京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

注目!福井県原子力安全専門委員会の議事概要

2015年12月18日 | 原発ゼロ

12月10日に開かれた最後の委員会(第84回福井県原子力安全専門委員会)の議事概要
注目です。
福井県のHPにアップされました。
注目されるのは田島委員の発言です。

第84回福井県原子力安全専門委員会の議事概要
URLは下記:
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai84kai/giji.pdf

田島委員の発言は議事概要のページ7〔一番上)〜9ページ(9行目)
田島委員の主張(以下)はとても重要です。

・・・・・・・・・・・
○事務局より、資料 No.2「高浜3、4号機の安全性向上対策等に係るこれまでの審議の
取りまとめ(案)」を説明
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(田島委員)
・審議の取りまとめを行うにあたり、委員の意見が反映されているかという確認があった。
このため、これまでの委員会で私が述べてきた意見が反映されているかを確認した。
・昨日、ようやく事務局の方とお会いし、私の意見を申し上げた。報告書案には多くの内
容に触れているが、7点程、重要な点が抜けている。
・1点目は報告書案の「はじめに」に関係する内容だが、今回の審議とりまとめにあたり、
大飯の時と何が違うのかということがはっきりしていない。そういうことを書くべきで
はないかということ。
・大飯の時と大きく異なる点は、過酷事故対策やテロ対策、また、炉心溶融を含めた議論
が行われていることである。つまり、福島第一原子力発電所事故と同じような事故が起
きる可能性を踏まえた対策が規制要求に含まれている点だと理解している。
・2点目は地震についてである。私はこれまでの委員会で地震に関して何度も意見を出し
たが、報告書に書かれているのは基準地震動を 700 ガルとした事業者の根拠のみである。
・以前、フォッサマグナの西側において内陸直下型地震が起きる可能性について学術的に
研究されているのか、また、事業者および規制庁による検討は行われているのかという
ことを伺ったが、回答はなかった。
・また、700 ガルで安全とする根拠について質問したが、これについても明確な回答はな
かった。回答があったのは、審査書に記載されている内容のみである。
・日本海側では、北海道から南に、マグニチュード7を超える地震が沢山を起きている。
太平洋側では、マグニチュード8、9の地震が起きている。学術的に日本海側と何が違
うのか、日本海側では大きな地震が本当に起こらないのか。そのような学術的研究があ
るか無いかで違ってくると思うが、現在はそのような研究は無いということである。
・このため、日本海側でもマグニチュード8、9の地震や内陸直下型地震も起きる可能性
があると考えられ、700 ガルでは不十分だと思う。その意見も報告書に反映すべきでは
ないか。
・3点目は使用済燃料についてである。高浜3号機には 1,109 体、4号機には 1,246 体が
貯蔵されているが、使用済燃料 1,109 体が持つ放射能量はチェルノブイリ原子力発電所
事故で放出された放射能量に相当し、福島第一原子力発電所事故で放出された放射能量
の 20 倍に相当する。また、このまま原子炉を使い続け、使用済燃料ピットが満杯になる
と、チェルノブイリ原子力発電所事故で放出された放射能量の 1.5 倍になる。非常に危
険な状態である。
・非公開の会合で、中川委員長は「使用済燃料ピットが満杯に近い状態になった時点で、
将来の方針が未定ということになれば、工学的に安全とは言い難い」と発言しておられ
る。
・使用済燃料の危険性については原子炉建設の当時から指摘されており、1950 年~60 年頃
に、関西電力は、住民との集会などで、「50年もすれば、人類の英知が使用済燃料の問
題を解決する」と話していた。
・さらに 1997 年、関西電力と日本原子力発電は、2010 年までに中間貯蔵施設を作ると福
井県に約束したが、現時点まで、日本では何の解決策も出ていない。
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・また、先日の現場確認で初めて知ったが、高浜3、4号機では、少量ではあるが、MOX
燃料を使用する予定であると伺った。一方で、MOX 燃料を処理する工場はない。
・使用済燃料の問題は日本のエネルギー政策の問題であり、原子炉の稼働とは直接は関係
しないが、稼働を続けると貯蔵量が増えていくため、使用済燃料を将来どのように処理
するのかという課題は原子炉の稼働に関する重要な工学的問題であると思う。
・使用済燃料に含まれる放射性物質の中で、非常に恐ろしいのはプルトニウムである。α
線源であるため非常に毒性が強く、地元に保管することを本当によしとするのか。
・4点目はテロ対策、これは新規制基準の目玉であり、特定重大事故等対処施設での対応
になっているが、相変わらず航空機衝突には無防備であると思う。
・例えば、以前に述べたNHKの番組でも触れられていたが、使用済燃料ピットに航空機
が衝突した場合、ピット内の水がなくなり、崩壊熱等により使用済燃料が溶融する。
・このようなこと起きる可能性があることを、これまでの委員会でも申し上げてきた。テ
ロ対策に関する回答はあったが、ほとんどされていないと理解している。
・また、国会質問では、弾道ミサイルによるテロ攻撃という話まで出ている。テロが多発
している世の中で、これからどのような事態が起きるのかに関して、テロの危険性はま
すます高まっており、そのあたりについても、対策らしい対策はないと私は認識してい
る。
・5点目は汚染水の問題、この問題に関して私は最初から意見を出してきた。報告書案に
は 34 ページに記載があるが、シルトフェンスやゼオライトがどのように効果があるのか
について、この委員会で度々問題となった。
・事業者の説明では、シルトフェンスによる効果は半分しかないということであった。100
の放射性物質が放出されたら 50 は海に出て行くということである。ゼオライトの効果を
含めて、その点についての記述がない。それらも分かっていることであり、報告書に記
載すればよいと思う。
・6点目は高経年化の問題、前回の現場確認において、高経年化問題について規制庁から
説明があったが、私は、よく理解できなかった。
・高経年化の問題には、脆性化や減肉等、様々な問題があるが、高経年化への対策は、原
子炉自身や配管等、いかに二重化しても対応できない部分がある。その問題が非常に重
要であるが、この点がどうなっているのかについて、報告書案に記載がない。
・7点目は、5月7日の第 80 回委員会で発言した、発電所長の資格、能力についてである。
報告書案の 18 ページに記載があるが、所長の決定は事業者の内部で行われている。この
点については、様々な点を勘案して決めているという説明を受けた。
・この頃、多くの飛行機事故が起きており、そのほとんどが、飛行機自体には問題はなく、
パイロットに問題があったということである。パイロットにはご存じのように、試験が
ある。発電所長についても、資格としては、事業者外部の訓練や資格試験が必要ではな
いかと申し上げた。
・残念ながら、これは国の問題、規制庁など、どこの問題かは分からないが、そのあたり
の問題ということで、この話は終わってしまったと記憶している。このため、この点に
ついても、もし書くことができれば盛り込んでいただきたいと思う。
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・また、報告書案の最後の結論の内容が少し変わっている。38 ページの「原子炉の安全確
保のために必要な対策は確保できている」という部分である。ここは「原子炉の安全対
策が向上したと評価できる」という記載だったと思うが、今日になり、原子炉の安全確
保ができたというような、まさにそのような記載に変わった。
・原子炉の安全確保という意味が、どのようないう定義なのか、最初に申し上げたように、
今回の規制要求では過酷事故やテロ対策も非常に厳しいところまで求めている。ここで
いう原子炉の安全とはどのような意味なのか具体的に書く、どのレベルの安全というこ
とを書く必要があると思う。この点は最も重要だと思う。

