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蜩や白緒の草履そろへあり 藤原絹子

2016年09月05日 | 俳句
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藤原絹子
蜩や白緒の草履そろへあり

惜しむつくづくと入れ替わってかなかな哀しっが鳴きしきる。たかが虫けらの鳴き声も心持つ人間にはその喜怒哀楽の心の様に呼応する。かなかなの声がまこと秋の哀しさに呼応する。何の集まりか白い鼻緒が揃えてある。冠婚葬祭の哀しい方だろうか。抑えきれない哀しみの目に茫と映っているは、ただ白い鼻緒の並んだしらっとした現の風景である。蜩の声はまこと哀しい。『空へそらへ(第2集)』大阪百鳥句会(2016)所載:やんま記