本」に同点とされたことで韓国の仕掛けが早まり、日本はサンドバッグ状態に。このため、先日のサウジ戦同様15分過ぎに河原と交代した青木がフィットするのに若干時間がかかり、なかなか押上げが図れない。
そして、韓国のカウンターを止めようと、独走する韓国Fwを引きずり倒してしまった槙野が一発退場してしまうが、なんとかしのいで延長突入。
韓国の圧倒的なパワープレイに防戦一方だった日本だが、梅崎がドリブルでためながらためながら持ちあがると同時に日本選手が一気に相手陣内に攻め込み、ゴール前の混戦からこぼれたところを青木がゴール!
しっかり止めて、ワンフェイク入れてからの確実なシュートは、青木の真骨頂。この時間帯に加え、一人少ないという状況を考えれば、これほど冷静なプレーはなかなか出来ないだろう。
そういう意味で、それまで防戦一方だった日本陣営に光明をもたらした瞬間だった。
とはいえ、正直言えば、青木にはもっとドリブルでつっかけたり、いつものトリッキーさを出して欲しかった。彼はもっと出来る選手だと思うし、あと1年くらいジェフで走りこめば、大化けするのではないか?個人的には対戦国の監督連中から「ファンタスティック!」と評された柏木よりも期待しているんだけど。
ともあれこれで2対1、この試合きまったかぁ!そのまましのげ~と思いきや、194センチのMFを投入し、俄然エンジンをかけてきた韓国。
延長後半、韓国は途中交代で入った17歳の選手を引っ込め、さらに3人目の交代選手を投入。
この選手が中央をスルスルっとドリブル、これを日本側のペナルティエリア手前で倒してしまったため、直接フリーキックをねじ込まれ、またもや同点。
いやはや、なんとも熱くなる試合だぜ!
韓国の監督から見れば、この一連の交代は想定外だったのではないか?
延長前の後半、それまでフリーキックを全て任されていた選手をわざわざ下げて投入された17歳の選手。どうやらフリーキックも全権委任された彼が2列目に入ることにより、11番のキャプテンの選手(イ・ジュホっていうのかな?)をサイドバック(ボランチか?)の位置に下げるなどポジションチェンジを図っていた。しかし、これが結果的に何ももたらさなかったのみならず、その選手はシュートミス、ドリブルミスを繰り返し始めるに至り、メンタル的にも切れかかっていた。
そこで、またその選手を交代させた結果、土壇場での動転劇を演出できたわけだが、実はこの最後の選手も、交代以降フリーキックを全権委任されていた。
つまり、韓国スタメンのフィールドプレーヤーの中に、プレスキックの専門家は1人だけ。
あとはドリブラーとディフェンダーとフィニッシャーである。
これって、オシムのそれと似てないか?
また、交代選手としていわゆるエクストラキッカーが2人もいたわけだ。
しかも若いやつが。
このあたりに、韓国協会の将来展望が透けて見えるような気がしたのは、邪推過ぎるか?

とにかく、同点とした韓国は遮二無二攻めた。
一時はサイドバックくらいの位置まで下がっていた11番もいつの間にやら中盤に戻り、攻撃参加してくる。
そんな韓国の波状攻撃の雨あられをかいくぐり、ここに来て開き直ったかのような内田・梅崎のドリブルから日本も決定機を作り出していく。
そして、互いに攻めあいつつもしっかり守りきり、ついにPK戦。

ところが、先攻ひとりめの梅崎がぶち込んで以降、なぜか互いにはずしまくり(付き合ってしまったか?)、日本の4人目が決めるまで1対0のまま。そして韓国の4番目が決め、日本の5人目がはずして韓国の5人目が決めて…サドンデス突入。
そして6人目。日本が決めたあと、韓国のキックを日本のGK流通経済大の林がセーブし、ついに、驚いたことに日本の勝利。
いやどうも、見ているこちらも疲れた試合だった。

内容的にはどう見ても韓国の方が強い…のだが、何故日本が勝てたのだろう?
韓国のシュートは、ほぼ同じパターンで打ってきていたように思う。
特に、日本の右をえぐり、中央に切り込んでからのシュート、もしくは中央のスペースにマイナスのパスを出して点であわせるシュートが10本以上。
しかし、ことごとく日本GKがクリア。
これは、計算ずくなのか?あるいは偶然か?
日本ディフェンスは特にバイタルエリアに侵入したどりブラーに対する寄せが甘く、お見合いをしながらずるずると下げられる格好が多かったのだが、不思議とそういう展開からは失点していない。
何故だろう?
とはいえ、バイタルエリアへの侵入を許してしまうと、寄せをためらい、クリアも中途半端になるのは、A代表や五輪代表においても同様の癖だ。
決勝までにこの部分を見直さないと…また、本番のワールドユースまでにディフェンス力を高めておかないと、とてもじゃないが世界では勝てないように思う。
とはいえ、これからずーっと何度も戦うことになるだろう韓国チームは本当にいいチームだった。特にキャプテンの11番と、Fwの2人のシム選手。
ちょっと気にして追っかけてみたい。