映画「リコリス・ピザ」を映画館で観てきました。
映画「リコリスピザ」はポール・トーマス・アンダーソン監督の青春映画である。ダニエルデイルイスの引退作「ファントムスレッド」以来4年ぶりの新作なので,すぐさま映画館に駆けつける。若い主演2人は知らない俳優だ。映画を見終わって初めて,主演の若者がフィリップシーモアホフマンのせがれだと知る。相手側3人姉妹のロックバンド・ハイムのボーカルだ。応援にショーン・ペン,ブラッドリー・クーパーとメジャー俳優が駆けつけている。
1973年15歳の子役俳優ゲイリー(クーパー・ホフマン)が学校に写真撮影に来ていた写真館のアシスタントのアラナ(アラナ・ハイム)を好きになり,いきなり付き合ってくれと告白する。25歳でずっと年上なので冗談でしょうと取り繕わない。ところが、接触をもつ機会が増えていつの間にか2人の関係は進展していく。その恋愛の紆余曲折が語られる。
わかりやすい英語のセリフなので,頭の中に内容が入って来やすい。この時代のゲイリーの年齢は自分に近い。ただ、「ごった煮」といった感じで,様々な題材がごちゃまぜに映画に収まっている印象を受ける。いつもより構成力が弱い気もする。好き嫌いは分かれるのではないだろうか?映画を観ていて、途中で頭が整理つかなくなる時もあった。
⒈ポールトーマスアンダーソン監督
新作が出るとなると見逃せない監督である。「マグノリア」で最終場面に向けて空からカエルが降ってくる場面に仰天した。「ブギーナイツ」「パンチドランクラブ」はどちらかと言うと青春ものでこの映画もそのテイストを持つ。でも、作品群では、人物を描いた「ゼアウィルビーブラッド」や「ファントムスレッド」の方が好きなのかもしれない。
ポールトーマスアンダーソンは着想が豊かである。頭の中に数え切れないような映画の題材の構想があるのではないだろうか。それをじっくり数年にわたって頭の中で醸成させて、映像表現に置き換えてこの映画を作ったのがよくわかる。リコリス・ピザというのは当時西海岸エリアにあったレコードショップの名前である。西海岸で育った人は1973年当時を思い浮かべて感慨にふけるのかもしれない。音楽のセンスは抜群だし、雰囲気自体は心地よい。
⒉ごった煮のいくつか
「ザ・マスター」の後で「インヒアレントボイス」は、映画を観ていて正直訳がわからない状況になった。この映画もどちらかというと似ているかもしれない。結局,友達の延長にすぎない単純な2人の恋物語で、たくさんのネタがあっても、ストーリーに根幹があるわけでない。伏線にこだわらないし,何かがあると思わせる人物を登場させても結局曖昧な存在になることもある。
1973年といえば、世界中を震撼させたオイルショックの年である。映像にあるようにガソリンスタンドに行っても大行列で給油できない車が続出する歴史的背景もキーポイントになる。同性愛が今ほど認められていない時期に、選挙候補が男の恋人に迫られ戸惑っている姿にもまだ保守的な70年代のアメリカを感じさせる。
主人公のゲイリーは、俳優業をやっているとしても15歳の少年である。それなのにウォーターベットの販売をしたり,ピンボール場のオーナーになったりする。この年でこんなことできるの?と思ってしまうが,ポールトーマス・アンダーソンのインタビューを見ると、実際に監督が同じようなプロフィルだった実在の人物に出会っているらしい。さすが自由主義経済の本場アメリカはちがうねえ。日本じゃありえない。
荷台が大きく、サイドミラーでしか後が見えないガス欠のトラックで、ヒロインのアラナが坂道をバックで走らせるシーンなどの見どころもあるけど、小コントを繰り返しているだけにも見える。すげえなあと思うシーンは少ない。
アラナに俳優の卵になるような設定をさせてショーンペンやブラッドリー・クーパーを絡ませる寸芸という感じのワンシーンがあるけど、存在感はある。日本料理屋の経営者の妻役で日本人女性が出てくるシーンが2つ出てきて、毒っ気のある日本語のセリフを話すシーンにはびっくりした。
