「レ・ドゥー・マゴ」を体験してミッシェルさんの家に帰ってきた。
その夜ミッシェルさんの友人のベトナム人のお医者さん夫妻と、マルチーヌが夕食に呼ばれることになっていて、私もその夕食を一緒にすることになった。
ミッシェルさんの奥さんのジャンヌ・クロードの手料理である。
ちゃんとアペリティフから始まって、前菜、メインはブランケット・ド・ヴォー(仔牛のクリーム煮で、これはとても美味だった )サラダ、チーズ、デザートとフルコースだった。もちろん赤ワインも出た。
ベトナム人夫妻のご主人はベトナム人、奥さんはフランス人(ノルマンディー出身、金髪に青い目)である。
ご主人は麻酔の専門医だそうだ。兄弟もみな優秀だと言うことだった。
奥さんに「あなたも働いているの?」と聞いたら、「ノン、夫が稼いでくれるから」と言うことだった。つまり専業主婦だ。
ベトナムからやってきてフランスで麻酔の専門医をしているなんて、すごいなと思った。
料理は次から次と出てきて美味しかったのだが、残念ながら言葉が通じない。
ベトナム人夫妻とマルチーヌやミッシェルさん夫妻は色々会話を楽しみながら食べているが、ほとんど何を話しているのか解らない。
マルチーヌだけが時々、「解る?」とゆっくり説明してくれることもあったが、難しい話題にナチュラルスピードではまったく蚊帳の外だった。
大概は私のためにゆっくり話してくれたり、私向けの話題にしてくれるのであるが、この時ほど面白くないディナーはなかった。
つまり誰がゲストなのかわからないし、ホストの気遣いも感じられなかったのだ。
せっかくの料理であったが、食事時の会話がいかに食事のおいしさや楽しさに影響するか、いやと言うほどわかった。
やがて夜遅くなりベトナム人夫妻は帰り、マルチーヌもミッシェルさんに地下鉄の駅まで送ってもらって帰って行った。
マレ地区に住んでいるフランス人のマルチーヌでも、「メトロは問題ないけど、駅までが危ないから」とのことだ。メトロの駅まで5分もないのだが、それでもこのあたりは昼間の景色とは違い物騒らしい。
だから私はミッシェルさんのところに夜遅く戻るときは、いつもタクシー利用である。
明日はパリを去る日であるが、その前の晩の食事にしては残念なことになってしまった。
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