安倍総理は昨日、消費税増税を2年半再延期する方針を示した。世界経済は危機的状況にあり、リーマンショック級の事態が迫っているのがその理由だそうだ。そうすると再増税は次の次の参議院選挙の後になる。そのときは安倍総裁の任期が終わっている。約束したはずの消費税増税からは逃げて逃げて支持率を維持し、悲願の憲法改正によって米国の戦争を下請けできる国へと突き進もうとしている。
安倍総理によるこのようなまやかしは珍しいことではない。しかし、従来は関係者への事前の根回しや身内のメディア、ネット応援団などと一体化して行うのが常とう手段だ。その意味では見事なまでに用意周到なのだが、今回は、世界の首脳の前で唐突に、都合のいいデータだけを表面的につまみ食いしてリーマンショック級の危機が迫っていると宣言し、財政出動への協力を求めた。キャメロン英首相、メルケル独首相などは即座に拒絶し、安倍総理の提案はサミットの首脳宣言には盛り込まれなかった。当然であろう。
数日前の蔵相会議では麻生財務大臣は消費税増税は予定通りと約束をしている。この数日のうちに大きく世界経済が変わったわけでもない。どうやら身内の財務大臣にさえも相談せずに暴走したようだ。
サミットの議長という立場で仕組んだ茶番が失笑とともに却下されるとは世紀の大失態だ。
海外メディアは容赦なく批判をしている。英国の高級紙The Timesは、安倍総理を指していると思われる風刺画で『Bloody Idiot』と表現しているが、柿沢未途衆議院議員が外務省に確認したところ、『程度のひどいアホ』というニュアンスの言葉だそうだ。まさに国辱ものだ。
このようなめちゃくちゃな理屈を作り上げたのは、消費税増税ができない状況をアベノミクスが失敗したからだと認めたくないからだ。
2014年11月、消費税増税の延期を争点に衆議院選挙を解散した時の安倍総理の説明を引用する。
「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。」
「リーマン・ショック並みの経済危機」あるいは「東日本大震災級の大災害」が起らない限り、2017年4月の消費税増税実施に踏み切ることを明言していたのだ。これは国際約束であり、衆議院を解散した結果成立した消費税法の改正によって法律にもなっている。消費税増税が可能になるようにアベノミクスを軌道に乗せますと言いながら、とても上げられる状態にならなかったため、リーマンショック級の自体が予測される世界経済の失速が迫っていると根拠もなくこじつけようとしたのだ。世界各国の首脳はそれぞれに経済発展と財政再建を両立させる努力をしている。その結果、米国は利上げを行おうとしているが、本当にリーマンショック前夜であれば利上げを行うなどあり得ない。日本よりも遥かに良い経済状況を実現している首脳がこのような茶番に付き合わされる理由はなく、即座に拒否したのは当然である。
私たちも消費税増税には反対だ。それは金持ちを大金持ちにするアベノミクスが失敗し、逆進性の強い消費税増税を行える環境にはないからだ。私は1%の富裕層のための政治ではなく、残りの99%に安心と希望を与える政治に変える必要があると考えている。5月11日のマニフェスト会議(インターネットテレビ会議)では、その実現のためにはデフレ脱却まで消費税を5%に戻し、所得税、相続税の累進課税の強化や、環境税・炭素税の本格導入、資産課税強化など、金持ちから税金を取って公正な再分配を行う制度構築が必要と訴えた。平等性を促進する税制は総需要拡大に効果があることが明らかだからだ。
一度破った約束をもう一度衆議院選挙で問うのは税金の無駄遣いであり、国民の政治不信を増大させるだけだ。
安倍総理が行うべきは衆議院解散ではなく、内閣総辞職だ。
暗くなる直前まで街頭演説で上記のような内容を訴えていました。