阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

自分だけ防弾チョッキを使用する発想になれるかどうか?

2022年03月11日 11時43分53秒 | 政治

 国連でのPKO活動に参加していた時、防弾チョッキの使用を打診されたことがありましたが、即座に断りました。山岳少数民族の村に住み込み、現地の住民と信頼関係を構築することが日々の活動の要諦でしたから、自分だけ使用するなど考えられないことでした。

 当時、カンボジアでは毎日のように銃声や砲撃を聞いていました。誰もが持っていたAK47(カラシニコフ自動小銃)は1秒間に10発以上の連射が可能で、防弾チョッキだけで被弾を防げるものではなく、また、約10キロの重さがあるので筋トレ効果はあっても迅速に行動するには妨げになります。国連要員であることを示すための帽子やベストの着用が推奨されていましたが、私はできる限り最小限にしていました。反政府武装グループの支配地域の上を国連のヘリコプターで飛行する時は、防弾チョッキが置いてあり、お尻の下に敷いて使用するように指示されたことはあります。ジャングルからAK47やM16で撃ってくるからです。

 今回、日本政府はウクライナに防弾チョッキを供与するとのことです。一定の効果はありますが、防弾チョッキ装着に適さない子どもや女性を置いて自分だけ装着する発想になるのかどうか、現地にいた実感からすると大いに疑問です。また、戦闘部隊が使用する場合の防衛装備移転三原則との整合性も十分な議論が必要です。

 写真は国連のベストを着てのモザンビークでの選挙支援活動と、カンボジアの村での生活。モザンビークは国旗にAK47が描かれていることで知られています。独立に向けたゲリラ戦の苦闘を表しています。