映画「リコリスピザ」はポール・トーマス・アンダーソン監督の青春映画である。ダニエルデイルイスの引退作「ファントムスレッド」以来4年ぶりの新作なので,すぐさま映画館に駆けつける。若い主演2人は知らない俳優だ。映画を見終わって初めて,主演の若者がフィリップシーモアホフマンのせがれだと知る。相手側3人姉妹のロックバンド・ハイムのボーカルだ。応援にショーン・ペン,ブラッドリー・クーパーとメジャー俳優が駆けつけている。
1973年15歳の子役俳優ゲイリー(クーパー・ホフマン)が学校に写真撮影に来ていた写真館のアシスタントのアラナ(アラナ・ハイム)を好きになり,いきなり付き合ってくれと告白する。25歳でずっと年上なので冗談でしょうと取り繕わない。ところが、接触をもつ機会が増えていつの間にか2人の関係は進展していく。その恋愛の紆余曲折が語られる。
わかりやすい英語のセリフなので,頭の中に内容が入って来やすい。この時代のゲイリーの年齢は自分に近い。ただ、「ごった煮」といった感じで,様々な題材がごちゃまぜに映画に収まっている印象を受ける。いつもより構成力が弱い気もする。好き嫌いは分かれるのではないだろうか?映画を観ていて、途中で頭が整理つかなくなる時もあった。
⒈ポールトーマスアンダーソン監督
新作が出るとなると見逃せない監督である。「マグノリア」で最終場面に向けて空からカエルが降ってくる場面に仰天した。「ブギーナイツ」「パンチドランクラブ」はどちらかと言うと青春ものでこの映画もそのテイストを持つ。でも、作品群では、人物を描いた「ゼアウィルビーブラッド」や「ファントムスレッド」の方が好きなのかもしれない。
ポールトーマスアンダーソンは着想が豊かである。頭の中に数え切れないような映画の題材の構想があるのではないだろうか。それをじっくり数年にわたって頭の中で醸成させて、映像表現に置き換えてこの映画を作ったのがよくわかる。リコリス・ピザというのは当時西海岸エリアにあったレコードショップの名前である。西海岸で育った人は1973年当時を思い浮かべて感慨にふけるのかもしれない。音楽のセンスは抜群だし、雰囲気自体は心地よい。
⒉ごった煮のいくつか
「ザ・マスター」の後で「インヒアレントボイス」は、映画を観ていて正直訳がわからない状況になった。この映画もどちらかというと似ているかもしれない。結局,友達の延長にすぎない単純な2人の恋物語で、たくさんのネタがあっても、ストーリーに根幹があるわけでない。伏線にこだわらないし,何かがあると思わせる人物を登場させても結局曖昧な存在になることもある。
1973年といえば、世界中を震撼させたオイルショックの年である。映像にあるようにガソリンスタンドに行っても大行列で給油できない車が続出する歴史的背景もキーポイントになる。同性愛が今ほど認められていない時期に、選挙候補が男の恋人に迫られ戸惑っている姿にもまだ保守的な70年代のアメリカを感じさせる。
主人公のゲイリーは、俳優業をやっているとしても15歳の少年である。それなのにウォーターベットの販売をしたり,ピンボール場のオーナーになったりする。この年でこんなことできるの?と思ってしまうが,ポールトーマス・アンダーソンのインタビューを見ると、実際に監督が同じようなプロフィルだった実在の人物に出会っているらしい。さすが自由主義経済の本場アメリカはちがうねえ。日本じゃありえない。
荷台が大きく、サイドミラーでしか後が見えないガス欠のトラックで、ヒロインのアラナが坂道をバックで走らせるシーンなどの見どころもあるけど、小コントを繰り返しているだけにも見える。すげえなあと思うシーンは少ない。
アラナに俳優の卵になるような設定をさせてショーンペンやブラッドリー・クーパーを絡ませる寸芸という感じのワンシーンがあるけど、存在感はある。日本料理屋の経営者の妻役で日本人女性が出てくるシーンが2つ出てきて、毒っ気のある日本語のセリフを話すシーンにはびっくりした。