現在、イラクではスンニ派の過激組織のISISが熾烈な内戦を繰り広げイラクの北部を支配下に置いています。このISISはアル・カーイダ系とも手を組んで戦っています。
上に内戦の起きている中近東の地図を示します。
これに対抗するイラクのシーア派のマリキ首相は同じシーア派のイランのロウハーニー大統領から支援を受け、毎日軍需物資を満載した輸送機がバグダット空港に着陸しています。その上、イランは無人攻撃機をイラク領へ送りスンニ派のISIS占領地にある拠点を攻撃しています。
この混戦に油を注いでいるのがマリキ首相と同じシーア派の隣国のシリアのアサド大統領です。イラクの国境を越えてイラク領内のスンニ派のISISの占領拠点に空爆を加えているのです。
この混迷を更に深くしているのがグルド人の部族勢力です。彼等は近代国家の国境など完全に無視しているのです。
以上のように現在、中近東で起きている内戦は大まかに言えばシーア派とスンニ派の内戦と言えます。しかし同じシーア派やスンニ派の中にもいろいろな派閥があってお互いに勢力拡大の闘争をしています。
イスラム社会は中世そのままなのです。アメリカが干渉すれば一層複雑な戦争になります。
イスラム社会はイスラム教に任せておくのが良いという意見が強いのも理解出来ます。
この状況を毎日新聞で読んでいると私は中世の中部ヨーロッパで30年間も続いた「30年戦争」を思い出しています。
ですから中近東の戦争も30年、あるいはそれ以上続いても不思議は無いと冷静に観察しています。
それではヨーロッパの30年戦争とは何だったのでしょうか?
簡単に言ってしまえばその戦争は宗教改革の後の1618年から30年続いた戦争です。当時のドイツ人の総人口1800万人が700万人に減少し、国土を荒廃させた大戦争だったのです。
それでは誰が誰と戦ったのでしょうか?それが判然としないのです。
勇気を出して簡略化して書けば以下のようになります。
ウイーンのハプスブルグ家の支配下にあったカトリック側の神聖ローマ帝国(当時のドイツの国名)とそれに反発するドイツ国内のプロテスタン領主達の反乱と言えます。
しかしこれはこの戦争のほんの一面に過ぎません。実態は宗教戦争を装った領主たちの領土拡大と権益拡大を主目的にしたおどろおどろしい戦争でした。それにスウェーデン、ノルウエイ、フランス、デンマーク、スペインなどの国々も参加し、領土拡大を狙った国際戦争でもあったのです。
この戦争は、道義もルールも皆無な傭兵が主体で行われました。
この傭兵たちがドイツの農民を殺し、略奪をしつくしたのです。ドイツ全土が傭兵たちによって荒廃させられたのです。
そして戦争には残虐も付きものです。各地で木の枝に吊るした死体があったそうです。
人間の領土欲、権力欲、殺戮欲などの低次元な欲望が恥も外聞もなく発揮された戦争でした。ですから私はこれを、「ヨーロッパ文化の闇」の一つと考えています。
末尾に少しだけ参考資料を付けました。
ユダヤ教のイスラエルも含めた中近東の戦争は日本人にはかかわりの無い宗教戦争と考えられます。しかし難民支援のために日本人が数多く現地で働いていることを忘れるべきではないと思います。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
====参考資料:30年戦争につぃて========= |
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民衆を含む死者は800万人。ドイツ(神聖ローマ帝国)の人口が1800万人から700万人に減少したのです。
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