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映画「愛なのに」瀬戸康史&河合優実

2022-03-02 17:57:45 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「愛なのに」を映画館で観てきました。


映画「愛なのに」は瀬戸康史が古本屋の店主を演じる現代若者事情を描いた作品である。ここのところ相性の良い河合優実も高校生役で出演している。たまには若者の恋物語を観てみようかと「ちょっと思い出して」を観たら気分良く、公開まもない「愛なのに」に足が向いてしまう。「街の上で」の今泉力哉が書いた脚本をアルプススタンドのはしの方」の城定秀夫監督がメガホンをとった作品だ。正直「街の上で」はいまいち好きでないが、勢いで覗いてみるとこれが良かった。ついているな!

古本屋の店主多田に恋あこがれる高校生岬が求婚するけれど、相手もまだ若いし昔好きだった一花を忘れられない。ところが、結婚式の準備に追われる一花の傍で、結婚相手がウェディングプランナーと浮気していて、もつれた関係が生まれるという話である。

これもイケる!
「街の上で」同様にセリフがだらだらしているかと序盤戦は感じていたが、途中からぐっとおもしろくなる。初めて知ったが、城定秀夫監督はピンク映画のベテランである。単なる恋愛映画でない展開にもつれさせ、予想外のポイントでおもしろさを生む。定跡通り進んでいた将棋の対局で、駒がぶつかった後に大胆な打ち手で相手を驚かす感じだ。

まさか笑いを呼ぶ展開になるとは思わなかった。15禁にもかかわらず、女性陣の観客が目立ったが、彼女たちの笑い声も響いていた。


⒈城定秀夫監督とピンクテイスト
15禁がやたらと強調されていたので、濡れ場はいくつか用意されていると思っていた。野球をわかっていない女の子が高校野球の応援席でトンチンカンな会話をして楽しませる「アルプススタンドのはしの方」の監督という情報から、城定秀夫監督は青春映画系をつくる若手かと勘違いしていた。ピンク系の人とわかってビックリだ。

滝田洋二郎、瀬々敬久、廣木隆一とピンク映画出身でメジャー作品をとるようになる監督は割と多い。ピンク系監督は量をこなしている上、低予算でいかに客を楽しませようとするエンターテイメントの素養がある。ここで観る限り、城定秀夫監督もそのテイストを持つ。女優を脱がせるワザは天下一品なんだろう。2人の美人女優も楽しそうにベッドシーンを演じている。


⒉多彩なキャスト
結婚しようとするカップルが出てきて、あれ!こいつ観たことあるぞと思い、途中で濱口竜介「偶然と想像」の第一話に出てくる男と気づく。中島歩だ。昨年好きだったいとみちでも主人公が働くメイドカフェのマネジャーをやっていたと気づく。二枚目なんだけど、平成というよりは昭和40年代くらいまでの男前って感じだな。


結婚が決まっているのに浮気をしているんだけど、婚約者に見え透いたウソを言っている場面がおもしろい。同じような場面で言い訳をしてしまう若き日の自分にダブる。いくつかのポイントで笑いを客席から誘うのは中島歩である。新郎がウェディングプランナーと浮気をするなんて設定初めて観た。夫役の中島歩と浮気をする向里裕香とのやりとりが笑える。

さとうほなみは初めてかな?最初はまじめそうなお嫁さん役に思えたら、ちょっとした怒りで変貌する。清楚系だと思ったら、ベッドシーンは大胆だ。カタチのいいバストをあらわにしてうちに秘めた欲望を噴出させる。いい感じだ。


⒊河合優実
岬(河合優実)がいきなり古本屋の中で万引きをして、多田(瀬戸康史)が追いかける。それを予告編でやっていて、映画「告白」みたいなスタートだ。でも、ここでは違う。本屋に戻って事情を聞くと、好きなんで気をひくために万引きしたと告白する。結婚してくださいと言うのだ。おっとこの映画未成年との恋愛で大丈夫かい?どうなるんだろうかと思う。

ここで岬が話す言葉は高校生の女の子が話すセリフではない河合優実が大人びてるからだけど、冷静で落ち着いている話し方だ。目線がぐっと上がって瀬戸康史と同等レベルになる。この落ち着きを持つ女の子は自分が同世代だから言えるけど、山口百恵以来だ。それくらい腰が据わっている。


河合優実の直近の作品で、「サマーフィルムにのって」では地味な天文部のリケジョ高校生で存在感が薄い。「由宇子の天秤」では展開を左右する重要な役柄になる。「ちょっと思い出しただけ」で大人に一歩踏み込んだ存在になったあとで今回の「愛なのに」だ。若干年齢が下になる役柄なのに山口百恵ばりの落ち着きにやられた。脱いだ2人の女性よりも不思議な魅力を感じる。

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