映画とライフデザイン

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映画「黒蜥蜴」 丸山(美輪)明宏&三島由紀夫&深作欣二

2024-10-02 18:52:40 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「黒蜥蜴」を名画座で観てきました。


映画「黒蜥蜴」江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化したもの1968年に映画化した。深作欣二監督、丸山(美輪)明宏主演で三島由紀夫も自ら特別出演している豪華な顔ぶれだ。直近の名画座作品ではもっとも見逃せない作品だ。DVDはなく名画座以外では観ることができない。京マチ子版の「黒蜥蜴」もあり、ブログにアップした。京マチ子の妖艶な姿もすばらしい。でも、この戯曲は三島由紀夫が丸山明宏のためにつくった戯曲だ。56年前だけに古さを感じる部分はあってもやはり役者の貫禄が違う。

富豪の宝石商岩瀬の元に高価なダイヤ「エジプトの星」を強奪して娘早苗(松岡きっこ)を誘拐するという脅迫状がくる。岩瀬は名探偵明智小五郎(木村功)に警護を依頼して大阪のホテルに滞在する。その隣には岩瀬の旧知の有閑マダム緑川夫人(丸山明宏)も滞在していた。早苗は緑川夫人から亡くなると見せかけて山川と名乗る雨宮(川津祐介)を紹介される。2人が部屋で歓談しようとする隙に早苗を拉致して雨宮は大阪駅から新幹線で東京へ向かう。緑川夫人が黒蜥蜴だったのだ。明智小五郎が手を回していたおかげで早苗は助かる。黒蜥蜴はその場を得意の変装で逃げ切る。

その後、岩瀬家の自宅に再度脅迫状が来て,用心棒を大勢雇って警察も厳戒体制をとっていた。それなのに黒蜥蜴は手段を選ばず、岩瀬家の家政婦が誘拐に加担して早苗を誘拐するのである。

若き日の丸山(美輪)明宏を観るための映画だ。
ここまで錚々たるメンバーが集まる事は滅多にない丸山明宏演じる黒蜥蜴は妖艶で,変装したときの男装の麗人ぶりは宝塚人気男役のような美的感覚だ。

もともと戦前に江戸川乱歩が書いた小説を昭和30年代に三島由紀夫が戯曲化したわけで、古くさいのは仕方ない。令和の世で考えると、高額のダイヤ泥棒とかもいそうもないし、誘拐の設定もこんな安易にできるわけがない。防犯カメラもあるし、たやすく黒蜥蜴が逃げれるわけがない。そこを突っ込むとキリがない。昭和40年代の子供向けキャラクターモノの実写版TVを見るような感じだ。

現代から見ると稚拙に見える映像も、俳優の貫禄でほぼカバーしてしまう。丸山明宏のナイトクラブのショーを観るような感覚だ。明智小五郎に対して見せる恋心がこの戯曲のポイントなのに明智小五郎役の木村功は適役だったかな?との疑問をもつし、川津祐介も普通。その中で特に良かったのが当時21歳の松岡きっこだ。これがとびきり美しい。大きな眼に眼力を感じる。夜の番組に登場して、その色気に圧倒されて子供心に魅力的な女性だと思っていた。


三島由紀夫自ら生人形役ででてくる。切腹する2年前だ。黒蜥蜴の手によって殺された死体を剥製化した人形となる。特にセリフはないが、肉体美をやたらと誇示したがる三島由紀夫だけに裸を見せつける。黒蜥蜴の棲家には以前写真で見た三島由紀夫の自宅を思わせる美術品や調度品が置いてある。三島自身に黒蜥蜴には思い入れがあるようだ。



音楽は冨田勲だ。後にシンセサイザーで有名になる富田勲がジャズやバロックや様々な音楽を混ぜたバックミュージックでサスペンスを盛り上げる、いきなりゴーゴー喫茶のような謎のクラブが出てくる。サイケデリックが流行の頃だ。緑川夫人がオーナーのクラブで黒蜥蜴こと丸山明宏も妖艶な姿を見せる。店の感じが自分が小学生だったときのサスペンスにつきもののクラブの雰囲気で、自分は小学生時代に戻ったような感覚を持つ。
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