映画とライフデザイン

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映画「ある男」安藤サクラ&窪田正孝

2022-11-20 17:51:33 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「ある男」を映画館で観ていました。


映画「ある男」は平野啓一郎の原作を映画化した作品で、今年観た数多い予告編の中でももっとも行ってみたいと思わせた作品だった。原作は未読である。「一緒に暮らしていた夫が全くの別人だった。」という安藤サクラと窪田正孝の映像はいったいどんなストーリーになるんだろうと興味を抱かせる。期待して観に行く。当然事前情報が少ない方が楽しめる。

宮崎で文房具店を営む里枝(安藤サクラ)は子連れで故郷に戻ったシングルマザー、その店にスケッチブックを買いにくる谷口大祐(窪田正孝)は林業の仕事をしていた。親しくなり2人は結婚して、娘も授かった。ところが、樹木を伐採している時に不慮の事故に遭い亡くなってしまう。葬儀後、一周忌に伊香保温泉で旅館を営む大祐の実家から兄(眞島秀和)が訪れ写真を見て、写真にうつる男は大祐ではないと言われて里枝はあぜんとする。DNA鑑定も別人を示していた。


里枝は自分の離婚調停で世話になった横浜の弁護士城戸(妻夫木聡)に相談して、真実の調査を依頼する。

期待以上とはならなかったが、予告編にない展開もあり興味深く見れた
映画を観た後に作品情報を改めてみながら、原作はどうなっているのかと確認する。もともとは作家の一人称小説で、バーで出会った弁護士の城戸を主体にしているようだ。もちろん、ここではそうしていない。ラストに弁護士がバーで誰かと会話をするシーンがあり、そこで終了する。

これって、原作を読まないと「何でこのラストシーンがあるの?」と思ってしまう。エンディングロールのクレジットでは格で妻夫木聡が1番目となっていると思ったが、主役もあくまで城戸弁護士ということなのだ。


この映画についてはネタバレに近いことまで言及してみる。映画を観る前は読まないで下さい。

⒈妻夫木聡
この映画の予告編はよくできている。映像に妻夫木聡がでてきて、これが真実の男なの?と一瞬思わせた。改めて見ると,途中で予告編の内容が変わって、仲野大賀の写真も出てくるので違うんだなとわかるが、あまり情報がない方が意外性を楽しめる。

帰化している在日3世の人権派弁護士の設定である。最近妙に韓国寄りの発言が多い真木よう子も妻役で出てくるので、在日やヘイトスピーチの話を意図的に加えたのかな?と映画を観ながら感じていた。終わって、原作を確認すると、その通りになっている。城戸弁護士は,伊香保温泉に行って、兄やむかしの恋人に会ったり、戸籍交換で捕まった男がいるとわかり、刑務所までその男に会いに行ったり丹念な捜査をしている。京大出の平野啓一郎だけに在日コリアンとの縁は深いかもしれない。

ただ、柄本明妻夫木聡演じる弁護士に対してお前の顔を見たらすぐ在日だとわかるぞと言ったセリフがあったが,あまり妻夫木聡の顔は在日には見えない気がする。

在日2世はわれわれの同世代で、高校の同級生にもいた。明大から韓国系金融機関に行き、最終妻の実家のパチンコ屋を営んだが、60過ぎにがんで亡くなった。高校時代、「自分たちは普通の就職はできない。汚れ仕事をやるか、893になるか、勉強して医者になるしかない」と言っていた。兄貴2人いて、上は左右両刀使いの反政府運動をしてパチンコ屋をやり、下の兄は秀才で医者になった。姉は街金融を営む家に嫁いだ。でも、その友人の在日3世となる息子は、普通の日本の名門大手企業に勤めた。死ぬ前に日本も変わったと言っていたものだった。

⒉窪田正孝
この映画でもっとも頑張ったといえよう。ナイーブな性格を演じていて,安藤サクラに近づいていく時の雰囲気が柔らかく良い。映画が始まり, 30分位で窪田正孝が死んでしまって,もう出番はないのかなと思ってた。

ところが,過去を回顧するシーンを演じるにあたって,謎の男窪田正孝が改めて前面に出てくる。これは予告編には全くないシーンだ。新人王を目指すボクサーだったのだ。これがよかった。

映画の大きなテーマに「殺人者の家族の悲劇」と言う一面もある。結局,一緒に暮らした謎の男が、なぜ赤の他人を演じなければならなかったのかと言う理由がある。その理由について語られていく。映画を観る前は予測していなかったいいシーンであったし、窪田正孝は好演している。トレーナー役のでんでん「あしたのジョー」の丹下段平を思わせてよかった。


⒊安藤サクラ
安藤サクラの代表作と言えば,「百円の恋」であろう。安藤サクラが一気に成長した。「ある男」で安藤サクラを見て優しい顔立ちになった気がする。窪田正孝に合わせたナイーブな感じも良い。実生活でも母親になった影響があるせいか、今回の母親役は非常に良かった。

安藤サクラの母親役が山口美也子だと知る。若い頃は日活ポルノでお世話になっている。懐かしい。


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