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第 84 回原子力安全専門委員会
議事概要
1. 日 時 :平成 27 年 12 月 10 日(木)15:00~16:51
2. 場 所 :福井県庁6階大会議室
3. 出席者 :
(委員)中川委員長、三島委員、田島委員、西本委員、泉委員、大堀委員、望月委員、
田岡委員、近藤委員、釜江委員
(関西電力)
原子力事業本部 副事業本部長 宮田 賢司
原子力安全部長 浦田 茂
原子力技術部長 吉原 健介
原子力土木建築センター 所長 堀江 正人
原子力運用管理担当部長 西川 進也
電気設備グループチーフマネジャー 今井 和夫
放射線管理グループチーフマネジャー 野依 哲生
地域共生本部部長 伊藤 肇
(原子力規制庁)
地域原子力規制総括調整官(福井担当) 小山田 巧
(事務局:福井県)
櫻本安全環境部部長、高島安全環境部危機対策監、清水安全環境部企画監、
野路原子力安全対策課課長
4. 会議次第:
・ 高浜発電所の現場確認(11/30)における委員からの質問に対する回答について
・ これまでの審議の取りまとめ(報告書(案))について
5. 配付資料:
・会議次第
・出席者および説明者
・資料 No.1
高浜発電所の現場確認(11/30)における委員からの質問に対する回答について
[関西電力㈱]
・資料 No.2
高浜3、4号機の安全性向上対策等に係るこれまでの審議の取りまとめ(案)
[福井県原子力安全専門委員会事務局(原子力安全対策課)]
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6.概要