映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

2022年キネマ旬報ベスト10を見て(邦画:映画芸術との比較)

2023-02-05 16:43:07 | 映画 ベスト
2022年キネマ旬報ベスト10 (邦画)
洋画のベストの方はすんなりブログにアップできたが、邦画のベスト10はなんかスッキリしない。「え!そうなの?」と思うことが多いからである。10作で観ていないのが、「夜明けまでバス停で」「土を喰らう十二ヶ月」である。

荒井晴彦主宰の「映画芸術」の邦画ベスト10も発表になっている。自分の経験では両方のベスト10に入っている映画はまともな作品が多い。両方を比較する。「ケイコ 目を澄まして両方の雑誌でトップになってしまう。これはあまりあることではない。ただ,日本アカデミー賞の作品賞の候補には入ってはいない。


1位の「ケイコ 目を澄まして」で文句なしという感じはない。もちろんいい映画だったけど、女性ボクシング映画の名作「ミリオンダラーベイビー」「百円の恋」のような中間点での高揚感がなかった。岸井ゆきのパンチが自分にはどうにも貧弱にしか見えなかった。それでも、哀愁漂うストーリーに三浦友和の存在が光った。キネマ旬報助演男優賞受賞は当然という感じがする。

2位の「ある男」は予告編で観てみたいと思わせる作品だった。話の展開も単純ではなく、よくできていた。でも、配給の松竹が今期減益になった理由に「ある男」が予想以下の興行成績と記事が出ていた。残念である。3位「夜明けまでバス停で」はぜひ観てみたい。映画芸術でも2位で評価が高い。高橋伴明健在である。


4位の「こちらあみ子」は風変わりなキャラクターのあみ子を子役が巧みに演じた。実にのびのびとしていた。映画芸術でも6位である。井浦新、尾野真千子が脇役にまわってフォローする。5位の「冬薔薇」は殺人が起こっているのに昭和に戻ったような事件処理で、監視カメラがあるハイテク時代の捜査にそぐわない映画だった。絶対におかしい。時代設定が昭和から平成の初めなら良いけど、阪本順治の脚本には難ありだ。小林薫や石橋蓮司の好演はあっても、これでは気の毒だ。ここでいい点数をつけているのはいずれも老人評論家


なぜか6位が3作、こんなに審査員がいるのに同点になるのも奇妙だ。10作の中で今回イチオシなのが「ハケンアニメ」である。アニメ道を極めようと奮闘努力する若き面々を描いていてパワーをいただいた。怠け者を描く映画が多いので,真摯に働く人たちを見ていると気持ちが良い「PLAN 75」の老けてしまった倍賞千恵子を見るのが切ない。年下だが同世代の吉永小百合が妖怪に思える。今年も多くの作品で河合優美の活躍が目立つ。


「土を喰らう12ヶ月」を避けてしまったのは, ジュリーが嫌いなわけではない。野菜を中心とした料理のメニューを見て,肉や魚中心のワイルドな食事を好む自分には合わないと思ったからだ。同年代からは称賛の声も多い。そろそろ考えを変えてみる時期が来たのかもしれない。その時にはプラスでブログに書いてみる。


9位も2つだ。今年はどうしちゃったんだろう。「さがす」は単純に捜査するだけではない話をうまくまとめた。構成力に優れた作品であった。懸賞金付き犯人を追う父親を探す娘の話が中心ではあるが、かなりきわどい場面も用意している。「千夜一夜」情感のこもったいい映画だった。孤島で行方不明になった夫を待つ女を田中裕子がしっとりと演じた。共演の尾野真千子は他にも「こちらあみこ」や自分が昨年いちばん好きだった「サバカン」でも脇にまわっても良い活躍をする。

今回不思議だったのが、こんなに頑張っているのに今泉力哉監督作品と城定秀夫監督作品が入ってなかったことだ。「愛なのに」はベスト20にも入っていない。でも、映画芸術では9位だった。日本映画の審査員はちゃんと観ているの?と思ってしまう。


12位の「夜を走る」や13位の「マイスモールランド」は残念。「夜を走る」は低予算だけど、脚本はうまくまとめておもしろい「マイスモールランド」映画芸術では7位に入る。やっている映画館少ないからなあ。


「あちらにいる鬼」は16位、寺島しのぶが髪を剃って体当たりで頑張った。キネマ旬報で助演女優賞を受賞した広末涼子が一皮剥けたと自分は感じた。でも、映画関係者である新宿ゴールデン街のママにそう話したら,広末涼子は脱いでいないじゃないと酷評だった。そうか、ダメか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「仕掛人 藤枝梅安」 ... | トップ | 映画「崖上のスパイ」チャン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画 ベスト」カテゴリの最新記事