インドに行ったことはないが、アメリカやドイツで会ったインド人は皆例外なく親切で、私の面倒をよくみてくれました。宗教はヒンズー教が多いようです。日本人の仏教は大ざっぱに言えばヒンズー教の一派となるのか、非常に親しげにいろいろ面倒を見てくれるのです。
1969年秋、ドイツのローテンブルグでのこと。私は34歳。カトリック教会へ連れて行ってくれたインド人フェルナンデス君は22歳。中世風のカトリック教会で3ケ月間、毎日曜日ミサへ連れて行ってくれた。ミサの後は決まって傍のレストランでチキンの空揚げの昼食をとり別れた。宗教談義はしない。ただ「ヨーロッパを車で観光するときには、村々の教会へ入り、お祈りしなさい。ヨーロッパ人の宗教が理解できますよ」と言った。彼はカトリック教徒であった。
ローテンブルグを離れた私はシュツットガルト市へ引っ越しました。その後、家族が合流した。週末には南ドイツやスイスへ車で遊びに行くようになった。
村々の中心には広場があり、カトリック教会と新教のエバンジュリッシュ教会が向かい合っている。教会に静かに入り、お祈りして小銭を献金箱に入れて出てくる。フランスでもスウェーデンでも教会に寄った。有名な豪華な教会でなく、ひなびた小さい教会ほど味わい深いものです。
そして時々フェルナンデス君を思い出すのです。
フェルナンデス君が興味津々で聞いた話は、江戸時代260年の禁教とそれに耐えた日本の隠れキリシタンのことでした。
しかしフェルナンデス君とは一別以来会っていない。消息も分からない。ドイツから帰国した私は1971年に立川カトリック教会の塚本金明神父さんから洗礼を受けた。
インドにはザビエル神父の腕が保存してあり、カトリック信者の数も多いのです。マザーテレサをインド人は宗教の違いを超えて熱烈に支援しました。
あれから茫々50余年、フェルナンデス君のことを今でも良く思い出す。善良な彼の顔を思い出します。
写真はインドの農作業をする夫婦の写真です。出典は、https://depositphotos.com/jp/editorial/life-in-rural-india-49814359.html です。