フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

王子様の成長

2011年05月13日 | パリ15区

さて、80代のムッシュが三人登場しましたが、私の出会いは大人ばかりではない。

今回は、今思い出してもあんな美しい男の子を見たことがないと言っても過言ではない、かわいいと言うよりは美しい6歳の「ガブリエル」だ。

彼との出会いはTGV地中海線と言う素晴らしい景色の中を走るフランスの新幹線の中で、パリからニームまで一緒だった。
ちょうど席が向かい合っていて、母親が同行していた。
行儀よく一人で絵本を見たり、おもちゃを取り出して遊んだりで、母親は雑誌を読んでほとんど構うことはなく、静かに過ごし、日本の親子のそれとは違っていた。
公共の場での子供のマナーの良さを目の当たりにする初めての出来事でもあった。
日本には旅は道連れと言う言葉もあり、せっかくの異文化交流のチャンスをみすみす逃がす手はない。
いつも携帯している折り紙を出し、いろいろ折り始め、折った「鶴」を渡すとはにかみながら「メルシー」といった。
そして雑誌を読んでいた母親であるマダムが、初めてこちらに視線を向け、笑顔で礼を言い、私の折るものを見ながら会話が始まった。

彼女たちはパリ在住で、ニームの生れである彼女は、バカンスをおばあちゃんと過ごすためニームに向かうところとのことだった。

ガブリエルは電子辞書を使うのを珍しそうに見ていたので、「使ってみる?」と言うと、また小さな声で「メルシー」と言って、初めて見る電子辞書を興味深く触っている。
その横顔はまるで小さなムッシュであった。
折り紙の「鶴」と自分のおもちゃで一人遊びをしたり、時々簡単なフランス語で会話をしたり、ちょうど私のフランス語のレベルも母親より合っていて楽しいものであった。


私がニームからポンデュガールに行くと言う話や、彼女は朗読の仕事をしているなど、話が盛り上がってきたころ、彼女が「サンドイッチを買いに行くけど一緒にどう?」と。
それならば一緒にと売店に向かうと「コーヒーをおごるわ。」と言う。
マダムは折り紙に対してのお礼が言いたかったのであろうと、喜んでご馳走になった。

その二時間半余りの列車の旅の時間は早く感じた。

そして、帰国してから「パリに戻った時、ロダン美術館に行った。」とメールをすると、「うちのすぐそばよ。知らせてくれれば、もう一度会えるチャンスがあったのに残念だったわ。」

それから数カ月、その年の九月に小学校に入ったとガブリエルの書いた短い手紙とともに、彼が描いたエッフェル塔、そしてポンデュガールの絵が添えられてあり、それはもちろん今でも大切に保管している。

              

二年前、彼らの家に夕食を招待されたのだが、残念ながら、同じ季節、彼はまたおばあちゃんのところでバカンスを過ごしており、会えず残念だったが、電話口でやはり変わらないあのはにかむような声を聞かせてくれた。
そう、あれから何度かメールで彼の成長がわかる写真をもらったが、この時金髪だった髪の色はダークブラウン、西洋の子供の髪の色が変わることも知った次第である。
成長を楽しみにしているが、実は一番最近のものは、最初の面影は消え、「美しい王子様」は「普通の12歳の少年」に成長していた。


またこれからどのように変わっていくのかな?



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