二泊した後、東京へ戻る日だ。
約束通り近鉄特急で京都へ向かう。「これこれ、ほら、この電車いいだろう?」とマリオンに言う。
京都は連休と言うこともあり、コインロッカーは全部使用中で、スーツケースを預ける荷物預かり所にも列をなしていた。
京都ではマリオンのため、禅の庭を見せたいということで、昼食にてんぷらを食べた後、バスを避けて、地下鉄東山駅から南禅寺へ向かった。
しかしやはり歩くのが辛いらしい。
金地院で休憩しながら南禅寺へ到着したが、ピアニストさんは山門はもちろん本坊自体へも入らず座って休んでいると言う。
仕方がないのでマリオンは私とともに山門に上がり、本坊の禅の庭を見て、京都の良さを感じてもらえたようなのでほっとした。
そしてまた京都駅へ戻り、ここまで順調だった二人だが、ここで思わぬアクシデントが起こった。。
何と!!ピアニストさんは、せっかく安く買えた新幹線のチケットを上着のベストのポケットに入れておいたら、落としてしまったらしく見つからないというのだ。
マリオンのも?と心配になって尋ねると、彼女は「私のはここに」と、彼女は自分で管理していた。
この時のマリオンは「あーあ」と言う気持ちだったのだろうが、とても淡々としていた。
一緒に探すこともせず、ただ狼狽するピアニストを横にどちらかというと「私は知らないわ」と言う感じに見えた。
結局、買い直すことになった。
「自己責任」とは言っても、気の毒でつい可哀想に思う私たちにとっては、少し「冷たく」も感じた。
だからと言って彼女は「まったくもう、だから高齢の人は」なんてことは微塵もなかった。
さまざまな経験をしたことを彼女は、この親日家のおじさんにとても感謝しながら東京に戻り、その後も、またたくさんの思い出を作り、帰国したのであった。
帰国後日本滞在の話を聞いたボルドー在住の両親はと大変喜び、東京の知人にはもちろんのこと、私にも「ボルドーに来たらぜひうちに来てほしい」と嬉しい申し出があった。
ピアニストさんはその後また二年続けてやってきたが、マリオンはそう何度も来ることができないので
会えるとしたら彼女の住むボルドーだ。
東京の知人は昨年お世話になったそうで、次は私の番だとばかりに「いつ来る?」とピアニストもマリオンの両親も待っていてくれる。
実現したらピアニストさんと一緒にボルドーへの小旅行になりそうだ。
もしかして今年?
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