シャルトルからの帰り、渋滞に巻き込まれたことは、前述の通りで、彼らの家に到着したのは19時過ぎだった。
「20時の約束なんだけど」と恐る恐る言ってみたが、「それは間に合わないね。メトロで一時間近くかかるよ」と言う答えしか返ってこない。
友人の家は7区と15区の境界あたりで、同じパリ市内であるがほとんど対角線上で、乗り換えを含めるとそのくらいになるらしい。
もしかして「送ってくれる」かもしれないと、淡い(甘い?)期待があったことは事実であるが、そうはいかない。
シャルトル往復でお疲れであるし、そんな無理はとても言えなくて、「タクシーを呼んでもらえる?」と言うのが精いっぱいだった。
タクシーでも結局約束の時間には大幅に遅刻してしまった。
ミッシェルさんが二年前のようなプライベート運転手ではもはやないことを、この時はまだ知る由もない。
数日後、三泊の予定でブルゴーニュへ行くとき、スーツケースがあるため、
二年前と同じようにまたパリ・リヨン駅まで「送ってくれた」。
「広い駅の駐車場」に車を停めて、出てきた。
ここで一つ問題があった。
パリ・リヨン駅でフランスレイルパスにバリデート(使用開始日のスタンプをもらう)してもらう窓口を探した。ミッシェルさんはこっちだろうとウロウロし、階段を上がろうとした。
その時私の目にすぐ近くの「窓口」が目に入った。
「スーツケースを見ていて。私一人で行ってくるから」とお願いをして、階段を上がらず、すぐ近くの窓口でバリデードは完了できた。
こういう時、一人の方が問題は早く解決するのだ。
さて乗り場は?
このリヨン駅、乗り場に注意が必要である。
青と黄色の乗り場があるのだ。
どうやら私の列車のホームは反対の乗り場だ。
どうやっていけばいいのか?
時間も差し迫ってきた。
ミッシェルさんは何人かの人に尋ねてくれた。この時困るのが知らなくても「知らない」と言わず「答えてあげたくなる」人がいることだ。
結構フランス人にこういう人がいる。
彼女もそうだった。どうやら「こっちだ」とか指をさしている。
「そうなのかな?」と歩き始めたところで、柱の地図が私の目に入った。
「ミッシェルさん、違うみたいだよ」と、一緒に見て納得させたが、ここから結構距離がある。
間に合うか、はらはらしてきた私とは違い、おっとりした彼は「すごいね。よく地図がわかったね」とかのんきに笑っている。
やっと黄色の乗り場に到着した。
ホームはどこか?一番端だ。
そして何両編成か知らないが、とても長い列車で私の車両は一番前だった。つまり一番遠い。さすがにミッシェルさんも慌てた。そして車両の前に着いて
急いで「ビズ」でお礼とお別れし、飛び乗ったら直ぐに列車は出発した。
時間に余裕を見て出てきたはずなのに、結果はこれである。
ともあれほっとした私とは別に、彼にはこの後大変なことが待っていたのである。
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