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第56回 YC&ACセブンズ(2015.4.12)の感想(その1)

2015-04-15 01:33:14 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


東京セブンズは(TVで観ているが)パスしてしまったので、この日のYC&ACセブンズからが私的今シーズンの開幕戦になった。来週(4/19)は東日本大学セブンズで再来週(4/26)は関東大学フットボール連盟のセブンズ・ア・サイド(通称リーグ戦セブンズ)と続き、関東大学の春季大会も始まる。寒さのせいで身体はまだ冬眠状態なのだが、せめて熱いラグビーで身体を暖めて覚醒したいところ。列車のトラブルでキックオフに間に合うかとヒヤヒヤだったが、何とか試合会場に辿り着いた。

今年で第56回を迎えるYC&ACセブンズは、日本でのセブンズの歴史を語る上で外すことのできない由緒ある大会。しかし、いつも残念に思うことは、ラグビー協会のホームページでの告知が遅れがちのこともあり、ハイレベルの大会であるにも拘わらず知る人ぞ知る大会であり続けていること。実際にプログラムに添えられたメンバー表を見ても、現役のセブンズ日本代表選手やかつてサクラのジャージを身に纏った選手、そして期待の新戦力など能力の高い選手達がずらりと顔を揃えている。

さて、今大会の出場チームは社会人チームが6に大学チームが10(対抗戦G5、リーグ戦G5)の計16チーム。関東大学リーグ戦Gウォッチャーとしては、気になるのが昨年末の入替戦で明暗が分かれた専修大と日大の状態。もちろん、目下2強として覇を競い合っている流経大と東海大が相見えるのも大きな楽しみだ。しかし、注目はなんと言ってもセブンズ(とタッチフット)に特化して選手を集めているPSI(コストカッツ改め)スーパーソニックスの豪華陣容。

そんな選手達がどんなプレーを見せてくれるのか。アドレナリンの上昇を抑えられないままにキックオフとなった。

[予選ラウンド]

○北海道バーバリアンズ 22-19 ●日本大学
●タマリバクラブ 19-22 ○筑波大学
○早稲田大学 28-14 ○中央大学
●釜石シーウェイブス 17-31 ○専修大学
○PSIスーパーソニックス 47-5 ●明治学院大学
●和歌山県選抜 14-35 ○東海大学
●YC&AC 7-26 ○慶應義塾大学
●青山学院大学 7-34 ○流通経済大学



北海道バーバリアンズのトゥキリはセブンズ日本代表の期待の星。また1番を付けてジョセ・セルも強力とあって序盤の日大はまったくいいところがない。前半17-0で勝敗はあっさり決まるかと思われたが、勝負は分からない。バーバリアンズには安心感、日大には危機感(このままでは不味い)の総合作用?で日大が息を吹き返し惜敗というところまで行ってしまった。その後の日大の活躍を見ると、セブンズの場合はコンソレーショントーナメントの方に回ってたくさん試合ができた方がいいのかも知れないと思ったりもする。

老獪な戦術が持ち味のタマリバと筑波も最終スコアを見る限りは接戦。タマリバの注目選手はベテランの竹山だが、早稲田を卒業した萩野も名刺代わりの1トライで気を吐く。後半に1トライを挙げて19-5となったところまではタマリバのペースだったが、筑波が怒涛の3連続トライで逆転勝ちを収めてしまった。後半は相手がバテると読んで?の体力勝負が功を奏した印象。筑波はこのメンバーにFWの選手達が加わったらそのまま15人制のベストメンバーになりそうな陣容で今年も楽しみ。横山、本村、竹田、鈴木啓太、木村、亀山兄弟に久内。山内はケガだろうか。

しかし、筑波でもっとも目を惹いたのは昨シーズン観ることのなかった長身の選手。セブンズで1人だけ大きかったら逆の意味で目立ってしまうのだが、2年生の中村大志(189cm、大阪桐蔭高校出身)はそんなことはなかった。おそらくAでのデビュー戦かと思われるが落ち着いてプレーが出来ているし、何よりも身体能力が高い逸材であることは間違いない。FWのパワーアップが急務の筑波としてはとても楽しみな選手の登場ではないだろうか。

