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映画「メグレと若い女の死」 パトリス・ルコント& ジェラール・ドパルデュー

2023-03-19 18:13:46 | 映画(自分好みベスト100)
映画「メグレと若い女の死」を映画館で観てきました。


映画「メグレと若い女の死」はフランスの名匠パトリス・ルコント監督がベテラン俳優ジェラール・ドパルデューと組んだ新作だ。作家ジョルジュ・シムノンメグレ警視が謎解きをするミステリーの名作である。50年代のフランスパリの雰囲気が感じられるという解説を読みこの映画を選択、ここのところハズレが続く中では大当たりだった素敵なフランス映画である。

1950年代のパリ、身体に5カ所の刺し傷のあるフォーマルドレスを着た若い女性の死体が発見される。メグレ警視(ジェラール・ドパルデュー)が現場に駆けつけるが、身寄りを示すものは何も残っていない。高価なドレスと履いてる靴や下着は不釣り合いだ。犯人を探すために、目撃者の証言、遺留品をたどっていくと若い女性ルイーズの素性が少しづつわかっていくという話だ。


ミステリーのお手本のような作品だ。
テンポがいい。90分以内に上映時間を簡潔にまとめる。ムダがない。それなのに、大柄で太めのメグレ警視の動きはゆったりで、あせらず動く。音楽とあわせて心地が良い気分になる。蓮實重彦が常に言う映画90分論にあてはまる。昭和30年代の日本映画の刑事ものもこのくらいの長さであるが、映像につなぎ目が多く、不自然さがある。この映画ではごく自然に謎解きが流れる

子どもの頃、東京オリオンズ(のちのロッテ)に小山正明という300勝投手がいた。ムダなインターバルなく、あっという間に完投する投球を見せてくれた。「巨人の星」での星飛雄馬のように、投げるまでに10分かかるような映画が最近やたらと多いので、この映画のムダのなさがより一層体感できる。ベテランのパトリス・ルコント監督のうまさであろう。

フランス映画独特のムードの中で、陰影のバランスが上手い鮮明に見せない映像もすばらしい。古い街並みがそのまま残っているパリならではのロケもあり、クラシックな建物とインテリアもいい。ストーリー自体は、都合のいい出来すぎな設定もある。でも、変なつくり込みはせずに、手掛かり材料から周到に聞き込みをしていくメグレ警視をじっくり追っていく。コロンボ刑事を連想する。


若い美女3人も巧みに起用していた。図体だけデカイ、動きが緩慢な初老の警視とのコントラストもいい。俳優の使い方に長けている。特に良かったのが、たまたまスリの現場を見つけて、手なずけたベテイという女性(ジェドラベスト)だ。もともとは育ちがよくない女だけど美しい。低めの声がカッコいい。出来すぎな展開に彼女がうまく使われていた。


この展開自体は不自然というより好感をもって自分は観れた。奇妙な余韻も悪くない。傑作とまではいかないが、この映画が好きだ

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