続いてやってきたのは、セシルの紹介の若いカップルだ。
彼らは観光同行なしである。
スーツケースは、一つ、40kgの大型だ。
もちろん御主人が持ち、奥さんほぼ手ぶらだ。
パリに住む彼らは、ハンバーグの店を経営している。
チェーン店のハンバーガーではなく、手作りハンバーガーであるそうだ。
御主人のバンジャマンの叔母さんが経営者で、もう一軒の店もあるがサンジェルマン・デプレにある店を任されているそうだ。
二人はシャンパーニュの出身である。
京都観光を終えてやってきた彼等の例えがいい。
奥さん曰く、「私はランスの出身、彼は小さな村、京都で言うとランスは京都市内の中心部で彼の所は嵐山よ」
成程,判りやすい。
素朴で自然体、感じのいい二人(これは後に会った彼らからも太鼓判)に同行したい気持ちもあったが、ラブラブの二人のお邪魔をするのは無粋だと感じるほど仲が良かった。
彼らと習字やお茶の真似ごともしたが、習字はとても気に入ったようだ。
翌日出かける時、一旦出て忘れ物だと、バンジャマンがすぐ戻ってきた。
そしてマフラーを取り、彼は言った。「彼女のお母さんに習字で名前を書いてほしい。彼女には内緒で帰国後のサプライズにしたいんだ」と。
「ああ、なんていい話!もちろん」と約束をして、彼の荷物にこっそりしのばせた。
彼女は勿論気付かなかった。
彼等はうちにある無印良品のプラスチックケースが積まれているのや、シンプルなレンジ台などを見て、「トレ・イケア」と笑った。
トレは「とても」と言う意味、イケアはパリでも人気のシンプルでリーズナブルな大型スーパーIKEAである。
本来四泊を希望していたのだが、他のお客さんと重なってしまい日程変更してもらったため二泊であったが、彼等から帰国後嬉しい知らせが来た。
「赤ちゃんが生まれる!!日本旅行のハネムーンベビー!」と言うことだった。
「それなら日本にちなんだ名前にしてね」と安産のお守りを送った。
早産で心配されたが、「お守りを分娩室に持って入り、おかげで無事生まれた」と知らせが来た。
命名?
その名は「オスカル」だ!!(ヘブライ語で神と剣を意味するらしい)
日本の名前ではないけれど、日本人ならほとんどの人が知っている名前ではないだろうか?
その説明もして、「いい名前だね!!」と返事を入れた。
その一年後オスカルちゃんとご対面!!!は、もちろんハンバーグレストラン!!
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