早稲田は素早い動きで中央大を翻弄。いつになく気合が入っているように見受けられ、この大会に期するものがあったのかも知れない(実際にそうだった)。中央大は、恒例となったチーム一丸の応援でピッチ上の選手達にガッツを注入するが実らず。ただ、一昨年のこの大会で鮮烈な印象を残したスピードスターの住吉藍好の復活は明るい材料。彼のようにコマネズミの如く動かれたら大きな選手は面食らってしまう。セブンズ代表にもひとりはこんな機敏でスピードのある選手を入れたらいいのにと思ったりもする。日本人の長所と言われる俊敏さもセブンズでは確実に武器になる。

専修大は今年も準備万端でこの大会に臨んだようだ。ここまで見てきたチームでは一番セブンズの香りが漲っているように感じられる。中でも巧みなランとスピードで魅せた野田高陽は注目していきたい選手。秋のリーグ戦では1部のパワーの洗礼を受けることになりそうだが、コンビネーションに磨きをかけて新風を吹き込んで欲しいと願う。釜石シーウェイブスは新加入のマイケル・バートロケ(日大出身)がひとり気を吐く形。日大時代はどちらかというと期待を裏切ってしまう場面も多かったが、釜石で一皮むけて欲しい。元来、スピードもパワーもある選手なので、セブンズではFWをやったら面白い存在になりそうな気もする。この日の溌溂としたプレーを観てそんなことを思った。

PSIはこのまま強化を進めたらもうひとつの日本代表になりそうなくらいの豪華メンバー。オペティ(流経大OB)、ツイタヴァケ、テアウパ・シオネ・ファーマオ(大東大OBのマオ)、ジェイミー・ヘンリーにかつてのセブンズ日本代表ピエイ(新羽)マフィレオ。日大時代のピエイは細身の高速ランナーという印象だったが、ヨコ幅が拡がった感じでスピードは落ちたかも知れない。でもセブンズで復活してくれたのはとても嬉しい。マオは期するところがあったのか、人一倍頑張っているような印象を受けた。最初にこんな相手とあたってしまった明治学院大学は不運と言う他ない。でも、ちゃんと準備していたことはコンソレーショントーナメントでわかる。

和歌山選抜ではビッグネームの吉田大樹が注目を集めた。その16番の選手がボールを持つとピッチサイドでは期待の声が上がる。和歌山選抜はボールがよく動き、練習を積んでいることがよくわかるプレーを見せた。しかし、今は大学のトップチームの方が社会人よりもパワフルな選手を集めている時代になっている。和歌山選抜に先制を許したものの、東海大にエンジンがかかったら社会人でも止められない。筑波同様に東海大もテトゥヒ、村松、湯本、野口兄、近藤英人、石井魁、藤田貴大となかなかのメンバーが揃っている。この日とくに目を惹いたのが4年生の近藤。昨シーズンは野口弟の登場や石井の影に隠れていた感があるが、この日のプレーには去年までとはひと味違う頼もしさが感じられた。WTBとFBはバックスリーで一括りにされてしまいがちだが、WTBもFBも出来る選手は意外と少ないだけに楽しみな存在と言える。

セブンズには力を入れてこなかった印象があった慶應も方針を変えたのだろうか。早稲田に負けじと気合が入った戦いぶりで曲者揃いのYC&ACを撃破する。ただ、YC&ACは選手間のコミュニケーションがよくとれていて、ボールを離すところには必ずフォロワーが居る。かつてのセブンズならこのスタイルで勝てていたと思う。YC&ACでひときわ目を惹いたのは、9番を付けたタファイ・トゥマナワポハトゥの高いランニングスキル。名前からするとフィジー出身者だろうか。

流経大はこの大会での連覇がかかる優勝候補で貫禄勝ち。注目選手はセブンズ日本代表の合谷とリサレ・ジョージだが、リリダムに隠れた格好だったテアウパ・シオネがいよいよ本領発揮といった感じ。SOからWTBまでこなせるパワフルかつスピードのある選手の存在は流経大にとって心強いはず。BKならどこでも出来る合谷との剛柔コンビは本当に楽しみ。しかし、敗れたとは言え、青山学院大も能力の高い楽しみな選手が揃っている。

活きのいい選手が揃う大学チームに対し、経験だけでは勝てなくなってきている社会人チームという印象を抱かせた予選ラウンドの各チームの戦いぶりだった。(つづく)
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