後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「中国の巨大経済圏、一帯一路構想に欠落する相互尊敬と人類愛」

2017年12月20日 | 日記・エッセイ・コラム
これは暇な老人の雑談です。言いたいことは中国共産党は外国の立場を尊重しないということです。ひとかけらの人類愛も持っていないということです。
私は中国が好きです。親しい友人もいます。しかし習近平主席の推進している「巨大経済圏、一帯一路構想」には懐疑的になっているのです。
中国が好きなので、この構想に対して好意的な記事を年12月7日に掲載しました。「中国主導の巨大経済圏、一帯一路とアジア人の立場の向上」です。
そうしたら、ある方から、それは楽観的過ぎるというご意見を頂きました。教えて頂いた関連の資料を読み込んでみたら、この壮大な構想の実現が困難そうなことが分りました。そこで12月16日に「中国主導の巨大経済圏、一帯一路の完成には長期間かかる」という記事を書いて軌道修正をしました。
この2つの話を要約して簡単に書くとこうなります。
・・・経済的に急成長した中国が世界の覇権を握る勢いです。特に世界の経済に分野では、中国はアメリカ、ロシア、そしてEUと競い、世界の経済的主導権を握りつつあります。今後、中国はアメリカと並んで世界の秩序の規範を決めるようになるのです。
「一帯一路」構想は、中国によるインフラ建設を沿線国で推し進め、一大経済圏をつくりあげるということが建て前です。ところが、実際には中国側の契約不履行や工事中断が相次いでおり、また、仮に完成したとしても、中国側に高い金利を要求され、実質的に中国に支配されるというケースが相次いでいます。雑に言ってしまえば中国がアジアからヨーロッパに渡る地域にある弱小国を植民地にしようとする構想なのです。・・・・
それでは何故、中国共産党の習近平主席はこのような考えを持っているのでしょうか?
答を書いてしまえば彼が全ての外国を見下す中華思想の持主だったからです。全ての外国のいろいろな立場を尊重しないからです。キリスト教国にある人類愛の善意も完全に無視しているからです。
この中華思想はトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の対極になって「中国さえ良ければ良い!」という思想が「一帯一路」構想の基底低音になっているのです。これでは関連する多くの国々の協力は得られません。
このように書くと習近平主席の中華思想は何処に書いてあるという質問が出ます。
それは、「中国の夢――中華ナショナリズムの復興」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52725 )に書いてあるのです。
・・・誰しも理想を追い求めるもの、そして自らの夢がある。現在みなが中国の夢について語っている。私は中華民族の偉大な復興の実現が、近代以降の中華民族の最も偉大な夢だと思う。この夢には数世代の中国人の宿願が凝集され、中華民族と中国人民全体の利益が具体的に現れている。
この夢の実現は、中華民族一人一人が共通して待ち望んでいるところである。歴史が伝えているように、各個人の前途命運は国家と民族の前途命運と密接につながっている。国家が良くなり民族が良くなって初めてみなが良くなれる。
中華民族の偉大な復興は光栄な、かつ極めて困難な事業であり、各代の中国人が共に努力しなければならないことである。・・・
この文章で重要な部分は「国家が良くなり民族が良くなって初めてみなが良くなれる。」という部分です。そして国家を良くする最良の方法が共産党独裁による市場経済主義なのです。
ですから中国国内で幸福に暮らすには共産党の政策に絶対に逆らわないことが一番重要になるのです。
具体的に書けば次のようなことを考えてはいけません。おおやけに議論したりしたら国家転覆罪で処罰されるのです。
・・・人類の普遍的価値、報道の自由、公民社会、公民の権利、党の歴史的誤り、特権資産階級、司法の独立・・・・
中国には14億弱の人がいます。ですからわずかながら共産党独裁に否を唱える人もいます。
その声は、「憲政の夢―自由、民主、立憲の希求」というネット上に発表した資料にあります。
今日の主題は「中国主導の巨大経済圏、一帯一路構想に欠落する相互尊敬と人類愛」であり、この共産党独裁に否を唱える意見は脇道にそれるので末尾の参考資料に付けました。

さて主題の一帯一路構想の問題点に話を戻します。
この構想を推し進めている習近平主席と中国共産党の幹部には中国さえ良ければ良いという中華思想の持主ばかりです。相互互恵の精神が欠落しているのです。人類愛のかけらもありません。これでは中国に莫大な資金があっても相手国は警戒する筈です。
このように「一帯一路」構想には根本的な欠陥があるのです。
中国政府が中華思想を捨て、中国による植民地主義を徹底的に捨てない限り「一帯一路」構想は成功しないと考えられます。

反中意識にもとづく感情的な中国崩壊論や中国脅威論が横行しているようですが、理性的に考えれば中国は崩壊しません。
しかし、その対外政策の一部が失敗するでしょう。中華思想が災いして失敗する対外政策もあるのでしょう。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
今日の挿し絵代わりの写真は人類の世界遺産にふさわしい規模壮大な故宮と万里の長城と秦の兵馬俑の写真です。
===参考資料==================
「憲政の夢―自由、民主、立憲の希求」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52725?page=2 )
・・・今日、我われは、断じて、物質的豊かさだけを夢見ているのではない。精神が満たされることをますます希望している。我われは、断じて、国力が強大になることだけを夢見ているのではない。国民が自尊心を持てることをますます希望している。新しい国民と新しい国家、救亡〔国家と民族の滅亡を防ぐこと〕と啓蒙、そして誰もが他人と無関係ではなく、誰もが他人を圧倒できないことは、明らかである。憲政こそがこれらすべての夢に共通する根源である。(中略)
我われは、自らの大地に立って、各国の人民とともに、生活面においては古今を融合させた新しい生活を、文明面においては中国と西洋を合体させた新しい文明を創出しなければならない。古今東西が激しく動くなか、人類共通の価値に従わなければならないし、自分の新しい夢を見ることも恐れてはならない。(中略)
中国人は、本来、自由な人々だったはずである。中国の夢は、本来、憲政の夢だったはずである。以下省略。