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映画「42 世界を変えた男」 ジャッキーロビンソン

2014-04-23 17:42:01 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「42」は2013年公開の野球映画である。

野球映画好きの自分からすると、公開時に当然いくべき映画であったが、スケジュールが調整つかなかった。
題材、映像のセンスともに抜群だ。球場で選手を捕らえるカメラワークがいい。これは自分の相性にあう映画であった。
ジャッキーロビンソンが初の黒人メジャーリーガーであることはあまりにも有名である。名前は知っていたが、活躍ぶりは知らなかった。改めてこの映画を見て、強い差別の中で這い上がっていった彼に賛辞を述べたくなった。「それでも夜は明ける」ほどの黒人差別映画ではないが、一時代前の暗黒時代を匂わせる。

第二次大戦が終了して、戦争で中止となっていたメジャーリーグも再開された。ジョーディマジオ、テッドウィリアムズらのスター選手も球場に戻ってきた。そのころアメリカでは、トイレやレストラン、交通機関などあらゆる公共のものの使用が白人と有色人種とで分けられ人種差別が横行していた。まだ黒人選手はメジャーリーグにはいなかった。
メジャー球団ブルックリン・ドジャースのゼネラルマネジャーであるリッキー(ハリソンフォード)は1人の黒人野球選手に注目する。黒人リーグにいたジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)を採用しようとすると、球団内からも大きな反発を受けた。しかし、初志貫徹でまずは3Aのロイヤルズに入団させる。テストをすると、抜群の能力を見せるが、監督も黒人に対する差別心を持っていた。リッキーは彼を使えないようならお前はクビだと監督に言い、ジャッキーを起用する。早速力量を発揮しはじめて、試合で活躍をつづけた。

1947年ジャッキーはメジャーリーグへ昇格しブルックリン・ドジャースのユニフォームを着ることになった。背番号は42番である。しかし、チームメイトの中から強い反発が起き、追い出そうと署名運動まで起きた。それを感知したリッキーGMは監督にそれを抑えさせた。ついにジャッキーは試合に出ることになる。だが、試合に出ると黒人差別の激しい地域の球団のメンバーから激しく攻撃されるのであるが。。。

黒人差別の映画は最近も含めて多々ある。オスカー作品だけを取り上げてみても、「アラバマ物語」「夜の大捜査線」が印象深い「アラバマ物語」は1人の黒人少年の冤罪の話である。正義の味方グレゴリーペックはいれど、いいように白人にやられている。「夜の大捜査線」では、一般の白人たちが群がって黒人たちを懲らしめようとするシーンがある。主人公の黒人エリート刑事から見ても町の保守的白人が脅威の存在となっている。この映画でも同じようなシーンがある。

ジャッキーロビンソンは1947年にで打率297、29盗塁の成績を残して新人王を獲得している。1949年には打率342で首位打者もとってナショナルリーグのMVPとなる。破竹の勢いで活躍する。ドジャースも好調が続く。1947年と49年はリーグ優勝だ。時代背景を確認すると、ドジャースが所属するナショナルリーグに対して、ヤンキース、レッドソックスが所属するアメリカンリーグがある。ヤンキースではジョーディマジオが活躍し、1948年に本塁打王、打点王の2冠、レッドソックスでは最後の4割バッターテッドウィリアムスが同じ1948年に首位打者になる。1947年には三冠王もとっている。同世代の天才2人が別のリーグにいただけにジャッキーのデビュー後の活躍は目立ったろう。

印象深いシーンはフィリーズと対決した際、相手側の監督が執拗なくらい黒人差別ととれるヤジを飛ばすシーンだ。
「ニガー」という言葉を連発して、攪乱させる。今でもこういうヤジはあるとは思うが、確かにやりすぎだ。それを見るに見かねて味方の選手が助っ人に出る。「止めろ!」と相手の監督にくってかかる。それまでは、黒人の仲間ができることに嫌悪感を抱いて仲間たちも一緒になっていく。これ自体は序の口で色々とややこしい話があったのであろう。テロップが流れたが、この差別監督は退団後二度と声がかからなかったようだ。

もともとはかなり短気だったジャッキーに対して、ハリソンフォード演じるGMが何があっても抑えろという。ムカついて仕方ない時でも忍耐の一文字だ。そういうやるせない心理をチャドウィック・ボーズマンが上手に演じている。もちろん枯れ切った演技を見せるハリソンフォードも抜群にいい。


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