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映画「アクアマン」:アトランティスの女王の名前が「アトランナ」。後は推して知るべし

2019年03月02日 14時34分18秒 | 映画(新作レヴュー)
司会不在,技術系受賞の中継外し問題等,開催前にはいろいろとあった今年のアカデミー賞で,昔は清掃員の仕事をしていたし,それが結構気に入っていた,と披露したのは,「女王陛下のお気に入り」で主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマン。かなりウケたが,昨年監督賞を受賞したギジェルモ・デル=トロとアルフォンソ・キュアロンがしっかりと抱擁するシーンも,今年のアカデミー賞のハイライトの一つだったと言っても良いだろう。そのデル=トロの受賞作は半魚人を主人公にした「シェイプ・オブ・ウォーター」だったが,その半魚人を少し大型にして凶暴化させたような怪物が,ジェームズ・ワンの大作「アクアマン」に大量に出てくる。造形的には極めて映画館のスクリーンと親和性が高そうな怪物なのだが,「アクアマン」の世界的な大ヒットを受けて,早くもその怪物=トレンチを主役に据えたスピン・オフが始動しているらしい。ジェームズ・ワン,新たな鉱脈を掘り当てた,と言える成果だ。

冒頭にシガー・ロスが流れた瞬間には,「アート系入っているのか?」という警告が鳴り響いたのだが,勿論そんなことは全然なかった。なんせ,海に沈んだ幻のアトランティス帝国から逃げてきた女王(ニコール・キッドマン)の名前が「アトランナ」。安易且つDCコミックらしいネーミングが象徴するとおりの,大人のファンタジーてんこ盛りの娯楽大作だ。
主人公のアクアマンは,まったく手足を動かすことなく猛スピードで水中を進むし,海中に築かれた水中都市はまさに西洋版の竜宮城。タツノオトシゴ軍団VS.サメ軍団という,まさに小学生が考えそうな取り合わせも,細心のVFXによって,エネルギーに満ちた画に昇華されている。冒頭のアクションシーンやイタリアでの逃亡劇におけるカメラの躍動感溢れる動きに加えて,イタリア絡みのネタ,ピノキオへのオマージュも微笑ましい。

主人公を演じるジェイソン・モモアの年齢・国籍・性格,すべてが不詳的なキャラクターもこれまでのヒーローものとは一線を画す。危機にあっても切迫感を感じさせない茫洋たる雰囲気が,「海」というモチーフと正しく化学反応を起こして,新しくも由緒正しい冒険映画を生み出した原動力となっている。
既にスピン・オフに加えて次作の制作も決定しているようだが,美しきヒロインのアンバー・ハードに,姑役キッドマンが湛えている妖艶さの半分くらいでも加わってくれれば言うことなし。
★★★☆
(★★★★★が最高)


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